真っ暗な世界で見つけた一つの光
目を開けると何もない空間に私はいた。見渡す限り黒色の景色になっている。光が差し込まぬ密室のようではあるが、何も見えないというわけではな。現に私は自分の肌の色や着ている服の色を認識できている。一体ここはどこなのだろうか?先ほどまで私は何をしていたのだろうか?直前までの行動は思い出せないが、それ以外の記憶ははっきりしている。私の名前は日明 陽。年は14で西方学園の中等部2年丙組に所属している。部活は女子テニス部に所属していて、毎週土曜日は少し遠くにあるテニスクラブに通っている。よし、思い出せる、私は私だ。
それにしても、この世界は一体なんなのだろう?今一度周りを見回してみる。しかし景色は一向に変わる気配はない。下を向いても同じであった。今にも落ちていきそうな風景ではあるが、落ちる気配はない。ということは床が存在するということだろうか。私はしゃがみこんで床のありそうな足の真横部分に手を伸ばす。伸びていく手を止める物質はなかった。腕は私の足より深く下へ下へと刺さっていく。これ以上伸ばすことは恐ろしいと感じ私はすぐに手を引くことにした。
「おや、気がついたようですね」
私が立ち上がり体を伸ばす動作をしていると、背中の方から低く渋い声がした。私は声のする方向を振り返り、その主の姿を確認する。そこには―先ほどまで何もなかったその空間には―一匹の羊が佇んでいた。真っ暗な世界に真っ白い綿を装った羊という構図は、中々ミスマッチであった。しかしどこからこの羊は現れたのであろうか?
「どうやらこの状況をまだよく理解できていないようですね」
羊は頷くような動作をしながら日本語をしゃべっている。彼の存在により益々訳の分からぬことになっている、ということは言わないでもいいだろうか。私は尋ねる。ここは一体なんなの?
「ここは、日明陽様の夢の世界でございます」
羊はサラリと返事をした。私は別に驚くこともなかった。むしろそう言われて納得できた、確かに夢と言われればそうである。なぜ気付かなかったのだろうか、ここが夢であるということに。
「どうやら納得していただいたようですが、今日の夢は事情が少し違います」
私の顔を見ながら言うと、羊はくるりと半回転し四つ足で歩き始めた。彼の歩いた後には、白い線が引かれ、一本の道のような形になっていた。どうやら付いてきてほしいようだ。私は彼の後を歩き始める。
「それでは今日の夢について説明させていただきます。右側をご覧ください」
言われたとおり、右側に視線を向けると、真っ暗な空間からグレー色の大きな気泡が現れ、その場を漂っている。これは一体なんなのだろうか。と思うと、遠くにあった気泡が私の前に移動して、気泡の内側を輝かせた。気泡の中では何やら映像が映し出されていた。赤ちゃんをあやすためのガラガラがくるくると回っている。そこに赤ちゃんのような丸っこい手が映像の中に入り込んできた。どうやらこの映像は赤ちゃんの一人称視点で撮影されているらしい。私の歩く速度と同じ間隔で動く気泡を見ながら私は羊に訊いた。この映像はなんなの?
