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思い出  作者: 香川 尊
素人が話す、原子力について
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原子力発電の特徴

電気に求められるものは、以下の6つと私は解釈しています。

①停電しない②品質が良い③価格④エネルギーセキュリティ⑤輸入額が少ない⑥環境破壊が少ない


私は原子力再稼働・新設に賛成の立場です。それは、原子力発電が以下の特徴を持っているからです。


○エネルギーセキュリティの上有利だから。

 ウランからなる核燃料は長く使えます。今も発電所内にあるものを含めて数年分の備蓄量が国内にあります。これは、島国であり軍事力の積極的行使ができない日本にとって重要だと解釈しています。海上封鎖があった場合にどれくらい耐えられるかが備蓄量で決まるからです。

 一方、LNG(天然ガス)火力発電は効率が良いためEU、日本で石炭、石油火力に変わるものとして建設が進められました。クリーンな火力発電と評されています。そのLNGにも弱点があります。備蓄の法律もなく、備蓄量が2~3週間と少ないことです。LNGの割合が多いことは、海上封鎖に弱いエネルギー構成になってしまいます。

 ちなみに、和歌山大学の藤井 淳准教授が、【日本のエネルギー備蓄制度を再考する-海上輸送路の封鎖に備えて-】という査読付き論文を2024年に発表しました。上記の内容がほぼ書いてあります。よくまとまっているので、正しく知りたい方は読んでみることをお勧めします。


○価格が安い電気を得られるから

 【資源エネルギー庁】が出している【電源別発電コスト試算結果の構成】をみると原子力は火力発電と同等のコストだと試算されています。なので、火力発電でいいという論調もあります。その論調は少し乱暴だと思います。発電コストはさらに分解して、燃料費、運転維持費、資本費とわけることができます。運転維持費は発電所を運転する人員のコスト、資本費は発電所を立てるのに必要なコストとなります。発電所は、この二つがコストを占めています。これが意味することは、燃料費として海外からの輸入額が少なく、国内および地元に流れるお金が大きいということです。国家の中でお金が循環するのは、国の財政上喜ばしいことです。火力発電の推進は貿易赤字額の拡大と、円安の要因の一つになります。今の日本にとって、円安は解消しづらく、厄介なものになっています。また、現在停止中の原発は、資本費は既に支払っている状態なので、燃料費、運転維持費だけ見るとほかの電力より安くなっています。原発再稼働の賛成派はここを根拠にしている人が多い印象です。


○局地的な環境破壊で済む。

 原発の代わりとして、再生可能エネルギー(再エネ)が推進されています。しかし、再エネは土地面積当たりの発電量が少なく、設置に莫大な土地が必要になることが課題です。土地が多く必要なので、地価が安い原野や農地を転用することが多いです。再エネの一種である水力発電は、日本では設置可能な山々はすべて設置し、あとは小規模なものしか増設できません。原子力は、放射線汚染されたものを長期保管しなければならないという課題がありますが、局地的な環境破壊で済むというメリットがあります。


○安定した出力を得ることができる。

 電気は常に需要を満たす量を作る必要があります。天候に左右されず工場や人は活動しています。なので、自然の都合で出力が変化する再エネに合わせて、ほかの電力が調整する役目が必要になります。その調整コストがかかります。一般的には、火力発電で出力を調整する必要があります。資源エネルギー庁が、その調整コストを含んだコストとして、【電源立地や系統制約を考慮した「統合コストの一部を考慮した発電コスト」の分析・試算】を出しています。再エネは高くついていると試算されています。原発は運転中は出力が安定しているため、常に一定の出力を出すベース電源としての役割を期待されています。



上記が原発再稼働・新設に賛成の理屈的な理由です。裏話などはなく、退屈な文章だったかもしれません。原発のデメリットである、安全については、また目線合わせが必要なので次に話します。



 個人的で感情的な理由もあります。この感情は家族含め、誰にも共有していません。みんな違う感情だと思います。私だけかもしれません。


 原発事故で原子力業界が得たものがあります。事故のシミュレーションデータ、住民避難の運用における政策、避難の際の費用実績・・・。どれも貴重なデータです。事故時のシミュレーションデータは、ほかの原発の訓練で使用されていると風の噂で聞いたことがあります。


 科学技術は膨大な犠牲を(いしずえ)として、積み重ねることで発展してきました。医療業界での治験、航空機事故に対する安全施策、交通戦争と安全装備義務化・・・。例として、自動車への安全装備義務化、インフラの整備で、交通の安全性は飛躍的に向上しました。これは、自動車をやめるのではなく、技術の積み重ねをあきらめなかった人たちのおかげです。原子力も同様に積み重ねをあきらめないでほしいと思います。この事故が、ただの犠牲・政策の失敗・事故ではなく、技術発展の礎として利活用してほしいと思います。


 ただ、あくまで、これは幸せの中にいる人の意見だと思います。まだ地元に帰れてない人もいます。

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