プロローグ
初めて投稿する作品なので、ストーリーが崩壊したりキャラ設定が迷走するかもしれませんが、温かい眼で見守っていただけると幸いです。
霧の立ち込める森の中、普段はない人影があった。ボロボロの外套に身を包み、しっかりとしない足取りで彷徨っていた。深く被ったフードからは短い銀髪が覗いており、赤い眼は何も見てはいなかった。
「あ゛?テメェは人間か?こんなところにいるとは、食ってくれと言っているようなものじゃないか。じゃあ、いただきまーす」
すぐ近くにいた妖怪は、その人間を「食糧」と認識した。故に襲い掛かり、腹の足しにしようとしたが…
ザシュッ。
妖怪の首は飛び、一瞬にして絶命させられた。妖怪の過ちはただ一つ。その人間を「食糧」と認識してしまったことである。その人間はその妖怪の死体を一瞥すらせず、再びどこへとも知らずに歩き出した。長い時間が経過し、遂に森を抜け、その人間の眼には紅い館が映った。その人間は僅かに瞠目し、口に笑みを刻んだ。その口を動かし、こう言った。
「皮肉なものだな。今の僕に、"スカーレットデビル"の館とは。フッ、いいでしょう。すでに覚悟は決まっています。いかなる状況に置かれようと、今度こそやり遂げて見せますよ、主亡き従者など、不名誉な称号はさっさと捨ててしまいましょう。"リュオン"からの情報で人手不足なのは知っているので」
その人間は、紅い館の門に向かって歩き出した。
「戦闘をする予定はなかったんですけどね…」
その人間はそう呟きながら、門番の攻撃を易々と受け流す。
「知ったことではありませんね。見たこともない人間がいきなり働かせて欲しいなんて言ってきたら怪しむに決まっています。それに、不意打ちによる攻撃に反応して簡単に受け流す貴方のような実力者をこの紅魔館に勤めさせてあげるほど私は優しくないので」
門番はそう言い放ち、先ほどよりも数段速く鋭い一撃を放った。人間は一瞬反応が遅れ、その攻撃を腕越しではあるがモロに受けてしまう。ミシミシッっと嫌な音が人間の腕から鳴った。
「…腕の骨が逝きましたね。私は人間なのでこれは大分重傷ですよ。イヤーコマッタコマッタ。コレジャアイキテイケナイナー」
「貴方、演技下手ですね。腕の骨にヒビが入ってるのは本当なんでしょうけど。なんでそれで平然としてるんですか」
「?執事ならそれくらい当然では?」
「はあ。このまま見捨てることもできませんね。仕方ないですね。一応紅魔館内には入れてあげましょう。私は紅美鈴。貴方は?」
「リアム・ヴァンノエル。主亡き従者です」
美鈴とリアムは、握手を交わしたのだった。
キャラ紹介
リアム・ヴァンノエルについてその1
元々幻想郷の外の世界で執事をしていましたが、戦争によって主を亡くし、その存在を人々から忘れられ幻想入りしました。