「見ていればすぐに分かります」
羊はそれ以上言うことはなく、黙々と歩みを続けた。私も羊に続いて歩くと、気泡は私の歩調に合わせて移動をする。映像は止まらない。赤ちゃんは横に倒れ、白いシーツを見つめている。視界には木の柵と白いシーツ、赤ちゃんの手が映っている。こんな映像を見てどうすればいいのだろうか。と思っていると、視界が一気に動き始めた。どうやら赤ちゃんが誰かに持ち上げられたらしい。急に動いたからか、映像がぼやけていて持ち上げた主が誰だか判別することはできない。しかし、持ち上げた時に聞こえた声に私は聞き覚えがあった。というよりも、私がほぼ毎日聞いている声である。
「ほーら、お父さんですよー?」
声の主は、私の父親であった。映像も少しずつ鮮明になり、父の顔が現れていくる。それが父だと認識出来たからか、私なのであろうその赤ちゃんは嬉しそうな声を上げながらその丸っこい両手を使って、顔の前で何度も拍手していた。
「お気づきになったと思いますが、これはあなたの小さいころの夢です。きっとあなたは忘れてしまったのでしょうが、このような時代があったのですよ」
そのようなことはどうでもいい。問題はこれを見せて私に何をさせたいのかということだ。
「何もいたしませんよ。今回の夢はあなたの過去を一から振り返ってもらうための夢であります。普段の夢と違うところは、この映像達を見終わるまでは日明様自身の力で起きることができないというだけです」
私は少し唖然してしまった。ここまでもったいぶっておいてこれだけとは。元々夢なんて自分の意志で見れるようなものではないし、自分の力で起きられないと言ってもまず自分の力で夢から醒めるなんて事したことがないので正直夢という意識があるという以外何も変わることのない、いつも通りの夢である。などと考えている間に映像は終わり、グレーの気泡は色を背景の黒と同化させながら溶けていくように無くなった。
「周りをご覧ください」
羊の言葉を受けて周りを見渡すと、先程まであったグレー色の気泡が辺りに浮いており、その中では映像が無造作に流されていた。これら全てを回収しなければいけないの、と私が不安をこぼすと、
「いえ、すべての映像を見なくても大丈夫です。日明様の見たい映像を取捨選択してご覧になってください。気になった映像を見つけたらその映像を流す泡があなたの目の前に現れてくれます」
そう言ってまた羊は少しずつ前を歩き始める。一体どこへ歩いているのか。目的はわからないけれど、彼についていく他ない私は、グレー色の気泡を眺めながら少しずつ歩いて行くしかなかった。
こうして見ていくと、昔の私は何にも考えていなかったのだと言う事を思い知らされる。ジャングルジムの上段で手を離して地面に落ちたり、鉄棒で逆上がりしようとして頭をぶつけたり、ボールを追いかけていたら車の往来する車道に飛び出そうとしたり、本当にどうしようもない事で痛い目に遭っている。これが十年前の私だと思うと情けなく思う。
「やはり5歳という時期は挑戦したくなる年頃といいますか。様々な遊びに興じられていたようで」
けれど、こうも尽く失敗している姿を見ると、なんだか悲しいものがある。今の私だったら到底やらない事を、今見ればやっても良いことが起こるはずないということを分かっているからだろうか。
「いやはや、こういう失敗を出来るということこそが若き日の利点だと思います。大人になったら失敗は自身の社会的地位の瓦解に直結してしまいますから」
なぜこの羊は大人かのような態度を取っているのだろうか。羊だというのに。
「羊ではありますが、同時にあなたでもあるのです」
羊は変わらぬ歩調で歩き続ける。これ以上何か言っても無駄であろう。私は浮いて出てくる私の記憶を見ながら出口の見えぬ一本道を歩き続けた。
