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創作におけるエルフの系統発生、属性、信仰に基づく比較考察

本稿は己の備忘録として窘めたものであり、編集中であることをに注意して欲しい。


よって、誤情報があることや更新されることを、先に謝罪しておく。


 ファンタジーにおけるエルフの系統発生、属性、信仰に基づく比較考察。




これは、古今東西のファンタジー世界に登場するエルフという種族概念を、包括的かつ体系的な分類の観点から分析することを目的とする。


単なる外見的な分類に留まらず、その起源となるゲルマン神話から現代ハイ・ファンタジーに至るまでの進化の過程を追跡し、特にユーザーが求める三つの主要な側面、外見、物語における属性、そして文化面の相互作用と因果関係を考察する。


この分析を通じて、エルフの多様性が、人類の理想と欠点、そして物語性を広められる可能性についてのネタとしていきたい。


エルフの語源論 アルヴからエルフへ

現代ファンタジーのエルフ概念の源流は、北欧・ゲルマン神話における「アールヴ」に求められる。


この原型の概念は、明確な定命の種族というよりも、自然の力や祖先の霊、あるいは神々の下位に位置する精霊的存在として定義されていた。彼らは、人間界と神界の間に存在する、曖昧で超自然的な種族として認識されていたが、その具体的な姿や役割は地域や時代によって変動した。


エルフの分類は、三つの要素の組み合わせによって構成する。


第一に、容姿は、彼らが適応した環境、森林、地下、文明や、彼らが抱える呪いや祝福から視覚的に表現する。


第二に、物語上の属性は、彼らの社会構造、魔術的能力、そして人間種族との関係性において物語上で果たす役割を示す。


第三に、最も決定的な要因として、文化体系が存在する。

これは、エルフがどの神々、精霊、あるいは祖先を崇拝するかによって、彼らの倫理観、歴史、そして最終的な種の分化が決定されるという、深い文化的・歴史的な基盤を考察する。




神話と原典、エルフの起源と原型的分類


北欧、ゲルマン神話におけるアルヴまたはアールヴの二元性


北欧神話の「エッダ」に見られるアルヴの分類は、光と闇の二元論を原型的に提示している。光のアールヴは、美しさ、善良さ、そして天上の光に結び付けられ、しばしば天界の精霊や、神々に近い存在として描写された。対照的に、闇のアールヴは、地下世界、岩石、技巧、そして鉱物に関連付けられた。


この神話的な分類は、現代ファンタジーの「ハイエルフ」や「ダークエルフ」の命名に影響を与えたが、重要な区別が存在する。


神話における闇のアールヴは、現代の地下棲エルフのような邪悪な属性を持つ定命の種族ではなく、むしろドワーフと概念的に境界線が曖昧な、地下の職人たちであった。


したがって、神話の二元性は、現代ファンタジーにおける明確な人種的・道徳的な種族分類ではなく、単なる居住空間と属性の対比に留まる。


J.R.R.トールキンにおけるエルフの系統発生論


J.R.R.トールキンは、ゲルマン神話の曖昧な精霊概念を、歴史と倫理に基づいた厳密な系統発生論を持つ定命の種族へと体系化し、「エルフ分類の原型」を確立した。トールキンにおいて、エルフの分類は、旅と光の経験という歴史的な選択によって決定された。


エルフの最初期の分化は、光を見たエルフと光を見なかったエルフ分けられる。特に重要なのが、この旅を拒否したエルフであるアヴァリであり、彼らは最も根源的な形で文明世界から離れ、後のウッドエルフや野生のエルフの原型となった。一方、旅を終え、ヴァリノールに到達したエルフは、高度な知識、技術、そして優雅さを獲得し、現代ファンタジーにおけるハイエルフの精神的な祖先となった。


トールキンの分類が現代に与えた最大の遺産は、エルフの多様性が地理的要因と倫理的・歴史的選択によって決定されるという枠組みを提供したことである。つまり、彼らの種族属性は、生まれつきのものではなく、祖先が辿った歴史的断絶や経験、あるいは拒否の選択の結果として確立されたと解釈される。現代のハイエルフ、ウッドエルフ、ダークエルフは、多くの場合、このトールキン的な「歴史的断絶」と「高貴なる起源からの逸脱」のテーマをオマージュしている。


