山賊の恩返し
昔々、鶴が罠にかかっていたけれどスルーしました。
──トントン
その夜、戸をたたく音が鳴り、青年は戸を開けました。
「訳ありだ。しばらく泊めてくれ」
肉ぽっちゃりな山賊が、無礼極まりない態度で青年の家へ上がり込みました。
幸いにも青年は山賊フェチだったので、セーフでした。
「覗くんじゃねぇぞい」
山賊は奥の部屋にこもり、ガサガサと何かを始めました。
青年は気になりこっそり覗くと、なんと山賊がぬいぐるみを指編みしていたのです。
いかつい山賊が編むぬいぐるみフェチたった青年的には全然ありな展開です。
翌朝、青年が目を覚ますと、枕元にぬいぐるみが置いてありました。山賊の臭いがたまらないぬいぐるみを抱え、青年はほっこりとしました。
「あ、ご飯できました」
「こんなに食えねぇよ」
山賊は山盛りよそったご飯の殆どをおひつに戻してしまいました。体格大きいのに小食な山賊フェチな青年はここらで我慢がきかなくなりました。