表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/19

2. 彼女がアンラッキーな理由。

 彼女に言われた。

「アンラッキーなことなら、あるわ」

 のんびり暮らす僕に、いつも危機感をもたらすのは、彼女だ。

 今日も、彼女の一言で、僕は、問題解決に動き出す。

 

 

                                                     

2.彼女がアンラッキーな理由。



 3月のある日曜午後。

 彼女と僕は、おしゃれなカフェで、お茶を飲んでいた。


「……ねえ。筋トレ、やってる?」

 彼女が言った。

「う。うん。そ、それとなく、なんとなく。……やってる」

「ふ~ん」

 彼女が、ギワクのまなざしで、僕の顔をまじまじと見る。


 僕は、急いで話題を変える。

「なあなあ。今、ラッキーだな、って思うことを、7つあげるとすれば、何が思い浮かぶ?」

「ラッキーなこと、ねえ」

 彼女が首をひねる。

(よかった。話題変わった)

 僕は、胸をなで下ろす。


「アンラッキーなことなら、あるわ」

 彼女が不穏なことを言い出した。

「え、なに?」

 

 僕の平穏な日々に、危機感をもたらすのは、いつも彼女のひとことだ。

「何かあったん? 何なん、アンラッキーなことって?」

 心配になって、僕は彼女の顔をのぞきこむ。


「1つ。あなたが、そうやって、私のこと本気で心配してくれること」

「え?」

 彼女は、指折り数えるようにしながら言う。

「2つ。そうやって、私を見つめてくる顔が、めっちゃ私好みで可愛いこと」

「え?え?」

「3つ。うつむいたときの睫毛が長くて、目がきれいなこと」

「え?え?え?」

「4つ。声が優しくて、聴いてると心地いいこと」

「5つ。お掃除上手で、アイロンがけが得意なこと」

「6つ。料理上手で、美味しいご飯を作れること」

「7つ。字が上手なこと」

「え。え。え。え?」

 僕は、ちょっとうろたえる。

(それって、ほめてるん?……でも、彼女は、浮かないカオだ)


「……もっと言おうか?」

 ちょっぴり悔しそうに、彼女が言った。

「い……いいです。十分です。ってか、今の全部、アンラッキーなことなん?」

 僕は、疑問に思って訊いてみた。

「そうよ。めちゃくちゃアンラッキーなこと」

「なんで?」

「そのせいで、私は、あなたが嫌いになられへんのよ。ミエミエなウソつかれて、めっちゃむかついてもね」

 彼女の視線が、僕の顔から、お腹に移動する。


(バレた? バレてた? 話題、実は変わってへんかった)


 僕は、今日こそ、家に帰ったら、腹筋しよう。20回から始めよう。それと、買ったまま、まだ開いてない筋トレの本、袋から出してちゃんと読もう、そう心に決めた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