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MORITARIN 8

...

Episode -3 A

♢ ♢ ♢ ♢ ♢


ロギは新しい部屋の中で、掃除と荷ほどきに追われている。


淡い桃色の包みを開くと、家族写真が出てきた。元気だった頃の母がロギを抱きしめ、明るく笑っている姿……。


病気の母を思い、ロギの目にじわりと涙が浮かぶ。悲しみが込み上げてきた、その瞬間――


[ジイイ〜ン]バミューダが震えた。


「ん?」


ロギは適当に涙をぬぐい、バミューダをのぞき込む。


いつの間にか夕食を終えた子どもたちが、グループチャットに集まって話していた。


だがロギには、誰が誰なのか分からない。みんなそれぞれニックネームを使っているからだ。


草原の王:それ、ダビが渡したんだよな〜


宇宙勇者:うん、ロギのパパに渡したよ〜 ロギいなかったけど。


チョコ  :なんでいないの?


チーズバーガー:え? いないと困るよ?


草原の王:なんでいないんだ?


ヨ!   :まさか……


ヨ!   :ロギ、村の地理知らないよ! 今日引っ越してきたんだよ?


チョコ  :ダビ、ロギ探しに行かなかったの?


宇宙勇者:あ……あっ!


チョコ  :「あっ!」じゃないでしょ!! ほんとにもう〜


宇宙勇者:えっと……今から出ようか。


チーズバーガー:みんなで行こうよ。全員で行けばすぐ見つかる。


白石姫  :このバカ兄ちゃん!


ヨ!   :とりあえず、みんな外に出よう。


みんながロギを心配しているその時、ロギはその会話を見て笑っていた。


これ以上大ごとになる前に参加しようとした瞬間、バミューダに「表示名を入力してください」という画面が出た。


慌てたロギは急いで『ホットク魔女』と入力し、すぐに書き込んだ。


ホットク魔女:やめてー


一瞬、静寂が流れた。


だが新しく入ってくる人物は一人しかいない。


その見慣れない名前が誰か、みんなすぐに察した。


ホットク魔女:無事に家に着いたよ。心配してくれてありがとう。


ヨ!   :よかった、ロギ〜


白石姫  :お姉ちゃん〜 心配したよ〜


チョコ  :ロギ〜


宇宙勇者:わあ、よかった。


子どもたちは次々に「心配してた」と気持ちを伝えた。


ロギが迷子になったものの、あるおばあさんの助けで無事帰れたことも、みんな知ることになった。


ホットク魔女:だいたい誰が誰か分かったけど、『草原の王』と『チーズバーガー』は誰?


チョコ  :草原はレオで、チーズはエリだよ、ロギ〜


ホットク魔女:ありがとう、パイ〜 じゃあエティはなんで白石姫なの?


チーズバーガー:エティまだ文字あんまり読めなくて〜 白石って入力されちゃったけど、それが気に入ったんだって!


白石姫  :これ好き! うん! [STONE WHITE]


ホットク魔女:なるほど! それで最後! この機械ってどこで手に入れたの? みんなで買ったの?


草原の王:違うよ。全部エリが作ったんだ。


エリは幼いのにとても賢く、捨てられたゴミの山から部品を集め、


友だち同士が連絡できる通信機を作った。


もちろん難しい部分は、勉強部屋の先生の助けを借りている。


ホットク魔女:すごいね、エリ。天才じゃない?


チーズバーガー:ちがうよ〜 先生が手伝ってくれたんだ〜


子どもたちは時間を忘れて話し続け、明日の役割分担なども共有した。


そして物語遊びの締めくくりについても話し合う。


ヨ!   :ロギ、明日ちゃんと物語まとめ読んできてね〜


ホットク魔女:うん〜 ちょうど今読んでる。


ヨ!   :それからロギも物語ひとつ作らなきゃ。


ホットク魔女:物語を作るの?


ヨ!   :そう。ロギの好きなジャンルは?


ホットク魔女:好きな物語かあ……


ロギはしばらく悩んだが、すぐには思い浮かばなかった。


それからも子どもたちは、途切れない会話の中で笑い合い、楽しい時間を過ごした。


それぞれの家から小さな機械を通して繋がるもう一つの空間は、


子どもたちにとってまるで夢のような瞬間だった。


そしてその空間は、彼らを急速に近づける特別なきっかけになった。


だがその時、子どもたちはまだ知らなかった。


この時間が、やがてどれほど大切な思い出となり、


人生に慰めと勇気を与えることになるのかを……。


♦ ♦ ♦ ♦ ♦


月明かりの下、襟首をつかまれたポルンと、それを揺さぶるイート……。


実のところイートはオルピンではなく、ただ彼らと親交があっただけだ。


なかなか落ち着かないイートを、ポルンは必死に宥めようとしている。


イート:「ポルン! 俺がどれだけ長い間捕虜だったか分かってるのか!? なんで一度も来なかった、この野郎!」


ポルン:「俺は!……本当に知らなかったんだ。連絡がなかったから、まだ怒ってるのかと……。」


ポルン:「だから待ってた……ごめん。本当に知らなかったんだ〜」


イート:「俺が虫どもにどれだけ殴られて、辱められたか分かるか!?」


ポルン:「申し訳ありません!! 本当にすみません〜!!」


ポルン:「あっ、そうだ! 赤い鶏!! 虫ども……全部俺が復讐してやろうか?」


イート:「は!? ……まずお前からだ! 先にお前をやる!」


ポルン:「ああ……ごめんなさい。」[>.<]


