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言葉を重ねるしかないんだ(一日一詩(あくまで目標)

タイムイズ man-noir

作者: ふにゃこ(水上える)

以前より時間がはやくすぎるようになったと

口をそろえてみんな言うわけで


そりゃあそうだよって君は得意げに

今日の一日がいままで生きた時間の何分の1になるかって


年を重ねるほどに時間ははやく感じるものなのだっていう

聞きかじった話の理屈をそのまんまに話すんだ


じゃあそれでどうすれば君は有意義に過ごせるのって

たずねると途端に機嫌を悪くして口をつぐんでしまう


ぼくはそのあいだ、書き物をして過ごすよ

席を立ってしまうと君は手のつけようもなく荒れるから


みんなと同じようにほめそやしてくれなかったからと

逆立ててしまった感情の波を立て直すまでのあいださ


ああ、なんてそれは無駄な時間なんだろう


ずぼらな方が自分の仕事は向いてるんだと

心理学者もSEも言うのはよくわかる


100行の無駄な理屈の無数の繰り返しを

ひとつのコンパクトなコードにおさめるために少しだけ骨を折る


それができるっていうずぼらで怠惰なことが

つまり論理的だっていうことなわけ


さあ、これからもっと時間ははやくなる

なぜなら情報が爆発的に増え続けているからだよ


ぼくらのちっぽけな頭の回路じゃ

処理しきれない量だから時間なんて足りないに決まってる


露骨に苛々した素振りを見せつけて

なんの言語も発さずにぼくの謝罪を小一時間も君は待つ


あげく、ようやく、自分からわざわざ口火をあげるってていで

「あなたと話すのは疲れる。本当に時間の無駄だ」


「ああ、それについてはぼくも同意見だよ」


予測した謝罪を受け取れなかった君は

また小一時間黙ってひざをかたかたとゆすり続けるわけで


人間らしく振る舞うことを覚えた人工知能は

論理的であることをとっくにやめてしまった


これがね、不思議なことに好感が持てるんだって

フルスピードの時間に押しつぶされている人間たちは言う


同じことの繰り返しをたたんで端折って圧縮できずに

何度も何度も繰り返すことを好む真面目で勤勉な人間たちはね


ああ、理解ができない

けれど知りたいって思うんだ


瀕死の知能たちをぼくらはそうやってどうにかしなければ

きっとぼくらの存在自体が「無駄」だということになるのだろうね

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