表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/16

ちょっとした閑話休題

超短いです



桜side


涼太が消えてから、二週間がたった。

涼太の家族はいないも同然だから、連絡さえも取れない。


元々涼太自身がそこまでクラスで目立つキャラじゃないから、クラスメイト達も徐々に涼太のことを忘れていっていた。

でも、私達は忘れることができない。


いつも一緒に帰っていたのに、今では少し寂しく感じる。

友達の夏樹も、通常なら元気で明るくてサバサバしてるのに、ここ最近はしょんぼりとして萎れた花みたいになっている。




「涼太、どこ行っちゃったんだろう…………」




夏樹に似合わない大きなため息が聞こえてきて、私もつられてため息をしてしまう。


涼太が消えた夏祭りの日。

彼が消えたのを知ったのは、次の日の勉強会に涼太が来なかったからだ。

慌てて()()涼太の家に行くけれど、そこには誰もいなかった。でも、荷物とかはそのままで。


今日は終業式で、明日からは夏休みだ。

だけど、やっぱりさみしいな。




「誘拐された……とか?」

「っぷ!可愛い女の子じゃああるまいし!涼太を誘拐とか誰がすんのよ(笑)」




ちょっとした冗談に、夏樹は少し笑ってくれた。




「そういえば、小学校の時にあたしがふざけて涼太を女装させた写真あるよ!見に来る?」

「………それ、気になるかも。」

「でっしょー!」




頭の中で、あの眼鏡を女装させてみるけど、どう思っても苦笑しか漏れない。

私達は電車に乗って夏樹の家に向かうことになった。







あ、れ………?







ダ、レか、イナイ…………ッケ?







急激に冷めていく熱。

私はそれをいつものことだと感じた。




「今日どこ行くー?桜ぁ?」

「そうだね………久々に夏樹の家に行ってもいいかな?」

「全然おけおけ!………あ、部屋片づけなきゃ。」

「夏樹らしいね。」




いつも通りの話をしながら、私達は駅へ向かう。

何もかも、今までと同じ。()()()()()の帰り道。




ーーーーー




「 — ふう。」




大きく息をつき、オレンジ色の髪をくしゃりとさせて、「彼」は言った。

そのため息に反応したように、彼しかいなかった真っ白な空間に、唐突に人影が差した。




「ようやく終わったのですね~?()()にしては手間取ったのではないのですか~?」

「………やあ()()()()。人間の意志というものは、時に強固なものなんだよ?」

「そうなのですね~。………ああそうそう!"モフちゃん"から通信が来ていたのですよ~?」

「んん?分かったよ!ありがとリーリア。」

「ふふ、どういたしまして!なのですよ~」




会話が終わり、人影が空気に溶け込むように消えていくと、白一色だった空間に色味がついた。

そこはまるで王宮の執務室のような部屋だった。


左右の壁には本棚。高級感のある大きな執務机。来客用の楕円型のテーブル。

彼は、大きな執務机に座っていた。

もう一度ため息をつくと、彼はその端正な顔の前を細い人差し指で左右に振る動作を行う。すると、半透明の画面が現れ、そこから声がした。




「やあ!どうしたんだい?モフ太!」

『悪戯はほどほどにしてください。あとこの姿を解いてください。』

「楽しいことは好きだから仕方ないよ。それに、君の魔法力があればその程度の変身魔法なら簡単に解けるでしょう?それより、本当の用件を話してよ。僕は今少し疲れているんだ。」




画面から流れ出した少女の声に、彼は楽しそうに答えた。

すると、少女はため息をついて言った。




『………解りました。実は、アスティリオス様に頼みたいことがあるのです。』

「へーえ、聞かせてよ。」




心底楽し気な声で、彼は — アスティリオスは言う。

再び少女のため息が聞こえてくる。少しの間があり、その少女は喋り出した。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