イートはなおもポルンをつかんで揺さぶる。


それを見ているロターとパッド……彼らには、赤い鶏イートが本当に偉大に見えた。


[ポルンは全オルピンの中で最高位の総司令官。


宇宙でポルンと対等に立てる存在は、ほんのわずかだと言われている。


だがその“わずか”を実際に見たオルピンはいない。]


そのポルンの襟首をつかみ、揺さぶっているのだ……しかもポルンがたじたじになっている!


それを見ながらロターが口を開く。


「パッド、そういえばなんでポルン様って黄金のフクロウなんだ? 体に黄金色なんて全然ないじゃん。どう見ても黄色だろ?」


しばらく考えたパッドも真面目に答える。


「そう言われてみれば『黄色いフクロウポルン』の方が正しいな! 変だ! 変だぞ〜 一回聞いてみるか?」


ただでさえ困っているポルンは、背後でぺちゃくちゃしている部下たちが許せない。


ポルン:「おい〜お前ら、どっか行って虫でも狩って戻れ! 消えろ!……」


ポルン:「早く! 消えないのか!!」


ポルンは八つ当たりした。もちろん襟首をつかまれたままだ。


ロター&パッド:「はっ! 了解です!」


二人は火の粉が降りかかる前に慌てて退散した。


全力で走るパッド〜 マントを翻して飛ぶロター〜


その途中――


気絶している巨大なウグ……それを全身で抱きかかえ、離れられないモンドの姿がパッドの目に入る。


しばらく黙って見つめたパッドは、静かに近づいた。


モンドはウグのことで頭がいっぱいだったが、近づくオルピンに気づいて絶叫しそうになる。


同時に、小さな体で巨大なウグを隠そうと必死だ。


枝を拾い、葉っぱで覆おうとばたばたするが、とても隠せない。


最後に選んだ行動は――近づくオルピンの足元にひれ伏すことだった。


口を開いて許しを乞うことはできない。


バラクの中でも最下層のモンドが、オルピンの前で口を開けば殺されかねない。


まるで虫と強大な鳥の関係だ。


パッド:「なぜ逃げない?」


モンド:「え? ……あっ!」


モンドはとっさに両手で口を押さえる。命の危機だ。


全身を震わせるモンドを見て、パッドは右手のひらを上に向ける。


力を集中させ、いくつかのエネルギーボールを生み出した。


それを見たモンドは思う。


(もう死ぬんだ……)


だがその瞬間、パッドは再び驚いた。


モンドが震えながらも両腕を広げ、自分の体でウグを守ろうとしている。


まるで身代わりになるつもりのように。


足がぶつかり合うほど震えながら、ついに泣き出した。


モンド:「うえぇ……うぅぅ……うええぇ〜」


パッド:「泣くなって……」


パッドはしばらくモンドを宥める。


パッド:「そんなに助けたいのか……なら、これをあいつの体に押し込め。」


[パッドは作った球体を渡す。]


だがモンドは壊れた機械のように震え続ける。


パッド:「大丈夫だ。これを入れなきゃ死ぬぞ。」


パッド:「……言う通りにすれば、腕も直してやる。」


ようやく説得され、モンドは恐る恐る球体を受け取り、


気絶しているウグの体へ押し込んだ。


するとウグの意識が徐々に戻り始める。


やがてゆっくりと目を開けるウグ。


震えるモンドと、紫のオルピンが視界に入る。


瞬時にモンドの命が危ないと判断し、傷だらけの体を無理やり起こす。


モンドを守ろうと腕を伸ばすが――


片腕はすでに失われており、パッドに害を与えることはできない。


そして再び意識を失った。


パッドは深く考え込む。


パッド:「答えろ。お前たちは何だ? なぜだ?」


モンド:「え……?」


パッド:「なぜ逃げない? そしてあの巨体はなぜ……?」


パッド:「……まさか?」


遠くで見守るロターは、パッドのささやかな好奇心が退屈で仕方ない。


それでも、黙って待っている。


「……もう帰ろうぜ……」


-3 A END

本作『MORITARIN』は現在、漫画版の制作も進行しております。


小説とはまた違った形で物語の世界を描いておりますので、

ご興味がありましたらぜひご覧ください。


▼漫画版はこちら

https://www.amazon.co.jp/dp/B0G6MJ6RT9


今後とも『MORITARIN』をよろしくお願いいたします。

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