~序章~
時は幕末、黒船来航以来の人々の行動が著しく二つに分かれた。
一つは幕府を守る佐幕派、もう一つは新時代を切り開こうとする討幕派。
戦国以来の激しい戦乱の巻くが開かれた。
「桜嗣・・・・なんでお前が・・・・・」
「・・・・光夜こそ・・・なんで討幕派に・・・・」
身を切るような冬の寒い夜空、月明かりが京の町を照らす。
綺麗な月夜なのに、そのせいで会ってはいけいない二入を会わせてしまった。
橋の真ん中で、お互いの顔を見合わたままい一歩も動かない。
「どうして・・・・どうしてお前がそこにいるんだよ!光!」
痺れを切らした桜嗣は右手に持っていた刀を振り下ろし、大声で叫んだ。
だけど、光夜は無表情のまま応えない。
「俺と一緒に『日本を守ろう』って約束したじゃないか!それなのに・・・討幕派の仲間になるなんて・・」
刀がカタカタと聞こえる、気がつけば右手が震えていた。
悲しみか怒りの感情を抑えていたのに、体が勝手に震える。
「・・・・・それはこっちのセリフだ桜、お前が佐幕の・・まさか新撰組に入っているとは思わなかったよ」
ようやく光が口を開いた。しかし、怒り混じりの声と冷たい視線をさす。
「なぁ桜、新撰組なんか抜けて、俺達と共に新しい日本を作らないか?皆も歓迎してくれるよ」
急に優しい視線で手を差し出す光、昔と変わらない顔に少しためらった。
だけど・・・・
「すまない光・・・・俺は・・・お前達のところに行かない、俺は新撰組の隊士として生きる。
そして、この国を守っていく。」
「・・・やっぱり変わったね。同じ夢を持っていると思ってたの、違った。この・・・・裏切り者ーーー!!」
光夜が刀を取り出し、上段から桜嗣に切りかかる。
俺は刀で受け止めた。
「裏切り者はどっちだ!俺は何も変わらない国が好きだ。だから、守るって決めたんだ!」
力任せに刀で押し返した。
光夜は体制を崩れかけたが、すぐに切りかかってくる。
何度も襲い掛かって、何度もなぎ払う。
お互い、息が上がっていた。そろそろ、体力の限界が近い。
「今の幕府に何も力はない!迫り来る外国に立ち向かうことしない、軟弱な幕府だ。俺達がそんな幕府を倒して、新しい日本を作って守るんだ・・・」
上がっていた息を止まり、光夜は刀を構え俺に向き合う。
これが、最後の戦いになるのを勘でわかった。
俺も刀を構えて、光夜と向き合う。
どうして、唯一無二の友と戦わなくてはならない。
同じ夢と志を持っていた二人は、いつ、どこで、どうして、違う道を選んでしまったのだろう・・・・。