MORITARIN 11
...
Episode -3 D
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
翌日、ロギは「物語づくり」の問題を解決するため、ヨナと一緒に勉強部屋へ向かう〜
先生はヨナとロギを嬉しそうに迎えてくださる。
勉強部屋はいつだって、子どもたちが自由に出入りしても何の問題もない、当たり前の〜子どもたちの空間だ。
先生は子どもたちに飲み物とおやつを出してくださり、いっしょに席につく。
ロギは最近起きたすべての神秘的な出来事とともに、今すぐ自分だけの物語を作らなければならないという悩みを打ち明けた。
そうしているうちにロギは、先生が自分の話を信じてくれないのではと怖くなり…顔色をうかがう。
「先生、ほんとなんです! うそじゃないですよ〜」
先生は少しも驚いたり疑ったりなさらない。むしろ現状をロギよりもずっと詳しく知っているような様子だ。
「そうよ、うそじゃない〜 それに今は物語を組み立てるのが一番の問題よね! 先生が手伝ってあげる〜」
ロギは驚いた! 先生はもう全部知っているんだ、と感じた。けれど何を聞けばいいのか分からなかった。
ヨナがノートと鉛筆を取り出す。ノートを開くとすぐに書く準備を整え、ロギを見る。
ヨナ:「ロギ、あなたは何が好き? まず好きなものから言ってみて。」
ロギ:「私が好きなもの! …」\[顎の下で両手を合わせ、考え込む。]
先生は、子どもたちが互いの「好き」を真剣に話し合う姿を愛おしそうに見守っている。
ヨナが熱心にロギとの会話内容を記録していた、その時だった。
ヨナの左腕にはめていた手袋のようなものが、トン、と下へ抜け落ちてしまう。
ロギはびくっとした。手袋が外れたヨナの左腕は、肘から下が…何もなかったからだ。
ヨナ:「あ! 先生、これまた外れちゃいました〜」
先生:「うん〜 ちょっと待っててね〜」
先生は落ち着いてヨナの腕の状態を見てくださる。
擦れたところや皮膚に問題がないかを確認する。
そして義手の内側とヨナの腕の汗を拭き取り、義手をまた装着してくださった。
ロギは目を丸くしている。すると先生が優しい声で話される。
「ヨナは生まれつき、左腕と右足がなかったの〜 だからこうやって義手と義足を着けているのよ。」
先生の微笑みには、どこか切なさが宿っているように見えた。ロギは悲しそうな顔で、何も言えなかった。
「先生、ありがとうございます。」ヨナが言った。そしてすぐにまたペンを取る。
先生はヨナの額と頬に何度もキスをされる。
その後もいろいろ話すが、ロギはなかなか物語のテーマを見つけられずにいる。
その時、先生が二人の会話にひとつ質問を投げかけた。
先生:「ロギ、最近うちのロギが一番楽しいって思ったのは何かしら?」
ロギ:「うーん…」(目を閉じて考える)
ヨナ:「物語遊び」
ロギ:「物語遊びも良かったけど…それより。」
ヨナ:「ほか?」
ロギ:「あ! そうだ。」
ヨナ:「あは! ダビ事件?」\[物語まとめ資料の誤配送事件]
ロギ:「ちがう〜 『魔法の子』が一番面白かった。」
ヨナ:「うっ…」
先生はヨナが書いた『魔法の子』のことを知っていた。
「おほほ! うちのヨナが作ったお話が、ロギにはそんなに面白かったのね?」
ヨナの顔が少し赤くなる。「はは…はぁ〜…」
照れているヨナを、ロギがじっと見つめる〜
「はい、すごく面白くて。私、そのお話の中で、ほんとに何か触ったり、歩き回ったりもしてみたかったです。」
ヨナはまだ照れていて、ロギは自分が感じたことを説明したいのに、表現の仕方が分からない。
先生はヨナとロギに、『魔法の子』の後半を二人で一緒に作ってみるよう勧めた。
ロギの目がきらっと光る。嬉しくなったロギが、ヨナにあれこれ意見を言い始めた。
ロギ:「私は、魔法と話が通じたらいいな。」
ヨナ:「話が通じるって?」
ロギ:「お互いに会話できて、仲良くなれたりしたらいいって思ったの。」
ヨナ:「なるほど! みんなが魔法と会話できる設定!」
ロギ:「ちがう、私だけ!」
ヨナ:「うっ…パイと同じだ〜」
ロギ:「パイも魔法と話すの?」
ヨナ:「ちがう。パイは動植物と話すの〜 ひとりだけ。」
ロギ:「あっ! 私も動物と話したい。」
ヨナ:「それはパイに許可もらわないと。」
ロギ:「じゃあ…それは次に。」
何か糸口が見えると、ロギとヨナは夢中で想像したことを出し合い、書き留めていき始めた。
そんな子どもたちの純粋な姿が、先生の目にはとても可愛く、愛おしく映る。
-二人は時間が経つのも忘れている。
-3 D END
本作『MORITARIN』は現在、漫画版の制作も進行しております。
小説とはまた違った形で物語の世界を描いておりますので、
ご興味がありましたらぜひご覧ください。
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今後とも『MORITARIN』をよろしくお願いいたします。




