表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強執事の幻想入り  作者: 雹牙月夜
第一章第一刻
3/21

第二話 仮就職

タイトルにある「最強執事」はリアムのことですが、作中最強ではありません。あくまで「執事の中」で最強です。ご了承ください。

「リアムさん」


「なんでしょうか、メイド長」


「いくらなんでも仕事を進める速度が速すぎませんか?」


「あのくらいの仕事ならこのくらいの時間で終わりますよ」


リアムがレミリアから仮で働く許可を得てから2日、リアムは咲夜から与えられた仕事をこなし、次の仕事は何か聞きにきていた。リアムが最初に与えられた仕事は咲夜の十分の一程度だが、普通に考えればそれでも十分すぎるほど仕事の量は多いのだが、リアムにとっては少ない仕事の量だった。ここまで素早く仕事を終わらせると思っていなかった咲夜は困惑していた。何か仕事を回してあげるかと思うが、なにも知らない人には難しいものが多い。しかし、他に選択肢はなく…


「では、大図書館の本の整理を手伝ってきてもらえますか?」


「承知いたしました。場所は把握しているので、案内はなくても大丈夫ですよ」


「頼みますよ」


リアムは足早に大図書館へと向かった。道を間違えることなく、最短の道のりで進んだ。大図書館の入り口に立ち、扉を開けて中に入る。


「失礼致します。仮ではありますが今日より紅魔館に勤めさせていただいています、リアム・ヴァンノエルと申します。メイド長より命を受け、手伝いに参りました」


「ええと、はい。とりあえず、そこの本を3番の棚に運んでください」


リアムが扉を開けて入っていた時に近くにいた少女の名は、小悪魔。本名は別に存在するが、下位の悪魔である彼女には名前を知られるリスクがあまりにも大きいため、名前を伏せている。


「承知いたしました。そこの本とは、あちらの山のことでよろしいですか?」


「はい。何度かに分けて運んでください」


「いえ。一度で運べます」


リアムは魔力を練ったのち魔法陣を展開し、魔法を発動する。


「【エアプレッシャー】」


ふわりと、周囲に風が舞うと山を成していた本が浮き上がり、綺麗にバランスを取り、完璧な位置取りをしてリアムの歩に合わせて動き始めた。リアムはそのまま場所を知らないはずの3番の棚に向かって歩き始めた。


**********


小悪魔は驚いていた。リアムが魔法を行使したことではなく、その緻密な魔力操作にである。リアムの行使した魔法は風圧を利用して相手を拘束する魔法で、決して物を運ぶのに使う魔法ではない。緻密な魔力操作と、完璧な物体への認識が必要な神技である。小悪魔であれば絶対にしない技であり、彼女の主であるパチュリー・ノーレッジもまた、使用しないだろう。顔の色一つ変えずに大量の本を運ぶ様子は、まさしくかの大悪魔のような…


「いけませんね。私も早くやることやらないと…」


小悪魔は小走りで自分の持つ本を運び始めた。


**********


「パチュリー様、こちら紅茶になります」


「ありがとね」


「小悪魔さんも飲みますか?」


「うーん、じゃあお願いしますね」


「承知しました」


あっという間に仕事を片付けてしまったリアムは仕事がなくなってしまい暇になってしまった小悪魔とその主であるパチュリーに紅茶を淹れ、ティータイムとなっていた。


「リアム、といったかしら。貴方、紅茶を淹れるのが上手ね。小悪魔よりも上手いかもしれないわ」


「それなりに長い間紅茶を淹れていますからね…嫌でも上手くなりますよ」


「むむむむ…負けられませんね。リアムさん、今度紅茶の淹れ方を教えてくださいね」


「承知しました」


「少し話は変わるんですけど、【エアプレッシャー】で本を運ぶなんていう離れ技、どうやって習得したんですか?」


「とある方から教わりました。その方については秘密です」


「命令よ、教えてちょうだい」


「これを教えてくれた方は名前や詳細を絶対他人に教えるなと言ったので秘密です。本人がいいと言うまではダメです」


「いつでも会えるかのような言い方なのだけれど?」


「不定期で連絡がくるので」


リアムは本を運んだ魔法のことでパチュリーと小悪魔に質問攻めにされていた。リアムも答えられることは少なく、そのせいで余計に長引いていた。


(質問攻めって以外ときついですね…早く逃げ出す口実が欲しいところです)


「リアムはいますかー」


リアムが逃げ出す口実を考えていたところ、入り口のほうからリアムを呼ぶ咲夜の声が聞こえてきた。


「すぐに向かいます!というわけなので、パチュリー様、話はまた今度ということで」


「わかったわ。いつか必ず教えなさいね」


「ええ」


リアムは礼をすると、素早く大図書館の入り口へと向かった。


**********


「不思議な方でしたね」


「そうね。いつか絶対魔法のことを言わせるわ。覚悟してなさいよ…」


小悪魔とパチュリーは、リアムの秘密によって巻き起こる騒動を知りもしなかった。


**********


「リアムさん、大図書館での仕事はできましたか?」


「ええ、滞りなく」


「相変わらず仕事の飲み込みが早いですね…」


「恐縮です」


「これから夕食を作るので、手伝いを願えますか?」


「承知いたしました」


リアムの紅魔館での仮就職は、まだ始まったらばかりである。

キャラ紹介

リアム・ヴァンノエルについてその3

リアムの身長は178cm。

体重は59kgです。

年齢は21歳で、出身は日本です。両親は日本国籍を持つフランス人です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