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【コミカライズ】思い上がりも程々に。地味令嬢アメリアの幸せな婚約  作者: ごろごろみかん。
一章◆アメリア・バーチェリー

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ちゃんちゃらおかしいのです。

「そんな……。で、では、アーロン様は最初から……お姉様目当てではなく、爵位欲しさに私に声をかけてきたのですか?」


「アンリエッタ目当てだと?お前はそんなふうに考えていたのか?」


お父様に鋭く問われ、私は肩を竦めました。

お父様は、そんな私を見てため息を吐きます。


「……少なくとも、お前があの男と婚約した時は、アンリエッタと関係はなかった。でなければ、婚約など結ぶものか」


「そ、うですよね……。では」


「婚約してからだ。……アンリエッタが言い寄ったんだよ。スペンダーの息子にね」


「…………」


お姉様は、私が嫌い。

だから、私に嫌がらせをするためにそうしたのだと、今は分かります。

それでも、私がアーロン様と婚約してから──彼を奪うために、近付いたなんて。


お姉様は、私を嫌っていたのだとしても……私は、お姉様が好きでした。


綺麗で美しく、華やかなお姉様。

憧れでもあったのです。そんな彼女に、悪意を向けられていたと知り、私は胸がしくしくと痛みました。


「アンリエッタには何度か注意したんだが……聞く耳を持たなくてな……」


「…………注意(・・)?」


それまで聞き役に徹していたリアム殿下が、眉を寄せました。

それに、お父様は呻き、咳払いをしました。


「いや、つまり私が後手に回りすぎた。……アメリア?」


お父様に呼びかけられて、ハッと顔を上げます。


(泣いたら……だめよ)


さすがに、こんなところで泣いてしまったらお父様もお母様も、リアム殿下だって気を使う。


今私に出来るのは、なんでもないように笑うことだけ。


お姉様に嫌われていた。

悪意を向けられていた。


家族(好きなひと)に、嫌われていたという事実は、思いのほか私に突き刺さった。


私が、こんなに鈍く、鈍感だからいけなかったのだろうか……。

お姉様の気持ちに気がついていたら、違ったかしら……。


能天気にも『お姉様!』『お姉様!』と後をついて回る私は、鬱陶しかったに違いない。


「…………」


それを思うと、悲しくて、胸が痛くて、涙が出そうになる。


私は、不自然にならないよう何度か瞬きを繰り返して滲んだ涙を散らすと、お父様に笑いかけました。


「も、もっとお姉様と話しておくべきだったなー……なんて、思いました。私が嫌いなら……近づかないようにしたのに……とか」


誤魔化すように言いますがますます不自然に思えてしまって、私は話を変えることにしました。


「お父様、お姉様はどうされるのですか?アーロン様と婚約を……?」


「いや──アンリエッタは」


お父様がそこまで言った時。

扉がノックされました。


皆の視線が、扉に向きます。

お父様が入室の許可を出すと、執事が入ってきました。

彼はお父様に歩み寄り、それから私たちを見て──言いました。


「アーロン・スペンダー様がいらっしゃっております。至急、閣下のお目通り願いたいと……」


まだ、アーロン様は呼んでいないはずです。


不思議に思いましたが、先程、リアム殿下はアーロン様に『公爵に報告する』と言っていました。遅かれ早かれ呼び出されると思い、先んじてやってきたのでしょうか……。


戸惑っていると、お父様が執事に答えました。


「サロンに通しなさい。ああ、あときみ。アンリエッタも呼ぶように」


そうして──場は、整えられました。



サロンに向かうとそこには、アーロン様が既にいらっしゃいました。

お姉様はまだのようです。

アーロン様は、お父様、そしてお母様。私、リアム殿下に視線を向けると、眉を寄せました。


「閣下、なぜ部外者である殿下がこの場に?」


「殿下には証人になってもらうのですよ。さて、スペンダー卿。貴殿には聞きたいことが山ほどあります。まずは……」


お父様がそう言いかけた時、サロンの扉が開きました。

お姉様だ。彼女は、アーロン様を見て、お父様を見て、私を見て──状況を理解したようでした。

いつものように優雅に笑うと、迷わず私たちの元まで歩いてきます。


「お父様、呼びましたか?」


「いいところに来た。……まずは座ろうか」


お父様の声がけで、私たちはソファに腰を下ろしました。


以前、ここでお姉様とアーロン様は抱き合っていた……。


その時のことを思い出すと、胸が掴まれます。


だいたい、その会話のほとんどは私の悪口だったし……。


お化粧を頑張った結果、不自然になってしまったのは事実ですが、何も、あんな言い方しなくてもいいじゃないですか……。


頑張りすぎて空回りした過去は、既に黒歴史となっています。


それぞれがソファに腰を下ろしたところで、メイドがティーセットを配膳しに来ました。

お茶が入ったところで、お父様が口火を切ります。


「アーロン・スペンダー卿。貴殿は、アメリアと婚約関係にあるにも関わらず、アンリエッタとも恋人関係にあるという。事実だね?」


「それは……」


「ええ、そうよ。お父様。アーロン様は、アメリアより私が好きだと仰ったわ」


「アンリエッタ!!」


咎めるような声で、アーロン様がお姉様を呼びました。

だけどお姉様はその声を無視して、お父様を見、甘えた声を出します。


「ねえ、お父様。アメリアとアーロン様の婚約を解消してさしあげて?アメリアには勿体ないわ。私が、アーロン様と励んで公爵家を盛り立てて──」


「何を言っている?」

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