第20話 ダンロボで稼ぐダンジョン配信
私は涙を拭うと、コメント欄と向き合う。
『お姉ちゃーーーーーーーーーーーーーん!!』
『凄いよぉぉぉぉぉ! 凄いよぉぉぉぉぉぉ!』
『お前が最強だよイナリぃぃぃぃぃぃぃ!』
『明日から会社で自慢する!』
『英雄だぞ英雄!!』
『ていうか表彰物だろ!?』
『ヤバい! マジで鳥肌立ってるんだけど!?』
『喋るモンスター撃破とかやり過ぎだろ!!』
『言葉が出ねぇ……』
『うおおおおおおおおおおおおおお!!』
『新スキル強くねーか!?』
『いなりん凄すぎ!! あたし感動したよ!』
『よくやったわ。本当によくやったわ』
『マジで世界が変わる瞬間を目撃した』
『これをリアタイできたの一生の自慢にするわ! ま、見てない奴の方が少ないかもだけどなwww』
『ありがとう』
『スタンピードの被害がなくて本当に良かった。本当に感謝してる』
また、涙が溢れそうになった。
私は応援してくれた人達に微笑む。
「私の方こそ応援してくれてありがとう。一人じゃないから頑張れた。みんなが見守ってくれたから頑張れたよ。だから、ありがとう」
私一人だけなら、最後までタッツォと戦おうとしなかった。
ダンロボが壊れることを恐れていたからだ。このダンロボを水神家に買う余裕があったのは、お祖父ちゃんの遺産があったからでもある。
だから、とても大切な物で。
だから、私はダンロボを動かそうとして、動かないことに頭が真っ白になった。
「え?」
ダンロボキーボードを押す。
ダンロボキーボードを弾く。
ダンロボキーボードを叩く!
どのボタンを押しても反応しない。
ダンロボは……限界を迎えていた。
よく見ると、胴体の凹みは人間なら心臓を圧迫して死んでいるほど酷かった。恐らくはあの時、心臓部に傷が入っていたのだろう。
次の瞬間ダンロボが後ろに倒れ、壁に寄りかかるように機能を停止した。
完全に壊れている。
お父さんに大切にすると誓ったのに、ダンロボを壊してしまった。
これで借金を返せなくなる。
目の前が真っ暗に染まった。
そして……。
『』『』『』『』『』『』『』『』『』
暗闇の世界に明るい何かが見えた。
それには『300』だとか『1000』たとか『50000』だとか数字が書いている。
何が起こっているのだろうか。
私は目を瞬くと、色取り取りのコメント欄に愕然とした。
『収益化おめでとう!』
「え?」
状況を詳しく把握するために、コメント欄を遡る。すると、ダンジョンレコード公式が『収益化しておきました。ついでにスーパーチャットも解禁しておきました』と呟いていた。
スーパーチャットはお金を支払いコメントを打つことで、コメントを大きく表示させる投げ銭機能だ。
ダンジョンレコードの場合、このスパチャ(スーパーチャットの略称)のお金は100%配信者のものになる。
私は沢山の人から、そのスパチャを貰っていた。
トンデモナイ量、トンデモナイ金額で。
私は何度目になるかも分からない涙を流す。嬉しいのか悲しいのか分からないくらい、心がぐちゃぐちゃになる。
ただ、あんまり泣いている姿を見せたくなかったから。
「ふふ、もう、みんな……今日の配信タイトル知ってる? ダンロボで稼ぐダンジョン配信! これにて伏線回収ってね」
冗談めかしてそう言うと、私は涙を流しながら笑った。
コメント欄も私に釣られるように、笑いに包まれたのだった。
こうして、第五次スタンピードを巡る私のダンジョン配信は終わった。
明日のエピローグで最後です




