表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CASTLE  作者: トロール
31/77

31 A Brain

 城の最上階にある展望室はまさに王がこの世を展望するためだけに作った部屋だ。争いも略奪も起こり得ないし、展望する物も特にないので誰かが凹んだときに引きこもるための部屋として使われていた。ロルカの本やシシモのヤギのぬいぐるみ参謀の眼鏡コレクションなどそれぞれの癒やしグッズが入って右側の壁の棚に収まっている。その反対の壁にある窓から参謀は外を見渡した。


「な、なんだこれは」


 参謀が予想したよりこの世の状況はよろしくなかった。真ん中池の水はやはり減っているようだが、それより地割れが酷い。もう少し進んだらこの世がばらばらになるのが想像できてしまった。


「王よ……」


 参謀は祈るように手を組むと、今度はこの世の姫に報告をするために急いだ。起きているだろうか。

 展望室からの暗い階段を下っていると何か話し声が聞こえた。影だろうか。


「……ここはどこ、間違えたわ」


 ロルカだった。なんと丁度いい所に迷い込んでくれたのか。参謀はロルカに声をかけた。


「あら参謀さん!」


 ぱっと花を咲かせたような笑顔を参謀に向けたロルカは食堂に行こうとして通り過ぎて階段を登ってきてしまったところだった。


「丁度よかったです。サリ様はお休みになりましたか?」

「サリ様ですか? 先程お部屋へ戻りましたばかりですの。まだ眠ってはいないかもしれませんが、一段と頭が痛むようで……」


 ロルカの瞳に涙が盛り上がり始めた。眠ってしまう前にもう一杯ミルクティーを用意しようと食堂へ向かっていたそうだ。


「それでは私も一緒に行きます」

「ええ! 助かりますわ」


 でも、とロルカは参謀の顔を覗き込んだ。なにかありましたの? と恐る恐る訊ねるロルカに顔がこわばっていた事に気づいて頬をもんだ。


「はい、大変な事態です」

「まあ!」


 二人はとにかく食堂へと急いだ。

 食堂へ辿り着くと大きな食卓テーブルの席にバルバタが座っていた。


「おや、二人お揃いとは珍しいな」

「バルバタ……」

「あらこんばんは」

「ん? 参謀殿はどうしたんだ」


 参謀の何か考え込むような様子に気がついたバルバタは座るように促した。ロルカはトロリーを取り出してティーカップなどの準備を始める。


「二人がいてくれて心強いです」


 突然の参謀からの褒め言葉にバルバタとロルカは頭をかいて照れた。


「この世が崩壊しそうです」

「え!」

「なんだって?」


 がたがたがちゃがちゃと音を立てて立ち上がったりカップを割ったりする二人に参謀は状況を説明した。


「それは、大変……」

「ああ、大変だが……しかし王様がいないとどうにもならないな」

「ええ、そうなんです」


 私達がばたばたしたところでどうすることもできないのですと参謀は項垂れた。とりあえず、サリに状況を報告する必要はあるが、サリに言ったところでどうにかなる話でもなかった。


「アジエーリダはどこにいるのかしら」

「そういえばだいぶ見てないな」

「彼が居てくれたら何か案も浮かんだかもしれないが、いない人の事を考えてもどうにもできません」

「まあ、そうだな」

「はい……」 

「ロルカ、準備はできましたか?」

「あ、はい。行けますわ」


 二人はサリの部屋へ向かうことにして、バルバタは広間で影たちに変わりはないか様子を見に行くことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