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MORITARIN

この物語は、

特別な英雄のための物語ではありません。


ただ、子どもたちが

見知らぬ世界に向き合い、

少しずつ成長していく記録です。


『MORITARIN』の世界には、

魔法と科学があり、

恐ろしい存在と優しさが

同時に存在しています。


物語を読み進めるうちに、

忘れていた感情を

ふと思い出すかもしれません。


気軽に、

ゆっくりと、

この世界を歩いていただけたら嬉しいです。


— MORITARIN

Episode -1 A

♦︎ ♦︎ ♦︎ ♦︎


星々が満ちて輝く宇宙


果ての見えないその広大さの、ほんの一角――


どこかで、ひときわ濃い赤い光を放つ神秘的な星が現れた。


しかし、よく見るとそれは星ではない。


何だ?


少なくともその“何か”が、最も近い惑星へ向かって長い光の尾を引きながら移動しているのは確かだった。


もしかすると、落下しているのかもしれない。


同じ時刻、頭に黄色い鹿の角を持ち、全身を黒いローブで覆った謎の存在が、鏡のように見える何かの前に座っている。


彼はそれを食い入るように見つめながら、必死に何かを探しているようだった。ひどく焦っている様子がうかがえる。


しかし、しばらく経っても望む答えは見つからない。


よく見ると、黒いローブに付いたフードで顔を覆い、かろうじて鼻だけが見えている。


何かを必死に隠し通そうとしているかのようだ。


ローブの外に露出した前足と後ろ足は、緑色の爬虫類の鱗のようなもので覆われている。


そして手足は、まるで獣の蹄のような形をしていた。


しばらくして、鏡のようなそれの中に赤い光を見つけ、観察していた彼が叫ぶ。


「そうだ! 見つけた!」


「お…どうしてあんなことに? どうしてここまで……」


彼は言葉を続けられなかった。両目には涙が浮かんでいる。


心配と悔しさ、そして罪悪感が彼を苦しめる。耐えがたい深い後悔が彼を押し潰していた。


「私は…私たちは、お前の切実さを無視した。目を背けた……今はそれを、ひどく後悔している……」


「お前の判断が正しいと分かっていながら、私たちは意地を張ったんだ……お前の言葉が正しかった」


「私たちは、おそらく許されないのだろう……永遠に、許されない……」


「自分たちで築いた壁に閉じこもり、運命を恨むことしかできなかった……


はぁ……うっ……」


深いため息と涙を流しながら、後悔と嘆きに沈んでいたその時、突然強烈な恐怖が彼を襲った。


「馬鹿者! 今はそんなことをしている場合じゃないだろう!」


彼の心は再び焦りに満ちた。赤い光の存在が惑星へ向かって真っ逆さまに落ちている。そしてそれを救えるのは、


自分しかいなかった。


場違いな後悔と嘆きに、あまりにも多くの時間を費やしてしまったのだ。


彼は慌てるあまり、赤い光が惑星のどこへ向かっているのかも確認しなかった……それでも、


無我夢中で洞窟の外へ飛び出した。


彼が立っていたのは高い山の頂だった。まるで四方に広がる雲が平らに敷き詰められ、大地を成しているかのような神秘的な場所だ。


「くそっ…!」


「どこだ? どっちだ?」


「戻って確認するべきか?」


「いや、時間がない…どうすればいい?」


「どうすれば…どうすればいい…」


ひどく動揺した彼は、自ら生み出した問いの沼に沈み込んでいく。


その時、不思議な力が赤い光の位置を彼に伝えた。


「ん…? あそこだ! あの方向だ!」


「誰だ? この瞬間、誰が私に…?」


だが考えている余裕はない。


彼は光の軌跡を感じ取り、その方向へ急いで走った。


しかし、すでに遅かった。


一瞬のうちに、彼の目の前で赤い光が雲を突き破り、地上へと急速に落下していく。


最後の瞬間、全力で手を伸ばして掴もうとしたが、力を使う間もなく、その存在は視界から消えた。


「あああ…終わった…」


完全な絶望。彼は動けなかった。暗い絶望が彼を飲み込もうとしたその瞬間、


まるで誰かが再び彼を助けたかのように――


その助力は、黄色い角が冷静な判断のもと素早く動けるよう導いた。


「誰かは分からないが…ありがとう」


何かを決意した黄色い角は、前足で大きな円を描くように動き始めた。


すると赤と黄色の雲、そして緑の雲がゆっくりと現れ始め、両方の蹄を合わせた瞬間、


二つの小さな雲が少しずつ一つになっていった。


彼は四つ足で地に伏し、獣の姿勢を取る。まるで丸々とした鹿が突進の準備をしているかのようだ。


黄色い角が神秘的な力を集中させると、合わさった雲は一つの球のように丸く変わった。続いて、


彼は急いで姿勢を整え、それを両手で胸元へ引き寄せた。


黄色い角は呼吸を整え、輝く球へ向かって命じる。


「赤い鶏の位置を示せ。」


同時に彼の目が明るく輝いた。


やがて彼は赤い鶏の位置を突き止める。


黄色い角は周囲を見渡した。赤い鶏を助けられる、生き物はいるか――。


そして、程よい場所でのんびり草を食んでいる野獣を見つけた。


