石油王、現状確認す 三
(現状何が足りてて何が足りてないんだ?)
一通りスタンドの物色を終えた十三は待合室で缶コーヒーを飲みつつ状況を整理する。
(まずは住)
寝床に関しては不足はない。元々車中泊するつもりだったのだ。
十三の愛車は軽自動車の中でも配達などで使われるワンボックスでもママさんたちに人気のトールワゴンでもない、室内空間の狭いセダン型であったのだが、それでも後部座席と助手席のシートを倒せば人一人寝れるだけのスペースは作れる。そこに板を伸ばし平坦なスペースを確保し毛布や寝袋を敷けば簡易ベッドの完成である。
実際何度もそうやって車中泊をして来た十三は頭上空間に若干の不満は持ちつつも特に問題なく快眠出来るのだ。それにいざとなればこの待合室でも港の建物でもいくらでも場所はある。だから寝床の心配は必要ない。
(次は食)
自販機があったので数日は飲み物には困らないだろう。石油王たる十三に燃料の心配はないので、いざとなれば海水から蒸留水を作ることも出来るはずだ。
あとはホタテで空腹を誤魔化しながら食べられそうな漂着物、例えば缶詰を探すか海に出て漁をするしかなさそうだ。
(そして衣)
今来ている服と着替えで持ってきていたTシャツぐらいしかない。他は漂着物かこの島の住民が残した物をリセットするしかあてはない。
(こうして考えてみると衣食住のうち足りてるのは寝床だけか)
あまりの不足に呆れてしまう。
とはいえ呆れてばかりではいられない。飲み終わった缶コーヒーをゴミ箱に放り、自販機から缶やペットボトルを取り出すと愛車に積めるだけ積み込んで出発する。予想以上にこのスタンドでは収穫がなかったので、港の物色をするのだ。
(しかしガス欠の心配がないとはいえ、二十分もかけて往復するのも手間だな)
港にはクルールーの神殿も漂着物を保管する倉庫もある。拠点とするならガソリンスタンドよりも港だろう。
そんなことを考えているうちに尿意を催して来たので、愛車を停めて適当に済ませる。
「あっ!?」
思わず声が出た。衣食住だけではなくトイレの問題に思い当たったのだ。
(小はその辺で済ませても大はどうしたら良いんだ?)
もちろん小と同じようにその辺で済ませる手もある。だが、ここで問題となるのはトイレットペーパーだ。ガソリンスタンドに戻れば数本はあるのだが、消耗品である以上直に無くなる。
現状数日分の食料しか目処が立ってないので数本あれば十分だという考えもあるが、一応十三はどうにか食料を調達して生きていくつもりなのだ。生きるために食べるということはその分排泄物も出るということである。
ここに至ってようやく十三は食料の確保と同時にトイレ環境を整える必要があることに気付いた。
(紙があるうちはまだしも紙無くなったらどうしよう?)
新たな問題に頭を悩ましながらも港へ到着した十三はまず海の中に手を入れた。
(サイコメトリーで海から情報引き出せないかな?)




