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CASTLE  作者: トロール
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1 KING

此処は人の生きる世ではない。しかし住んでいるのは人だった者達。人は命を落とすと天に登る、または地獄に落ちると言われているが、此処はその間の世だった。人々は何かあると神に助けを求めたりするが神とはなんだろうか。本当に存在する者なのだろうか。神とは言わなくても、様々な人ではない生き物は確かにいるのだ。それらは風を起こしたり、地を揺らしたり、奇跡を起こす力を持っていた。そして意外と沢山いた。その中で、時間に限りのある命を持って産まれてくる人間に関心を持っている者がいた。人は生を終えると身体と魂が離れてそれぞれ在るべき所へ返っていくのだが、迷子の様に浮遊する魂がいる事にその者は寂しさを覚えた。何か思い残した事がある様に見えたのだ。そしてその魂達は人が生を終える度に増えていった。生きている人よりも多くなってしまうのではないかと心配した。そこで、その者はその魂たちの為の国を作る事にした。そしてその国の王となり、魂たちを国民として、在るべき所へ返れるまで迎え入れる事にした。

 国王なのだから城が必要だろうと、まずは城を建てた。手をかざして想像をすれば其処には城が出来た。しかし外観の正面しか出来なかった。少し横にずれるとまた手をかざして想像した。少しずつ外観から造っていった。立派な外観が出来たら今度は内装だった。これも同じ様に、部屋を一つずつ造り、階段を造り、二階を造り、なんだか天井の高さがまちまちだったので直し、ゆっくりと素晴らしい城を造っていった。城ができたら今度は風景を造った。池と二つの山を形造った。山は遠くに見えていれば良いだろう。湖は魂とこの国の通り道となるから本物でなくてはならない。それから緑が必要だ。木を生やして畑を広げたら人間の世の様だろう。しかし此処に誤算があった。王は闇を操ることが出来た。しかし、生を操る事は出来なかった。生きた草木や食物はこの世で育つ事は出来ないようだった。しかし王は食べ物を必要としていなかったのでまあ良いだろうと草木は諦めた。大きな池と二つの山と石化した大地、そしてぽつんと建った大きな城。十分ではないかと王は頷いた。さて、魂を迎えに行こうと池の中に入っていった。池の水の底から来るのだから、この国を水底の世と名付けた。


        ♢♢♢♢


 我は王である。この城の、この国の、違うな、この世の王である。

 民は多い。常に溢れ返る程にいるが出入りも中々に多い。良い事である。皆この世を離れたら此処を思い出す事も懐かしむ事もないだろう。それで良い。新たな生を大切に愛しく過ごすが良い。

 そんな中にもレギュラー民はいる。我の片腕の頭の切れる参謀殿、馬よりもチーターよりもジェット機よりも速い足を持つ黒き騎士、正確な刻を示して見せる時の番人。それから……。

 バルバタはいかがですか?

 ああ、そうだ、バルバタはあちらから来た者だが、もはやレギュラーと言える。それと、ロルカか。

 ええ、そうですね。彼女は此処で想い人を待ち続けていますが、女中の様に働いてくれます。そういえば、ピリリ……黒き騎士の子があと数年で産まれますね。

 そうだったな。レギュラーが増えるのは喜ばしい。

 ええ。ああ、王よ。間もなく太陽が沈み山へ、昇り山から月が見え始めております。

 そんな刻か。時の番人殿は正確な仕事をする。そういえば、クラントロワの内乱が幕を引きそうだった。民を減らしておかねばならぬ。

 はい、左様でございますね。本日は真ん中池の刻に隣の底無しの世から来客がございます。

 ふむ、では一度戻るとしよう。参謀殿、マントを。

 こちらに。

 うむ。

 ご武運を。


 これは愛娘と出会う前の王と参謀の一幕である。

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