彼が小さく呟き始めると、野獣の頭上に彼が作り出したものと同じ輝く球がゆっくりと降りてくる。


その球は鼻先に触れたかと思うと、そのまま野獣の中へと吸い込まれていった。


野獣は黄色い角の意思のままに動き、赤い鶏へ向かって全力で駆け出した。


高い空から雲を突き抜けて落ちてきた赤い鶏は、幸いにも海面に浮かんでいるのが見える。


一度深く沈み、すぐに浮上したのだろう。


だが、再びゆっくりと海の中へ沈み始めていた。


それを見た黄色い角は、焦る気持ちのまま野獣を赤い鶏の位置へ急がせ、


断崖から海へ向かって飛び込ませた。


大きな水音と共に飛び込んだ野獣は、意識を失い沈んでいく赤い鶏を見つける。


鼻先で押し上げ、角に引っ掛けるようにして水面へ浮上し始めた。


やがて水面に姿を現した時、赤い鶏は野獣の背に乗せられていた。


ぐったりとしたその姿。気を失っているのか、反応はない。


黄色い角は遥か遠くから蹄を舐め、同時に神秘の力が赤い鶏をゆっくりと回復させていった。


「よかった…間に合った…すまない、本当にすまない…」


彼は安堵のため息をついた。全身は汗でびっしょりだったが、心から喜んでいた。


「すまない、赤い鶏…本当にすまない…守護者よ…」


しばらく沈黙した後、彼は静かに呟いた。


「だが…安心してくれ。完全な滅びではなかった。」


「少し前に…私のもとへ希望の種が訪れた。」


「今度は、私が彼らを守る。」


彼は決意とともに、血が滲むほど蹄を強く握りしめた。


---


それから長い時が流れた。


赤い鶏は荒廃した惑星で、ぼろ布を一枚まとい、かすかな灯りだけを頼りに、


暗く見知らぬ道を力なく歩いていた。


この道が正しいのかどうかも分からない。


半ば正気を失ったまま、荒い息を吐きながら呟く。


「今度こそ…必ずタリンの森に辿り着かなければ…何があっても、やり遂げる。」


深い闇へと進むほど、馴染みのある恐怖が静かに頭をもたげる。


「虫たちが…もうすぐ来る。」


「そうだ…またあの時間が近づいてきた。きっと奴らが来る。」


彼は灯りと寒さを防いでいたぼろ布を脱ぎ捨て、


果てのない闇の中へ、ゆっくりと歩みを進めていった。


♢ ♢ ♢ ♢ ♢


一方、別の惑星――地球では…


青いトラックが一台、引っ越し荷物を満載にして、人気のない道路をひたすら走っている。


天気はとても良い。空は濃い群青色で、白い雲が美しく浮かんでいる。


長い間整備されていないような道路を進むそのトラックには、父と幼い娘の二人が乗っていた。


今、彼らは「引っ越し」の最中だ。


だが、窓の外を見つめる少女の表情は明るくない。


何も言わず、広い大地と高い空を見つめている。その顔には不安が満ちていた。


空を見上げていた少女は、やがて視線を外し、前を向いて静かにうつむく。


父はその一瞬一瞬を、ずっと見守っていた。


しばらく迷った末、父は静かに娘の名前を呼ぶ。


父:ロギや〜


ロギ:…うん?


父:父さんが悪かった。


父:ロギの許しもなく、急に引っ越しを決めてしまったな。


父:父さんから見ると、ロギの顔が少し不満そうに見えてさ〜


父:だから、すまない。


ロギ:不満?


父:うん?


ロギ:父さん、不満ってなに?


ロギはまだ七歳になったばかりだった。「不満」という言葉の意味が分からないらしい。


父はその意味を丁寧に説明する。


その後、ロギは再び静かにうつむいた。


やがて、ふと母との約束を思い出す。


そして無理に元気な表情を作り、口を開いた。


ロギ:ちがうよ、父さん! ママのために頑張るって決めたじゃない! ママと父さんと、私!


ロギ:またみんなで一緒に暮らす日のために、頑張らなきゃ! 心配してる場合じゃないよ。ね?


ロギ:ママと約束したんだ。私が父さんを助けるって! 覚えてるよね?


父:ああ、ロギ。父さんをたくさん助けてくれ。うちの娘は…うーん…


その瞬間、父は込み上げる感情に言葉を詰まらせた。揺れる心を抑え込み、続ける。


父:父さんはロギの助けが、すごく必要なんだ!


ロギ:大丈夫だよ、父さん! 私が何でも手伝う! ぜんぶやるよ! ママのために、父さんのために!


父:ああ、父さんも頑張る。うちの娘は最高だ!


ロギ:あはは! 頑張って、父さん!


父:ああ、頑張るよ。ありがとう、ロギ…


もう感情を抑えることはできなかった。父はただ黙って運転を続けた。


静かに荷物を運んでいた青いトラックは、いつの間にか希望と愛を満載にして走っていた。


-1 A END

ここまで読んでくださり、

ありがとうございます。


『MORITARIN』は、

最初から大きな世界として構想され、

時間をかけて少しずつ形にしてきた物語です。


子どもたちの小さな歩みの中に、

広い世界と、まだ語られていない物語が

静かに広がっています。


これからも続いていくこの物語を、

気長に見守っていただけたら嬉しいです。


また次の物語で

お会いしましょう。


— MORITARIN

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