現代ファンタジーにおける三大系統の比較分類学

トールキンの分類論的枠組みは、その後のテーブルトークRPGやビデオゲームの設定において、地理的および道徳的な分類に基づく「三大系統」として再構築され、定着した。これらの系統は、体型、属性、起源のテーマにおいて一貫したパターンを示す。




ハイエルフ、高貴なエルフ系統の文明と衰退の分析


ハイエルフ系統は、エルフが理想とする「文明の極致」を体現する。彼らの体型は、長身で優雅、均整が取れており、しばしば、金髪や白髪を持つなど、純血主義と人工的な洗練を物理的に反映している。物語における属性は、半神、高度な魔術、古い知識の保持、そして人間種族への優越意識である。


彼らの起源は、祖先の光や、失われた黄金時代、あるいは原初時代の保持をテーマとしている。


しかし、この追求はしばしば、極端な傲慢さ、排他性、そして最終的な衰退という物語上の役割に結びつく。彼らの繊細な体型は、自然環境への適応ではなく、むしろ自然から隔絶した人工的な宮廷や都市生活の結果としての洗練性の反映である。




ウッドエルフ、森のエルフ系統の自然との盟約としての分析


ウッドエルフ系統は、文明を拒否し、自然環境へ完全に統合されたエルフである。彼らはしばしば、隔絶された森林地帯に居住し、部族社会を築く。体型は、ハイエルフに比べて体つきは華奢、比較的小柄で俊敏であり、肌や髪の色は森の環境、緑、茶、暗色に溶け込むカモフラージュ性の適応を示している。


物語における主な属性は、優れた弓術、動物や精霊との協調、そして自然の守護者としての役割である。彼らの起源のテーマは、環境への適応と文明の放棄にある。彼らは、他のエルフが維持しようとした魔術的な知識や洗練された文化を捨て去ることで、自然界での生存戦略を確立した形態である。




ダークエルフ、闇のエルフ系統の追放と異端信仰分析


ダークエルフ系統は、エルフの分類の中でも最も複雑で、しばしば神学的呪いと追放の歴史によって定義される。代表的な種族は、地下世界や厳しい火山灰地帯へ、過酷な毒環境の適応を強いられた。体型は、地下棲の場合、日光への不適応を示す褐色の肌や白い髪となるか、あるいは他の極端な変異として灰色の肌と赤い目を伴う傾向がある。そして、なぜか通常のエルフと違い性的魅力がある。mた、環境からの特定物質の定着による耐性獲得による皮膚色の変化が見られる。


物語上の属性は、闇、裏切り、異端や邪教信仰、そして、しばしば、サディズムや政治的陰謀に結びつけられる。


彼らの変異は、単なる環境適応ではなく、彼らが選択した邪悪な神々や悪魔への崇拝の結果、あるいは呪いとして描かれることが多い。

ダークエルフの存在は、エルフの優雅さという理想像に対する道徳的な堕落を体現している。




信仰体系に基づくエルフの系統発生的または文化的人類学


エルフの種族分化を理解する上で、最も決定的な要因は信仰である。


祖先の霊崇拝と文明の維持、ハイエルフの神学的基盤として、エルフの祖先たる神々、すなわち創造神を崇拝する。


彼らの文化は、失われた永遠なる霊の世界との再結合を目指すという根源的な動機によって支配されている。


伝説の時代において、エルフ王国が設立されたのは、世界の創造者の命令と保護のもと、その敵対者との対決、その後の霊的世界からの永劫の断絶に対する埋め合わせとしてであったとされる。


この宇宙論的な根底が、極端な純血主義と魔術的知識の維持への固執という形で現れる。彼らの高慢で繊細な文化は、この失われた地位を取り戻そうとする、現世的な完璧さの追求の物理的反映であると解釈できる。彼らは、祖先の霊を崇拝することで、定命の次元における支配権を確立しようと試みる。




