電気に求められるもの①
原子力発電は必要か不必要か?。その議論の前に、発電所が出す【電気】について目線合わせが必要です。
まず初めに、電気に求められるものを書きます。皆様の家のコンセントから出てくる電気は工業製品です。サイゼリヤのドリアと同じです。おいしそうですね。私たちがサイゼリヤのドリアに求めることは、頼んだら何時でも何個でも出てくること、いつもおいしいこと、安いことだと思います。同じように電気にも求められるものがあります。それを私の考えとともに書きます。
①停電しないこと。
停電したら部屋が暗くなります。工場ではみんなが絶望します。工場では、今日は原料を何個仕入れて、この製品を何個作って、何個出荷して・・・ と考えます(【生産計画】)。それは設備がトラブルで止まらない、設備を使ってものを作る人は絶対いる、入出荷のトラックは絶対来る。という前提のもとで考えています。停電で設備が運転できないと、それが根本からひっくり返ります。トヨタさんのような無駄在庫ゼロを掲げる【ジャストインシステム】だとさらに辛い。あらゆる計画がぐちゃぐちゃになる。これが停電の怖さです。また、停電のように急に止まると復旧がすごく手間がかかる設備もあります。とある設備は、運転中に停止ボタンを押すと再起動は30秒程度でできますが、停電で止まると復旧には3人がかりで8時間かかります。絶望です。
化学、食品業界ではもっと怖いです。原料を入れてから製品になるまで24時間以上かかる製品はざらです。製品になるまでの間、精密な管理が必要です。停電が起きると、それができず不良品の山が数トン、数十トン単位でできます。それを捨てられなかったのが2000年の【雪印集団食中毒事件】です。
じゃあIT系は?。めっちゃ消費者に怒られます。いったんサーバーが落ちた後の復旧作業は結構骨が折れます。
②品質が良いこと。
日本では意識しないですが、電気には品質があります。発展途上国のように電気の品質が悪い場合、工場の設計者が考えることが増え、品質を管理する人の胃が痛くなります。電気の品質が悪いのに、対策をしないと不良品が出やすくなります。そのため対策のための機器を入れたりしますが、これがまぁ高い。月給何か月分だろう・・となります。日本で使う設備の設計は楽です。発展途上国で使う設備は本当に頭を使う必要があり、電気の品質を実感します。(あと使う人の品質も)
①~②を達成するために【電力工学】、【電力系統工学】と呼ばれる学問があり、発電量が電気の使用量より絶対多くするために、日夜電力会社が胃を痛くしながら対応しています。電気の使用量が発電量を上回ると、停電が起きます。製造業の海外進出では、その国の停電、電気の品質も考慮します。
③安いこと。
電気が安いとすごく助かります。0円にしてほしい。製造業は、電気で動く設備でものを加工する業態です。電気が安いと、製品が安くなります。他国企業との競合では、原材料は同じ、できるものも同じな場合、人の安さもしくは電気の安さがないと厳しいです。ちなみに今流行っているAIやIT関係は電気を価値のある情報に変える商品です。電気をこれでもかというほど食うので、電気が安くないと導入できないです。
熱く語ってしまったので続きます。