歩いていくうちに気泡の中の私はどんどん成長していき、気付けば私の姿はここ半年以内にまでなっていた。小学生低学年の時、好きだった男の子が引っ越してしまった時の記憶。その年の年末に名前の知らぬ大きな山に家族で旅行に行き、初日の出を山頂から見た記憶。中学受験のために小学3年生の頃から塾に通わされ、勉強一心だった時の記憶。気の合う友人と修学旅行で日光東照宮を巡った記憶。そんな彼らと卒業式で別れた記憶。様々な記憶が私の目の前に現れ、そして消えていった。たった14年だけど、色んな事を経験していたのだなとこれまで見ていった私の記憶を振り返りながら思いをめぐらす。現在、私の眼前で映されている映像は、そうした良き思い出とはかけ離れた、出来ることなら目を背けていたいものであった。
場所はテニス部の部室内。部活も終わり日もほとんど落ちようとしている時、私は忘れ物を取りに行くために部室のドアを開けた。開けたドアの先には私の同級生が涙を流しながら部長である先輩に前髪を掴まれていた。先輩は口に煙草を咥えながらドアを開けた私の方をじっと見つめている。涙を流した彼女も私を見つめている。涙を流しながら、私を必死に見つめている。私は突然の状況にどうしたら分からず戸惑っていた。何をすればいいのだろうか、泣いている、髪を、引っ張って、そうだ、タバコ、タバコ吸ってる、悪い、先生に、伝えなきゃ・・・。
「ちょっと待ってよ日明さん」
積み上げた考えが、理解が全て何処かへ吹き飛んでしまうような一言であった。部長の一言に私は思考を停止させて従ってしまった。部長は彼女の髪を離さず、不敵に口元を歪ませる。
「こっちおいで、日明さん。別に怖くないわよ。大丈夫、ほらこっちに来て」
言われるがまま、私は部屋の中に入っていく。すると後ろでドアの閉じる大きな音がした。振り向くと部長のツレがドアに手を当てて私の事を睨んでいた。私は抑えることのできぬ震えを見せながら部長の方を見つめた。
「嫌なところ見せちゃったね、私っていつも皆のために働いてるじゃない?その上学業も常に上位をキープしなくちゃいけないわけ。こんな私でも両方を一手に引き受けるのは疲れちゃうわけ。別に、身体は問題ないんだけど、精神的にね、疲れちゃうの。だからたまに、こうやって仲の良い子と一緒に『遊んでる』わけ。お遊びよお遊び。別にいじめているわけじゃないわ、じゃれてるだけ。そうでしょ?※▲×さん」
髪を掴まれながらも、同級生は首肯で答えた。頷く度、彼女の髪がひどく引っ張られているのが印象的だった。タバコの煙が部屋に充満し、キツイ香りが私の鼻孔をおかしくする。
「せっかく来てくれたんだから一緒に遊んでいきましょうよ。※▲×さんって面白いのよ。体を張って私たちを楽しませてくれるの。いい機会だから見せてあげる。」
そう言うと部長は同級生の髪を離したかと思うと、彼女に馬乗りになり彼女の後ろ髪を掴み上げ、反対の手を彼女の口に突っ込んだ。彼女が一瞬呻き声をあげるが、部長は気にせず私に彼女のうなじ部分を見せつける。そこには焦げ跡のような黒い点が一直線に並んでいた。私は腹にあるものが逆流してくるかのような気持ち悪さを受けさせられた。
「見てよこれ、キレイでしょう?一つひとつ私が丁寧に押し込んであげたのよ。このタバコを使って」
そう言いながら口に咥えたたばこを誇らしげに揺らす。
「タバコアートって言うべきこの作品、知ってるのは私とあなたぐらいよ。ほら、彼女ミディアムロングだからうなじのところが偶然見れないわけよ。本当は誰かにこの美しきアートを教えたかったのだけれど、その望みがかなって嬉しいわ」
部長が顎を突き上げるような動作をしたかと思ったら、ドアを抑えていたツレが部長の口からタバコを取り、私に持たせた。私はどうすることも出来ず、持たされたタバコをただ見つめていた。
「ほら、ここを見て。私、上と下から一個一個作っていって次でこの一直線がつながるの。感動的でしょ?本当は私が締めをしたかったんだけど、特別にあなたにやらせてあげる」
部長がそう言うと、ツレが私の背中を押して二人の近くにまで連れられた。同級生が泣きながら私を見つめている。口からはよだれを垂らし、私に懇願している。助けて、やめて、助けて。彼女の訴えに私は動揺する。どうすればいいのだろうか。今からでも逃げ出して、先生にこの事を・・・。
「日明さん。早く、ほら早く」
私に考えさせる暇を部長が作るはずもなかった。ツレが私の顔を無理やり部長の方へ向けさせた。部長は狂気に歪んだ笑顔で私を見ながら。