精霊信仰と自然崇拝、エルフおける信仰の考察


ウッドエルフは、森の精霊であり、定命の世界の姿を定めたとされる神を主要な対象とする精霊信仰を持つ。彼らは森の盟約という厳格な自然との盟約の下で生活しており、これにより彼らの生活様式や体型が直接規定される。彼らの小柄で俊敏な体型、そして狩猟中心の生活は、他のエルフが拒否した定命の次元に彼らにとって最も完全に適応した形態を示す。


信仰は、生存戦略と種族アイデンティティが不可分に結びついている例である。自然界との調和を追求する彼らの信仰は、文明的なエルフが追求する知識や魔術ではなく、環境内での生態学的な地位を確立することを目指す。


追放と変異、信仰の逸脱による種の再定義

邪教崇拝と追放地の成立

ダークエルフは、元々ハイエルフに近い種族であったが、邪神や悪魔や後の生きた神々である堕落神を崇拝することを選択した結果、あるいは呪いによって、肌が暗色、主に灰色に、髪は白く、目が赤く変異したとされる。


この変異は、単なる環境適応ではなく、神学的選択が物理的形態を決定づけるという事実を示している。物語における属性、裏切り、陰謀、厳しい母系社会は、彼らが崇拝する神々や悪魔の性質である変革、陰謀、運命を内面化した結果である。


彼らの存在は、エルフの分類において、種族間の断層線が信仰の逸脱度によって明確に引かれることを証明する。




ダークエルフよりかけ離れた、外なるエルフの系統。


オークに犯されたゆえの混血、邪神や悪魔との混血などによる生物学的な違いなど、別種としての系譜。


その事例は、エルフの分類学において最も重要な断層を示す。彼らはエルフの血統を持つにも関わらず、容姿としても文化的にもエルフとしてほとんど見なされていない。


大きな要因は容姿がオーガやオークなどの亜人種に近いからとも考えられる。


この排除の直接的な原因は、彼らが邪神からも見捨てられ、疎外された者、またはそれ以外の何かを崇拝しているためである。


その存在は、エルフという分類が生物学的な血統を超えた、生物的特徴的価値観に基づく社会的・宗教的な排他性の産物であることを明確に示している。たいていは彼らの武骨で戦闘的な体型は、呪いと、異なる信仰や文化による永続的な追放の中で生き残るために適応した結果であり、優雅さというエルフの理想像の真逆にある。


したがって、エルフの分類は、血統ではなく、宗教的・文化によって決定されると結論付けられる。


また、特別枠として宇宙エルフの2つの存在を考慮に入れたい。


1つ目は宇宙適応のための遺伝子改造という科学的論理を基盤とした存在。

宇宙環境によって生じた特異な生物学的条件を土台として独自の文化を築いた存在は、物語論的に見て、人類文明に対して異質で高度な技術や非調和生物を提示するというエルフ的役割を伴っている。


2つ目は原生宇宙人枠として、青い皮膚に皮膚にカーボン骨格を持った生物種の存在。

生物学的な特異性、文化的な隔絶、そして人類文明に対する相対的な優位性、あるいは神秘性や異質性で作品の魅力を盛り上げる。


これらからも、サイエンス・フィクションの枠組み内でエルフを代替的に担っていると考える。



エルフの体型、生物学、環境適応に関する詳細分析。


エルフの体型や物理的特徴は、彼らの種族の歴史、信仰、そして道徳的属性を視覚的に伝えるための記号論的ツールとして機能する。



環境と体型、物理的特性の進化論的考察。


エルフの体型は、彼らが選択した居住環境と密接に関連している。


ハイエルフに見られる長身で繊細な体躯は、温暖な高地や、自然から隔絶された人工的な閉鎖都市に適応した結果であり、戦闘や過酷な労働から解放された洗練された存在であることを示す。


