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1.旅立ち

やっと村を出て旅に出ます

 今僕はわくわくが止まらない。顔も恐らく笑っているだろう。そして、僕の前には全ての村人が集まっている。


 「ハルト、遂にこの時が来たな」

 「体には気をつけるのよ」


 そう言ってくれるのは、村人より少し前にいる僕の父さんと母さん。

 そう、僕は15歳になり、今日は旅に出る日なのだ。

 今、目の前にいる皆は僕の旅立ちを見送りに来ている人達だ。


 「これは俺が昔、まだ冒険者として活動していたときに使っていた魔法の鞄だ。ちと古いが容量はかなりの量が入る優れものだ。おまけに中に入れた物の時間が完全に停まるからこれから旅に出るハルトには必ず役に立つはずだ」

「その中には数日分のご飯も入れてあるわ」


 そう言って渡してきたのは肩掛け鞄だった。


 (魔法の鞄ってすんごい高価なものじゃなかったっけ?しかも、容量が大きく時間停止機能付き。父さんはいったいいくら稼いでいたんだか……

 でも、確かに嬉しいから素直に受け取ろうと)


 「ありがとう、父さん母さん、大事に使うね」


 僕はそう思うと素直にお礼を言った。


 「あたしからの餞別はこれじゃよ。ハルはもう普通の薬やポーションは問題なく作れるからね~

 じゃから、あたしからはこれを贈ろうかね~。これは、どんな病気や傷、呪いも治せる万能薬、エリクサーじゃよ」

「じゃあ、ワシからはこの武器じゃな。ショートソードの方は魔剣じゃよ。効果はシンプルでな、魔力を流せば流すほど切れ味が上がるんじゃよ。かなり流せばドラゴンの首も簡単に斬れるじゃろう。素材もオリハルコンとドラゴンの牙、その他にもいろいろ使っているから絶対に折れん剣じゃよ。弓の方は矢が要らず魔力を流しながら弦を引けば魔法の矢が現れる魔弓じゃよ。属性魔力を流せばその属性の矢が現れる優れものじゃ。まぁどちらも予備の武器とでも思っとってくれ。ワシからはこの2つを贈ろう」

 

 (どっちも普通にヤバイだろ!なんてもん餞別にしてんだよ!頭大丈夫か!)


 心の中で盛大にツッコミつつ口にしたのは別の言葉。


「ありがとう!ババ様、おじさん。どっちも大切に使うね」

  

 そう言い2人から貰った物を父さんから貰ったばかりの魔法の鞄に入れた。

 すると2人は笑顔で頷いてくれた。


 「じゃあ最後は俺からだな」


 そう言って前に出てきたのは、この村の中では僕の次に若い男性。っと言っても歳はかなり上の40歳だ。

この人は僕が産まれる1年前から世界の情勢を調べるために村を出ていたのだ。そして、世界を見て回り情勢を調べながら珍しい鉱石や希少な素材を集めて戻って来たのが僕が10歳の時。その時に僕が冒険者になるためにいろいろ教えてもらっていると知ってじゃあ俺も、ということでこの人からは錬金術を学んだんだ。といっても学んだのは基礎だけだ、錬金術は基礎がしっかりできていれば後はその応用らしい。

 そうして2年がたち、この人は僕が今までに作った武器、ポーション、薬、錬金術で作った物等を売りにまた村を出て戻って来たのが昨日だった。


 僕がこの人のことを思い出していると


 「まずはこれだな」


 と言いいながら布で出来ている大小の袋を渡してきた。

 中をみると、金貨や銀貨、銅貨が入っていた。


 「これは?」

 「ハルト、お前も冒険者になって旅に出るんだろ?なら先立つ物がないと困るだろうが。それはお前が作ったやつを売って得た金だ。金額は金貨50枚銀貨30枚、銅貨100枚だ。いやー中々の値段で売れたぜ!全部お前が作った物だけを売った値段だから持ち主はお前になる。小さい方の袋には金貨5枚、銀貨10、銅貨50枚入っている。残りは全部大きい方に入れてるからあとで確認しといてくれ」

「わかった。ありがとう」

「おう!」


 結構な金額のお金を手に入れてしまったなと思いながらお礼を言うと男性はにかっと笑ったあと顔を真剣なものにした。


「それで世界のことだが、他の大陸のことはわかんねえが今俺たちがいるこの大陸は平和だ。全ての国が同盟を結んでいて国境も簡単な身元確認だけで通ることが出来るし国同士の交流も頻繁に行われている。ただ、どの国でも盗賊とかの小悪党はいるけどな、お前なら問題ねえだろ。

 あと、冒険者登録するならここからはちと遠いが辺境の街がいいだろうな。あの街はこの国で3番目に栄えてる街だ。そこなら変に絡まれることもないはずだ。彼処の奴等は親切な奴が多いからな。

 これがその街までの地図だ。徒歩だとだいたい1週間ぐらいかかるが途中に村もあるから大丈夫だ。お前次第だが森を横切ることが出来れば3日は短縮出来る。するかしないかはハルト次第だが。

 俺からは、以上だな。気を付けて旅しろよ!」「はい!」


 男性が拳を握って付きだしてきたので僕も同じようにして拳をぶつけた。


 ちなみに、僕の今の格好は左右の腰に1本づつ計2本ショートソードを帯剣し背中には弓と矢筒、肩掛け鞄を肩にかけ、左右の太股の辺りに短剣と投げナイフをベルトで固定している。更に靴はブーツを履いているが、魔力を流せば靴の先と靴の裏、かかとから刃が出るようになっている。上とズボンは裏の森で狩った魔物の皮を使った皮鎧で防刃、魔法耐性の効果がついている。僕の15年間の集大成がこの装備だ。


 皆と挨拶した僕はもう一度皆を見て元気は声で言った


 「行ってきます!」

 「「「「「行ってらっしゃい」」」」」


 そして、皆の声を聞きながら手を振り村をあとにした。

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