「早くしないと、あなたを遊び相手にしてもいいのよ?」
と一言いった。それだけで私はそれ以上何かを考えることは出来なくなった。私は彼女に近づき、手に持たされたタバコをじっと見つめた。彼女の呻き声が聞こえる。彼女の身体が抵抗を見せるが、部長が完全に彼女を支配している。どんなに抵抗を見せてもそれが私や部長に届くことはない。私はタバコを近づける。彼女は抵抗する。タバコを近づける。呻き声が上がる。よだれが口から溢れでる。タバコを近づける。抵抗する。呻き声を出す。タバコを近づける。抵抗する。よだれが溢れる。部長が笑う。タバコを近づける。煙草の灰が彼女の肌に落ちる。彼女の身体が反応する。タバコを近づける。抵抗する。部長が笑う。そしてタバコの火が彼女の肌に押し込まれた。熱が肌を溶かす音が聞こえる。彼女はこれ以上ない動きを見せるが、私はタバコを押し込み続けた。彼女は身悶えながら、呻き声を上げ続けた。
「大丈夫ですか日明様?」
羊の言葉が耳に届き、私は目を開ける。視線の先は相変わらず真っ暗で、私は夢の中にいることを思い出す。夢の中で倒れるなんて・・・、私は上体を起こし羊の方を見る。羊の表情からは何も読み取ることが出来ない。羊だからわからないのも仕方ないとは思うけれど。
「映像の途中で突然日明様が倒れてしまわれたのですが、ご無事でしょうか?」
そう言いながら羊は近づき私の後頭部に自身の顔を寄せる。どうやろ私は後ろに倒れていったらしい、羊の鼻息が私の髪を揺らす。夢の中だからだろうか、私の後頭部からは痛みは感じなかった。今感じるのは羊から出される息だけである。
「大丈夫のようですね、安心いたしました」
そういうと羊は私から離れ、再び私の前に背を向ける。また歩き続けるのかとも思ったが、どうやら違うらしい。羊は前方を見ながら話す。
「どうやらこれが最後の映像のようです」
羊にそう言われて、私は初めて最後の映像を内包している気泡の存在に気がついた。気泡は一直線に歩いていた道の先で阻むように佇んでおり、その大きさは今までになく巨大で、見上げなければ気泡の頂点を確認することが出来ない程であった。
「この映像を見れば、日明様は夢から覚め再び現実に戻ることが出来るでしょう。しかし、私個人としては夢から欲しくないという思いがあります。私が消えるのが怖いわけではありません。日明様にこれ以上悪い思いをさせたくないのです。先程のような残酷な事が起こるぐらいなら今までの思い出を逡巡させ続けるのも悪く無いと思うのです・・・」
そう言いながら、羊は白い道の脇に歩いて行き、私が通れるほどの余裕のある空間を広げた。羊の足元からはもう白い道が出てこない。
「ですが、あくまで私は夢の中の存在。最終的な決定はあなたにあります。私が邪魔立て出来るようなことではございません」
羊はこれ以上何も言うことはないかのように顔をうつむかせる。
私は帰りたいのだろうか?それとも残りたいのだろうか?このまま夢に残って楽しかった思い出と共に過ごすのか、それとも苦痛を抱えながらこれから先の人生を生きていくのか。答えは決まっている。私は思いの丈を口に出す。
「あの後ね、部長さんとそのツレの人はそれまでの不祥事がバレちゃって少年院に連れて行かれちゃったの。さっきの子の件も挙げられてね、私の名前は出てこなかったんだけど結局女子テニス部は休部という名のほぼ廃部。あの子も学園を退学しちゃった」
羊が一瞬こちらを見るような動作をとったが、すぐにうつむく態度に戻した。私は言葉を続ける。
「でね、その子は・・・豊四季さんは今、私の大事な友だちになってるの。あんなひどいことをしたのに豊四季さんは私を許してくれたの。今では週に何回も遊びに行く友達同士になってる。彼女、髪も切ってわざとあの疵を見せてるんだって。強いよね、本当に」
私は歩きながら話し続ける。
「その豊四季さんが、高校に入学するっていうの。今は中学教育修了レベルの学力があることを認めてもらうための勉強中。あんな事があったのに、もう次のことを考えてる。明日に希望を持って今を頑張ってるの。そんな人を目の前にして、応援しない訳にはいかないじゃない?だから私も、豊四季さんと同じ高校に入ることに決めたの。一緒に勉強して、一緒に合格しようって約束したの。そのためにも私、起きて勉強しなくちゃ」
