MORITARIN 7
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Episode -2 D
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イートは、はるか昔――あの日のことを思い出す。
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赤いマントを翻し、宇宙空間を横切って移動してきた彼は、武装したオルピンたちが集まる場所へ真っすぐ近づいていった。
真っ先にイートを見つけた下級のオルピンが叫ぶ。
「っ! イートだ! 赤い鶏が来るぞ!」
オルピンたちは武器を構え、近づいてくるイートを睨みつける。彼らの仲は、あまり良さそうに見えない。
イートはその中で一番体格の大きいオルピンへ近づく。彼はオルピンの群れの将軍だ。
イート:「ポルンに会いに来た。ポルンに会わせろ。」
将軍:「この不届き者め! よくもオルピン総司令官の御名を、軽々しく口にしたな!
その口を慎めと、何度言えば分かる!」
今、将軍が見ているイートは、現在のイートとはまるで違う。背も高く、引き締まっていて鋭い。
もちろん将軍よりは小さいが、それは将軍が異様に大きいからだ。一般的なオルピンより、イートの方が少し大きかった。
イート:「急いでる。どけ。そうしないと……お前……」
将軍:「この不届き者め! 俺を脅す気か? そうしないとどうするつもりだ!
いいだろう! 今日こそ、その生意気な態度を叩き直してやる!」
その瞬間、武装したオルピン全員がイートを取り囲む。沈黙の中、戦の気配が濃くなる。
一方、はるか遠くからそれを眺め、ストローで飲み物をすすっていた黄金のフクロウ――ポルンは、心配そうな目をしていた。
ポルン:「あぁ……それは駄目だって……うーん……」
オルピン大将の突撃命令で、全オルピンがイートへ襲いかかる。
ポルンは黙って見つめたまま、カップに残っていた飲み物を全部飲み干す。
『じゅるる、じゅるる』[ストローで底まで吸い上げる音]
暗い宇宙。大将の黒いマントが視界を覆う。
そのマントがゆっくり動くと――拳を握りしめたイートの姿が現れた。
彼の周囲には、さっきまでいた大勢のオルピンが、全員気を失って宇宙空間に浮かんでいる。
そして闘志に燃えていた大将の目も、ゆっくり閉じていき――まるで全てを手放したように気を失った。
ポルン:「おいおい〜! 一発って何だよ、一発って!
だから俺、赤い鶏には手を出すなって言っただろ! なんで言うこと聞かないんだ!」
そんなポルンの方へ飛んでくるイート。彼はポルンに向かって手を振り、笑っていた。[ポルンに頼みがある]
ポルン:「何だよ、いい気になって手を振って……褒めてほしいのか? あいつ正気か?」
イート:「ポルン、今すごく急いでる。今回は本当に治療薬を見つけたんだ。」
イート:「最後に、もう少しだけ時間をくれ! 俺が全部片付ける。頼む、ポルン〜」
ポルン:「はぁ……」[しんどい]
イート:「ポルン、ほんとだって! 今すぐ証拠も見せる。ちょっとだけ!
裁きを保留にしてくれ。頼むよ、ポルン。な?」
ポルン:「うぅ……イート……」
イート:「あ……ポルン……」
ポルン:「時間は……十分にやった。」
イート:「え? ポルン! 待って……説明できる、本当なんだ!」
ポルン:「すまない。もう俺の権限じゃない。」
ポルンはイートを背に、光る門を生み出し、その中へ入ろうとした。
イートはポルンの気持ちを変えさせようと急いで近づくが――
<ドン>
見えない壁にぶつかった。
イート:「うわっ……何だこれ!? ポルン! ポルン! 行くな! 話を聞け!」
ポルン:「すまない。時間は十分にやった。」……「本当だ。もう俺の権限の外なんだ……」
イートの目の前で、ポルンは消えていく。どれだけ叫んでも、ポルンは振り返らない。
見えない壁を叩いていたイートも、やがて悔しさを抑え、背を向けた。
そして戻ろうとした――その時、また――
<ドン>
イート:「うわっ……」
背中はもちろん、四方すべてがイートを塞いでいる。
見えない力は神秘的で、イートの強大な力でも壊せなかった。
門を壊そうと必死にもがくイート……
拳を突き出すたび、手が近づいてくるように感じるのは気のせいか?
動きを止め、しばらく自分の手を見る……おかしい。なぜか手が前より小さくなった気がする。
全身を見回す……まさか。手も足も――小さくなっていないところがない。
彼は叫び、ポルンを呼んだ。
「おい!! ポルン!! ポルン!!」
[以上――イートの過去の記憶。]
その痛みの瞬間を思い出していたはずが、ふと我に返ると――
オルピン総司令官、黄金のフクロウ・ポルンが、彼の手をぎゅっと握っていた。
ポルン:「相棒、元気にしてたか?」
イート:「……てめぇ……」
ポルン:「うん、イート。何でも言え。俺は聞いてる。」[極めて優しい眼差し]
イート:「……お前が……」
ポルン:「うん?」
イート:「お前が俺をこんな姿にした……よくも俺を、こんなふうにしたな?」
その瞬間、イートはポルンの襟元を掴み、揺さぶった。揺れるポルンのフクロウの頭。
ポルンは、想定していた流れなのか驚きもしない。むしろ、あまりにも淡々としている。
イート:「俺を見ろ! お前が俺をこんな姿にしたんだ!」
ポルン:「違う。」
イート:「何だと!」
ポルン:「違うよ〜。俺には、お前をあの姿にする力はない。つまり、俺の仕業じゃない。」
イート:「この野郎! 元に戻せ!」
ポルン:「俺には戻す力もない。つまり、本当に俺がやったことじゃないってことだ。」
ポルン直属のロターとパッドは、この光景を目の当たりにして小声で盛り上がる。
パッド:「見た感じ、イート様が伝説っての……本当っぽいな〜! いや、確実だ……」
ロター:「だよな! 俺もそう思う!」
パッド:「総司令官様が誰かにあんなにタジタジになるの、見たことある? 俺、初めてだわ〜」
ロター:「やばいマジ! 俺もそう思う!」
パッド:「イート様は、やっぱ伝説だった。」
ロター:「やばいやばい〜言うまでもない! 口が疲れるだけだ〜」
……まるまると明るく光る月が、世界を美しく照らす夜空の下、
今日はオルピンたちが集まって……襟首を掴まれている。
-2 D END
本作『MORITARIN』は現在、漫画版の制作も進行しております。
小説とはまた違った形で物語の世界を描いておりますので、
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今後とも『MORITARIN』をよろしくお願いいたします。




