第四話 襲撃の一歩
新キャラ、リュオンが出てきましたね!リュオンの詳細は、これからの話でどんどん出てくるので、お楽しみに!
リアムの紅魔館仮就職、最終日。リアムは一人で魔法の森に出向いていた。理由は単純。パチュリーに魔法の媒体となるキノコを採取してきてほしいと頼まれたからである。リアムにはそのキノコの生息地など皆目検討もつかないため、とある少女を頼るべく森の中を進んで行った。どんどんと森の奥へと進んでいくと、リアムの視界に一軒の家が映った。リアムはその家に近づくと、扉を叩いた。
「誰なんだぜ〜」
「リアムです」
「おう、今行くから少し待ってるんだぜ」
家の中からドタバタと騒がしい足音が聞こえ、足音がおさまると同時に扉が開かれた。家から現れたのは、霧雨魔理沙だった。
「私に何の用なんだぜ?」
「こちらのキノコの生息地を教えていただきたくて訪ねた次第です」
「わかったぜ、前の借りを早く返すんだぜ」
魔理沙の言う前の借りとは、パチュリーよりいままで借りた本を全て返却するよう告げられた時、リアムが手伝いをしてくれたことを言っている。魔理沙はリアムに着いてくるように言うと、森の中に向けて歩き出した。リアムは魔理沙に着いていきながら、周囲の観察をする。周囲にはいくつかの血痕があった。リアムはその血痕に近づく。
「?どうかしたのか?早く行くんだぜ」
リアムは魔理沙の言うことを無視し、血痕を注意深く観察する。それはまるで証拠隠滅のために拭き取られたような…
「魔理沙、最近妖怪の死体が増えたりしていませんか?」
「いや、そんなことないぜ。どころか妖怪すらあまり見ないぜ」
「…確定ではありません。憶測に過ぎないのですが、紅魔館が、危険かもしれません」
「は?どういうことなんだぜ?」
「説明は後ほどします。今はとにかく、急ぐので」
リアムはそう言うと、一瞬にして魔理沙の視界から消え、紅魔館へと走り出した。
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「一体、なんなんですか、貴方たちは」
門の前には、息も絶え絶えとなっている美鈴がいた。その体はいくつもの怪我があり、足元はふらついている。
「これから死ぬ者に教える必要はないな」
美鈴に傷を負わせた集団、そのリーダーらしき男がそう言うと、集団は一斉に突撃した。しかし、その動きは阻まれることとなる。集団と美鈴の間に氷の壁が現れそこから氷の刃が集団に向けて発射された。氷の刃は集団に対して絶大な効果を発揮し、集団の7割を戦闘不能、もしくは死へと追いやった。予期せぬ不意打ちによって生じた隙に、白い閃光が走り、生き残った者達を切り伏せた。
「美鈴さん、無事ですか?」
「あ、リアムさん…すみません、30人ほど通してしまいました」
「仕方ありません。私が排除してきます。その間、この門を誰も通さないようにしていてください」
「…がんばります」
美鈴の言葉を確認すると、リアムは全速力で紅魔館内へと向かった。そして、言葉を発する。
「起きろリュオン、出番だ」
《あいよー》
リュオン。それはリアムの中に存在する生物のことを示している。どのような手段を用いたか不明だが、リアムの中に確かに存在する者であり、リアムに魔法を教えた師匠であり、リアムの親友である。そんなリュオンは、能力を応用して世界の情報を知ることができる。そのため、
「この紅魔館に侵入した賊の人数、配置は?」
《侵入したのは31人、2人を除いて地下にいるぜ。その2人は31人の集団よりも早く進んでやがる、というかこれは…斥候か?》
「助かる。地下ってことは…大図書館か」
リアムはとてつもない速度で廊下を駆け抜け、あっという間に大図書館に到達した。
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「パチュリー様!大丈夫ですか!」
「小悪魔…逃げなさい。フランを連れて…レミィ達のところまで」
「ですが、それではパチュリー様が!」
「今貴女がここにいても、二人とも死ぬだけだわ!行きなさい!」
「ですが!」
「おいおい、仲間割れたぁ、随分と余裕だなぁ!えぇ?」
パチュリー達に向けて叫んだその男は、禍々しい剣を握っており、狂気的な笑みを浮かべている。そして、パチュリー達を殺すべく、部下に指示を出す。
「テメェら、殺れ!」
指示によって男の部下達がパチュリー達に飛び掛かる…ことはなかった。
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《正面、敵数26だぜ》
「了解。後ろから削る」
リアムは、集団の背後から奇襲を仕掛け、敵をどんどんと切り捨てていく。
「8…9...11...14.......19....21」
リアムは背後からの奇襲によって、敵戦力を5にまで減らした。残り5人の敵と対峙し、パチュリー達を背にして守るようにしてリアムは佇む。
「テメェ…何者だ?俺の部下どもを易々と切り捨てやがって」
「貴様ごとき賊に名を語る必要などございません。物言わぬ骸にして差し上げましょう」
「はっ!やれるもんならやってみやがれ!」
そこからは、一方的な蹂躙…ということはなく、拮抗した状況が続いていた。リアムは敵を減らすために攻めたいが、パチュリー達を守っているため迂闊に離れることができない。敵側もそれをわかっており、リアムが前に出てこられないようにちょくちょくパチュリーたちに向かって飛び道具による攻撃をしている。魔力が枯渇しかけており動けないパチュリーを庇わなければいけないため、防御のために動きを阻害されている。リアムは早々に戦いを終わらせたいため、とてももどかしそうにしている。というのも、
《残りの二人が大図書館の奥の方に進んだぞ!》
《あいつら吸血鬼の嬢ちゃん…フランドールだったか?に接触したぞ!》
《嬢ちゃんが攻撃を受けている!》
等々、リュオンからいくつもの報告がやってくるからだ。ここでついに、リアムを完全に焦らせる情報がやってきた。
《嬢ちゃんが魔封じの魔道具を使われた!吸血鬼だから大分まずいぞ!》
ここで、リアムは、とある大きな決断をする。
「パチュリー様、3秒、私に触れさせないように時間を稼げますか?」
「…小悪魔の魔力を借りればできるわ」
「ありがとうございます。リュオン、現状の魔力量の半分でお前を何秒実体化させられる?」
《大体20秒くらいだぜ》
「わかった。パチュリー様、頼みます」
「わかったわ」
リアムはパチュリーの了承を得ると共に透華を床に突き立てると、詠唱を開始した。
「深淵より現れし紅よ、その姿を形どれ」
パチュリーはリアムを守るように、岩の壁を生成し、さらに敵に向けて魔法による攻撃を放った。
「顕現するは悪魔の王、悠久の時を生きる紅の主!」
ジャスト3秒。それはパチュリーが生み出した岩の壁が崩れるのと同時だった。敵の攻撃がリアムに届く寸前、リアムは魔法を発動した。
「【召喚・紅の王"リュオン・スカーレット"】」
その瞬間、大図書館が紅い光に包まれた。
キャラ紹介
リュオン・スカーレットについてその1
遥か昔から存在している悪魔の王。圧倒的力を持つ。名前の通り、レミリアとフランドールの先祖、スカーレット家の始まりである。