6話目
無邪気な小さな女の子が段々近づいてきた。
『ね、貴方は何が好き?』
「分かんねーな。」
『じゃあ、好きなスポーツは?』
「知らねーよ。」
『なら、何処生まれ?』
「さーな。」
『ぬー。何処で育ったの?』
「何処だろねー。」
『むー。答てよー。』
無邪気に頬を膨らませて怒る女の子。
「答れるなら答えるよ。むしろこっちが聞きたいよ。」
ボソッと本音を言うと、女の子から無邪気さが無くなった。
『どういうこと?』
「記憶なくしたから。」
『どうして?』
あの無邪気さは嘘だったかのように、冷たく放たれる言葉。
「事故、だってさ。」
『どうして?』
「は?どうしてって…。」
『何故誰も過去を教えてくれないの?』
「そ、それは知らない…」
『何故誰もが貴方の過去を隠しているの?』
無表情で無感情の女の子がまた近づいてくる。
そして俺の左手首を掴むと、俺の顔を指差し、目を見開き叫んだ。
『貴方は何故死ななかったの!?何故生きてるの!?』
やめてぇぇ!!
ハッ!!
自分の声で目が覚めた。
「はぁ…はぁ…。」
息が乱れ、動悸が収まらない。
冷や汗をかいていた。
何だったんだ…何ていう夢なんだよ…。
あの女の子は何だよ…最後の言葉は…。
ゾクッ。
体が震える。吐き気がする。頭が痛い。
『何故死ななかったの!?』
その声が耳から離れない。
左手を見ると数本の傷跡が手形の様にも見えた。
まるで、あの女の子に掴まれた跡の様に…。
でも…確かにそうだな…。
いくら過去でも、手首を切って自殺をしようとしてたくせにな…。
大事故にもあったくせにな…。
だんだん作者が飽きてきましたwww