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本と少女と旅人のエトセトラ。  作者: 月桜 香穏
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本の旅人と最高神様。

 天ノ国ーーーーーあまのくにと読むそうだけど、そこはまさに桃源郷と呼ぶような場所だったのです。

あちこちに色とりどりの華やかな草花が咲き乱れ、気持ちのよい風が頬をくすぐる。

金銀で出来た木まであるのだから驚き。

竹取物語のくらもちの皇子?だっけが創作で語った蓬莱島が本当にあったらこんな感じだろう・・・と言っても過言ではないと思うような場所でした。


 まあ、そんな中で、私一人が妙に浮いて見えて。

当たり前なんだけどね・・・・この少女の言うことを信じるのであれば、此処は神様しか居ないのだから。

こんな何処にでもいそうな私なんてとてもつまらない物だし。


 え?何でこんなに落ち着いて居られるかって?

答えは決まり切ってるんじゃないですかね。

「あまりにも唐突すぎて、現実味が全くない」のですよ、もう。

夢落ちエンドの可能性だって大いにあるわけだし。

もし夢じゃなかったとしても、ここでジタバタもがいても全く意味がないし。

むしろこの状況を楽しめ!と、花の十六歳、高校二年の女子高生は気迷ったのです。

今になって後悔しているけど。


 そして今、私は・・・・・

日本の神様の頂点に君臨しておられる、「アマテラスオオミカミ」様の前で固まっております。


 別に、怖い、とか、神々しい、と言うわけでもないのです。私は無宗教ですし、この神様はどちらかというと気さくな方でしたし。

「どうしたのだ?」

そう言いながら輝く目をこちらに向けるアマテラス様。

どうやら人間という物をあまり見たことがないらしいし、なんと三代目なんだそうです。

神様にも世襲ってあるんですね・・・。

そんなんで大丈夫か・・・?

今後が心配だぞ・・・私が思っていいのかは別に。


 まあ、固まってるのはそんな困惑と、後ろに控える男の人?からの威圧が半端無いからでして。


 見た目は、普通の、どちらかというとやや優男に見えますし、結構格好いいし、表情も笑顔なのですが、

その目には、「変なこと言ったら殺す」という思いがありありと見えました。

そんな彼は、今は「なんか喋れ」という目で私に訴えています。

どうやら敵意があるわけでもなさそうなのですが・・・。


 などと考えながらもアマテラス様へ適当に相槌を打ったりなんだりしていると、いきなりアマテラス様はサクヤ、という名前とアマテラス様に教えてもらったさっきの桜の神様と同じことを言ってきました。


 「そうじゃ、そなた。本の旅人になってみる気はないか?」

「それ、サクヤさんにも言われたんですけど・・・・何なんです?それ。」

今までずっと気になっていたことを言ってみましょう。何か分からないものになるわけにもいきませんし。

「簡単に説明すると、本の中で暴れ、結末を勝手に変えてしまう『改変者』を実際に本の中に入り、結末を戻した上で、その改変者を粛正する者のことじゃ。ま、本の警察って感じじゃな。」

本の中に入れるのか・・・・素敵だ・・・。

「でも、何で人間の私なんかが?」

当然の問いを投げかけます。すると、なぜかアマテラス様は、嫌な事を思い出したかのような苦い顔で、

「それにはな・・・。少し訳があるのじゃ・・・。」

と苦々しげに言うのです。


その後、アマテラス様が語って下さった話は、まさに神様の汚点とも呼べるような事件でした・・・・


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