気づけば私は気泡の目の前に来ていた。私が一歩踏みだそうとした時、後ろで羊が静かに私に言った。
「いってらっしゃいませ」
私は一歩踏み出しながら彼の言葉に返す。
「いってきます」
気泡に触れると真っ暗な世界の黒と黒の合間から、少しずつ光が差し込んできた。やがてその光は真っ暗な世界をかき消すほどの大きな光になった。同時に私は悟った、これで私は夢から醒めることになる。そう確信することが出来た。
私の家の、昔から使われているテーブルに座る私。向かいには父と母が揃って座っている。テーブルの上には私と豊四季さんの目指す高校のパンフレットが置いてある。
「お父さん、お母さん。お願いです、この高校に受験させてください」
私は二人の前で頭を下げる。目の前で紙がめくれる音がする、父か母がパンフレットを取り上げてみているのだろう。パンフレットが落ちる音がして、父が頭を下げる私に突きつけた。
「だめだ」
私は顔を上げて父の顔を睨みつける。父も私の方を強く睨みつけている。
「どうしてダメなの?」
「どうしてって、それは陽のためを思ってのことだ。お前はこのままいけば西方学園高等部に何もせず入学できるのだ。その為に私たちは小学生の時あんなに予備校に行かせたんだぞ」
「予備校に行かせたって、それってお父さんお母さんの勝手な都合でしょ。今の私には関係ない」
「なんだと?西方学園には入れたのも、今も通い続けることができてるのは私や母さんの尽力あってのことだぞ。それに、この高校は県立高校じゃないか。お前の将来を思えば西方学園が一番なんだ、こんな中堅の行くんじゃない」
「そんなの知らないよ、私はこの高校に入りたいって言ってるの」
「いいか、お前は今14だ。社会のことをなんにもわかっちゃいない。だから私たちの先導にただついてくればいいんだ。道から外れて損をするのはお前なんだぞ?」
「分かってないのはお父さんのほうじゃない!私の話も聞かないで、ただ自分のワガママを押し付けているだけじゃない」
「ワガママじゃない、これが教育なんだ」
私は両手でテーブルを強く叩いた。もういいよ!そう言って私は立ち上がり、家を飛び出した。理由はなかった。ただ何処かに逃げ出したかった。それだけだった。お父さんはどうして私の話を聞いてくれないの?お母さんはどうしてずっと黙っているの?私って、必要ないの?
上着も着ずに外に出たせいか、冬場の寒さが身にしみた。しかし足を止めることは出来なかった。出来るだけ離れてしまいたい。どこか遠くへ、誰にも私の邪魔をしないそんな場所へ行きたかった。そんな思いで走っていた私の耳に大きな音が鳴り響いた。音の方を向くと、トラックが私の方向かって走ってきていた。クラクションが鳴り響く。突然の出来事に私は足が固まってしまった。そういえば、いつだったかこんなことがあった気がする。あれはそう、5歳の時・・・。
夢から醒めると、私は道路の上に倒れていた。全身に激痛が走り身体も顔も動かすことが出来ない。トラックはどこへ行ったのだろうか?私は今どうなっているのか?まるで分からない。見えるのは空に浮かぶねずみ色の雲ばかりであった。ここは一体どこなのだろう?私は一体どうなるのだろう?まぶたが重くなってくる。さっき起きたばかりなのに、また眠くなってきてしまった。私はかろうじて動く口を使って、痛みに耐えながら言う。
「ひつじさん、また、ゆめをみさせて・・・?」
このお話は、何かお話を作れと言われて作ったものです。グロテスクな描写とか入れるのはどうかなと思って初めに提出した作品が「まとまりすぎてる」と言われたので次に作ったのがこれです。
テーマは「走馬灯」です。なので初めはタイトルを「そうマトン!」って名前にしようと思ったんですけど中身とテンションが違いすぎるなと思ったのでボツにして、結局自分でもよくわからない題名にしてしまいました。
続きは考えてないです。その後の話は勝手に考えてください。以上です。