1 転生先はお祖父ちゃん!?
イケメン爺さんが書きたかったのです······反省はしていません( ˙꒳˙ )キリッ
「神よ・・・何故だ」
思わず天を仰いでしまう。きっと俺は神様って奴に嫌われてるのだろうと真剣に思ってしまいそうになる。
俺のことを簡単に説明すると、『モテない陰キャ』うん、その一言で説明がつく。生まれてこの方異性と付き合ったこともなければ、友人もほとんどいないような根暗なのだけれども・・・そんな奴が異世界転生というものに夢を見すぎた結果なのだろうか?
現在、鏡に写るのは初老のおじいちゃんの姿・・・うん、なんか起きたら一気に老けてた。でもね、決して長い眠りから覚めたとかではないのよ。残念なことに俺はこれが異世界転生というものであることと・・・そして、以前やったことがある乙女ゲーム『HoneyWorld』・・・略して『はにわ』の世界であると感覚的に分かってしまった。
何故転生したのだろうかとか謎は多いが・・・以前の記憶の欠落が酷くてそこは分からなかった。そしてこの世界が乙女ゲームの世界だとわかる理由は・・・これは何故かそうだと暗示をかけられてる気分だ。
さて、そんな私前世の名前は忘れてるけど・・・現在のおじいちゃんの名前ははっきりとわかる。名前はグローリー・ソーン。ソーン公爵家の前当主だ。年齢は今年で60歳になるはずだ。
うん、びっくりするくらいジジイに転生してる。いやさ、老い先短いジジイに転生するくらいならもう少し他に転生の余地があったんじゃね?と贅沢を言いたくなるよ。
「しかも既に男やもめとか・・・」
妻は何年も前に死んでて今は領地で一人寂しく生きているが・・・なんかもうこれ何の罰ゲームと言いたい。さて、転生してすぐにまず転生先に文句をつけてしまったが・・・このソーンという家名で更に俺は戦慄してしまう。
「これってどう考えても悪役令嬢の祖父に転生したんだよなぁ・・・」
この世界が乙女ゲームの『はにわ』の世界であるという前提とソーン公爵という家名でその事実は確定してしまう。そしてそう考えると・・・
「いやいや、もしそうなら急がないとヤバいな」
何故なら、今現在バカ息子のせいで孫が確実に不幸な目にあってるはずだからだ。乙女ゲーム『はにわ』の悪役令嬢は劣悪な家庭環境で性格が歪んでしまい、攻略対象の王子にめちゃくちゃ執着してしまうのだ。そして関係を脅かすヒロインをヤンデレ並の攻撃で幾度となく殺そうとして、バットエンドでは悪役令嬢にヒロインが殺されるか攻略対象の王子の首だけを持って不気味に微笑む悪役令嬢という・・・まあ、正に鬱ゲー展開になりかねないのだ。
今現在は悪役令嬢はまだまだ幼いはずだが・・・このまま行けば確実に望まずにヤンデレ化を促してしまうそうなので未然に阻止したいのだ。
いやさ、初めてやった乙女ゲームがそんな鬱ゲーだったから本当にトラウマになったレベルだけど・・・流石に悪役令嬢が可哀想すぎるし救えるなら救いたいじゃん。
ジジイに転生したのは悲しいけど・・・
「アルベルト!馬車の準備を」
「グロ様?どちらへ?」
「本邸へだ。あとグロと呼ぶな」
「承知しましたグロ様」
呼ぶなと言うとるのに・・・なんかグロい人みたいじゃん。そんな訳で俺は急いで支度をして悪役令嬢である孫が待つ本邸へと向かうのだった。