何でも出来る男
よぉみんな!元気してるかい?
俺様はパーフェクト=ヒューマン、通称・何でも出来る男さ。スーパーマン、ゴッドファーザー、何でも好きなように呼んでくれていいゼ?
ん?何でも出来る男、なんて口で言うだけじゃなく実例が欲しい?HAHAHA!そう言うだろうと思って、今日は俺の何でも出来るエピソードを用意してきたんだ、ぜひ聴いてくれよ。
まずは最初の話。これは、俺がある男と賭けをした時の話だ。
※ 米 ※ 米
俺は今、デカい川の目の前に来てる。流れは早く、船着き場もない。もし泳いで渡ろうとしたら、並の人間なら溺れちまうだろうなぁ。
ただし、そんな並の人間でも、目の前にあるこのドデカい橋を渡れば、軽々と対岸につける。今俺がいるのはそんな場所だ。
そして、俺と賭けをしている奴は、この橋を渡った向こう岸にいるんだ。で、奴が出してきた賭けの条件ってのが、コレさ。
"もしお前が何でも出来る男なら、私の所まで来て見せろ。ただし、このはし渡るべからず"
なるほどなるほど、これはアレか?ジャパンに伝わる伝説の一つ、イッキュウサンって奴か?ただし、ご丁寧にもこの橋は、両はしにしか歩道がなく、ド真ん中なんて歩いたら車にぺしゃんこにされちまうだろうなぁ。
もちろん、それは並の人間ならであって、この俺様、何でも出来る男には適用されねぇ。……だが待て、"このはし渡るべからず"たぁ、どういうことdie?
だってよ、俺様は何でも出来る男なんだぞ?なのに、このはし渡るべからずって事は、この俺様が、はしを渡ることが出来ないってことじゃないか!おいおい、これじゃあ何でも出来る男じゃないゼ!!だから、俺様はこう言ってやったのさ。
「"もしお前が何でも出来る男なら"って言ってるのに、このはしすら渡ることが出来ない男に仕立て上げようだなんて、なんてふてぇ野郎だ。こんな賭けは無効だ、この川泳いでから出直してこい!」ってな。そう向こう岸に大声で言ってやったのよ。
さて、ひとつだけじゃ何だろうから、もうひとつエピソードを用意してあるんだ。次の話は、俺様がトーキョー・シティに観光に行った時の話だな。
※ 米 ※ 米 ※
ジャパンの中心、トーキョー・タワー。今じゃムサシ・タワーなんてのもあるらしいが……いや、これは高さだったか?まあいい、ともかくそっちじゃないのは確かだ。
そこに俺様は観光に行ったんだが、俺様が何でも出来る男だって話は、あんな観光地にも届いてたみたいで、とある現地の子供が挑戦してきたのさ。その内容がコレだ。
"そこにあるトーキョー・タワーのてっぺんから、パリにあるエッフェル塔のてっぺんまで、一秒で移動してよ。あんたが何でも出来る男なら、出来るよね?"
並の人間なら、一秒じゃあ飛び降りたとしてもてっぺんから地面にすらたどり着けねぇだろうなぁ。そしてもちろん、着いたとしてもこのトーキョー・タワーよろしく全身熟れたトマトみたいになっちまう。
だが俺様は何でも出来る男、そんなヤワな男じゃない。だからこう言ってやったのさ。
「今の科学技術を見れば、近いうちにテレポート装置が開発される。いずれそれを手に入れて、一秒で移動してやるゼ」ってな。
しかし、その子供は納得しなかった。それどころか"僕は今すぐやれって言ったんだ、そんな装置があったら誰でもできるじゃないか!"って喚き始める始末だ。んな事一言も言ってないってのによ。
だがオイ、ちょっと待て。俺様は何でも出来る男、なのにこの子供は、今すぐやれと言った。てことはアレか?俺様は装置が開発されるのを待つことすら出来ないって事か?
だが俺様は何でも出来る男、行列に横入りするような奴並みの待つことが出来ない男じゃないんだ、これはおかしいじゃねえか。だから俺様は子供に言ってやったのさ。
「待つことも出来ないようじゃ、デカい事を成すことなんて出来ないゼ?せっかちにならず、どっしり構えて待ってみな、それが立派な男って奴だ」ってな。
そうしたら、その子供は何か納得した顔をして走っていっちまったんだ。で、数日後にまた会って、何故か礼を言われた。そいつの言うことには、好きな奴に告白したはいいものの、なかなか返事がもらえなくてイライラしてたらしい。だが、俺様の言葉を聞いて、落ち着いて待ってみることにしたんだそうだ。
結果は、オーケーを貰えたらしい。"もし焦って催促していたりしたら断られたかもしれない、ありがとう"だなんて言われたが、要は俺様が何でも出来る男だと認めたって事なんだろう。なかなか正直な奴だ、テレポート装置が手に入ったら真っ先に見せてやらねぇとな。
さて、どうだった?俺様が何でも出来る男だって、ちょっとは信じてくれたか?
ん?ペテン師?HAHAHA!俺様は何でも出来る男なんだから、ペテン位出来て当然だろう!どうやら俺様が何でも出来る男だと分かってくれたみたいで嬉しいゼ。
おっと、それじゃ今日はここまでだ。また聴いてくれよな、アディオス・アッミーゴッ!!