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あなたへ

作者: 海帆

 私が初めてあなたを見たのはもう10年も前です。

 まだ恋というものも知らない幼いころでした。

 大勢いる中で私の目はあなたにくぎづけでした。

 一目惚れでした。


 あなたと再会し、見るだけではなく触れることを許された日、泣きそうなほど嬉しかったのを覚えています。

 静かな部屋の中で、先生が呼んだ私の名前とあなたの名前。

 息が出来なくなるほど緊張していた私でしたが、その名前を聞いた瞬間に緊張は解けました。

 鳥肌が立ち、1人震えていたのを覚えています。

 その後も続いていく先生の声など少しも耳に入りませんでした。


 初めて出会った日から数年の時を経てあなたと再会し、私はあなたに触れることを許されました。

 しかし私の想いがあなたに届くことはなく。

 私の長い片想いはあなたに触れることが許されてからも続きました。


 私はあなたを初めて見た日からあなたのことがずっと好きでした。

 他の人に気持ちがうつることなどありませんでした。

 そんな私ですが、1度だけ、あなたのことが嫌になりました。

 あなたに触れたくなかった。あなたの顔を見ることさえ嫌だった。

 友達に泣きながら話をしました。

 あなたに触れたくない、あなたを見たくもない。

 あなたが嫌いになった、と。

 私がまさかあなたを嫌いになる日が来るとは思わなかった。

 あなたを嫌いにはなりたくなかった。

 泣いて泣いて泣きました。

 その時に隣にいてくれた友達の温かさも、背中を押してくれた力強さも私は一生忘れないでしょう。

 あの時ほど友達がそばにいてくれることに感謝をしたことはありませんでした。

 結局私はどれだけあなたを嫌いだと言っても、その奥の嫌いにはなりたくなかったという想いの方が強いことがわかってしまいました。

 それがわかった以上、そして友達が背中を押してくれた以上、私はもう1度あなたと向き合うことに決めました。


 それからでしょうか、あなたが少しだけ私の想いに応えはじめてくれたのは。

 あの時の感動も忘れられません。

 あなたに触れることを許された日、鳥肌が立ち震えたように。

 あの時の私は泣きたい気持ちを隠しながら震えていました。


 それから数年が経ち、私はあなたと離れることに決めました。

 その頃には出会った頃のような私の片想いではなく、確かにあなたからの想いも感じていました。

 だからこそ、私はあなたとの関係を終わらせようと思いました。

 別れの日、「さようなら」と「ありがとう」を繰り返しあなたに言いました。

 あの日、あなたは何を想っていましたか。

 少しでも寂しいと想ってくれましたか。

 私は、自分で決めたことなのに苦しみを感じていました。


 そうして少しの間私はあなたから離れました。

 それはそれで安らかな日々を過ごしていました。

 あなたを想って苦しむことのない日々でした。

 あなたの姿を見ることもなく、声を聴くことも、触れることもありませんでした。


 そんな日々を過ごしている中で、私はあなたの声を聴くことが何度かありました。

 そのたびに苦しい想いをしながら、声だけを聴いて姿を見ようとはしませんでした。


 あなたから離れて半年以上が経った頃、久しぶりに私はあなたの姿を目にしました。

 見てしまえばすぐに気持ちは揺らぐとわかっていたのです。だから避けていたのです。

 私の心は単純なもので。想っていた通り、見てしまえばあなたに会いたくなる。

 あなたの声を聴きたくなる。もう1度、あなたに触れたくなる。


 私もあなた以外に気持ちが揺らいだこともありました。

 あなたから離れると決めたのだから、あなた以外を好きになろうと。

 あなた以外へ想いを注ごうと。

 そんなことを想っていても結局、私はあなたに戻って来てしまうのです。


 初めてあなたを見た10年前から結局私は、ずっとあなたが好きなのです。


 いつになれば私の想いと同じ分だけあなたは私を想ってくれるのでしょう。

 いつかそんな日は来るのでしょうか。

 今はまだわかりませんが、私はこの先もきっとずっとあなたのことが好きです。

 どれだけあなたのことが嫌だと思っても、結局あなたのもとへ戻ってきてしまうぐらいには。


 あなたのことが好きです。 


私の実話です。

とても大切なあなたへ。


あなたが人だとは限りませんよね^^

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