対照的に、地下エルフの皮膚の変異は、日光への不適応、メラニン欠乏だけでなく、彼らの道徳的な闇を象徴している。


また、ウッドエルフの比較的小柄で俊敏な体型は、森林環境での迅速な移動や狩猟に特化した生態学的適応の現れである。


外なるエルフの武骨な体型は、彼らが長きにわたり追放され、厳しい環境や絶え間ない紛争の中で生存を強いられてきた歴史的圧力への適応として解釈される。


ファンタジーにおける体型は、単なる美学ではなく、彼らの道徳的と政治的属性、光と闇、自然と文明を視覚的に表現するための記号論的ツールである。


長耳の形態論、記号論的意味と、ファンタジーにおける役割


エルフの普遍的な特徴である長耳は、人間との違いとしての他者性を強調する重要な形態論的要素である。


長耳は、しばしば鋭敏な聴覚と結びつき、彼らが人間よりも五感に優れ、自然や精霊の声を聞く能力を持つことを示唆する。


耳長エルフは日本産であり、海外産は尖耳の傾向が強く、伝承的な妖精としての扱いの場合はロバ耳などと揶揄されることが多い。


これにより、エルフは、より高次の存在、精霊や祖先の霊に近いという超越的な属性を付与される。


さらに、長耳の形状や角度は、種族の属性を細かく区別するために用いられる。例えば、ハイエルフや高貴なエルフの耳は天に向かって鋭く伸び、高慢さや優越感、天上の存在との繋がりを象徴する一方で、衰退したエルフや悲劇的な歴史を持つエルフの耳は、垂れ下がったり、丸みを帯びたりして、悲哀や世俗的な疲弊を表現することがある。


寿命、生殖、衰退のテーマ


エルフの極端な長寿は、彼らの物語上の役割を決定づける中核的な要素である。彼らは歴史の記憶者として、古代の知識や文明の担い手となるが、同時にこの長寿が原因で、人間種族の急速な進歩や変化に順応できないというテーマも生まれる。


また、多くのファンタジー設定では、エルフは人間と比較して低出生率や、世代交代の遅さを特徴とする。この生物学的な特性は、ハイエルフやウッドエルフの物語における衰退や孤立という永続的なテーマに深く結びついている。彼らの文明は壮大であったが、生殖力の低さ、あるいは永遠に近い寿命による停滞は、彼らが最終的に定命の世界から姿を消す運命にあるという、叙事詩的な悲劇性を強化する。


エルフ概念の永続的な魅力と今後の展望


ファンタジーにおけるエルフの分類は、単純な外見や居住地に基づくものではなく、歴史的選択、神学的、そして宇宙論的トラウマへの反応によって決定される多層的な構造を持っていることが推測された。


エルフの種族分化は、祖先の光を維持しようとする純粋主義者と、追放され、異端の神々や悪魔を崇拝することで種族的アイデンティティを再定義した者たちとの、神学的な断層線によって明確に決定されている 。血統を持ちながらも文化的に排除される事実は、エルフの分類が生物学を超えた文化的構築物であることを証明している。


エルフというモチーフは、人類が到達し得ない理想、優雅さ、長寿、自然との調和と、人類が共有する欠点、傲慢、排他性、純血主義への執着の両方を映し出す鏡として機能する。彼らは、人間が失ったであろう理想郷の可能性と、その理想を追求するがゆえに陥る堕落の必然性を物語る存在である。


現代の特に日本産のファンタジーメディアにおいては、エルフは伝統的な優雅な弓使いや高貴な魔術師といった固定観念から脱却しつつある。設定も身体的特徴も多種多様で作者や読者の願望を獲得した結果とも言える。多くの作品の設定に見られるように、より政治的に複雑で、道徳的に曖昧な存在として再構築され、差別や歴史的圧迫に直面するマイノリティとしての役割を与えられている。今後のファンタジー創作において、エルフの分類は、単なる光と闇の二元論ではなく、より多様で複雑な社会構造と、そこから生じる種の細分化を反映する方向へと進化を続けると予測される。


参考資料


北欧神話


[ 指輪物語 ] [ ホビット ] J・R・R・トールキン 


[ ダンジョンズ&ドラゴンズ ] Wizards of the Coast社 


[ The Elder Scrolls ] ベセスダ・ゲーム・スタジオ 


[ ロードス島戦記 }  安田均(原案)水野良(著)


[ 星界の紋章 ] [ 星界の戦旗 ] [ 星界シリーズ ] 森岡浩之


[ Avatar ] ジェームズ・キャメロン


長々と書き記したが、要はみな、エルフが好きなのである。ツッコミお待ちしております。

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