表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

マンホール男

作者: 瑞穂

 中学校時代、俺はいじめられていた。理由としては、些細な家の事情が原因だったらしい。でもまあ、中学生のいじめの理由なんて仕様も無いことだと思うよ。

 内容としては、そんなに酷いものではなく、「臭い」「汚い」「暗すぎ」といったような、頭の悪い中学生いじめあるあるを具現化したようなことを言われた程度だったけど、やっぱ慣れるまでは結構傷ついた。

 そんな感じで三年間いじめられ続けて卒業した訳なんだけど、今思い返してみると、よく耐えたなって自分で自分を褒めたくなるよ。

 高校は地元から離れた所に入学したんだけど、間違って中学の二の舞を起こすのは嫌だったから、思い切って自分を変えたんだ。イメージチェンジってやつ。だから、高校ではいじめられることはなかった。というか、イメチェンで容姿にまで気を回したせいで、俺は、人気者の類にまでなれたよ。

 でも、そんな楽しい生活の中でも俺は落ち着くことができなかった。中学の同級生が一人いたんだ。幸い女子ってこともあって、卒業まで俺の過去が広まる事はなかったけど、昔の自分を知っている人がいるってだけで、学校生活を満喫しきることはできなかった。

 結局、高校では特にいじめられることもなく、無事卒業できたわけなんだけど、卒業式が終わった後、俺の過去を唯一知っている彼女に呼び出されたんだ。何を言われるかとハラハラしながら待ち合わせ場所に行くと彼女はもういて、着いたばかりの俺に向かってこう言った。

「君は、マンホールみたいだ。」

 最初は意味がわからなかったけど、恐らく、昔は悪口ばかり言われていたけど、今では人気者になった俺と、昔は負のイメージが強かったけど、最近では蓋のデザインが豊富になって、人気が出てきたマンホールとを重ねて、そう言ったたのだろう。何故言ったのか、意図は読めなかったけど、想いを寄せかけていた彼女にそう言われて、俺の初恋は儚く散った。はあ、最悪な日だったよ。

 そんなことを思い出しながら、二十歳になった俺は、布団に潜って目を閉じた。



 中学校時代、彼はいじめられていた。理由としては、些細な家の事情が原因だったらしい。でもまあ、中学生のいじめの理由なんて仕様も無いことだと思うよ。

 内容としては、そんなに酷いものではなく、「臭い」「汚い」「暗すぎ」といったような、頭の悪い中学生いじめあるあるを具現化したようなことを言われていた程度だったけど、見ている側は良い気分ではなかった。

 そんな感じで彼は、三年間いじめられ続けて卒業した訳なんだけど、今思い返してみると、よく耐えたねって褒めたくなると同時に、多分私は、この頃から、彼のことが気になっていたんだと思う。

 高校は地元から離れた所に入学したんだけど、たまたま彼と同じ学校だった。彼は、イメチェンをしたらしく、高校ではいじめられることはなかった。というか、イメチェンで容姿にまで気を回したせいで、人気者の類にまでなっていたな。

 でも、そんな楽しそうな生活の中でも彼は落ち着かない様子に見えた。私が勝手に感じただけだから、実際はわかんないけど、もしかしたら、またいじめられることを恐れていたのかもしれない。

 結局彼は、高校では特にいじめられることもなく、無事卒業することができた。卒業式が終わってからこれで最後だと思うと、気持ちを伝えずにはいられなくなって、彼を呼び出した。今までに告白なんてしたことがなかった私は、なんて言ったらいいのかわからず、着いたばかりで肩を軽く上下させる彼に向かってこう言った。

「君は、マンホールみたいだ。」

 真っ直ぐに気持ちを伝えるなんてこと、私にはできなかった。ただ、本当の自分に蓋をしてみんなと接して、話しているうちにだんだんとその蓋を開けて相手を自分の虜にずぶずぶと深く落とす彼が、まるで美しいマンホールの様に思えていた私は、変な言葉で自分なりに彼を褒めてその場を去ってしまった。一瞬だったけど二人きりになることができた最高の日だったな。

 そんなことを思い出しながら、二十歳になった私は、ベッドに潜って彼を待った。

友人から題名もらってそこから考えたんですが、あんまり上手く書けなかったので多分没作品です。普段からそこまで上手く書けてないっていうのは禁句で。強いて解説を入れるとすれば、最後の「ベッド」と「布団」の違いに注目し、あらすじの「再会」というのを頭においてみてください。そういうことです。では。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