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謎生物と規格外



【モフ太】

種族:御子,謎生物

年齢:???歳

誕生日:???


武力:1

魔力:20000000

知力:700


固有スキル:大精霊魔法、絶対防壁、神話、想像(イメージ)

魔法適正:全属性

冒険者ランク:F






……………あーね。

モフ太が気絶どうとか言ってたのはこーいうことか。

もう数字がやばすぎて数える気にもなんないわ。




「モフ太。お前も十分やばいな。」

『うん。神様にも偏ってるねって言われてた。』




うわぁ、神様にも言われるとかモフ太かわいそぉ(笑)




『………今絶対ボクのこと馬鹿にしたでしょ。』

「気のせいだろ。」




俺はモフ太の睨みに即答で返事してから、地面に書いたステータスを足で消した。やつはその間に俺の体を上って肩の上にいる。

さっきからモフ太は若干苛立ち気味だ。


だが、まあそんなことは置いといて。

いきなり物理二十万とか言われても、正直全然思い浮かべられない。確かに俺は元の世界にいた時、五歳からの2年間だけ「かっこいいから」とかいう変な理由で柔道の道場に通ってたし、いいとこまで言った覚えがある。だが、それとこれと関係があるのかはまったく分からない。



ま、俺には優秀なガイドがいるし、大丈夫か!




「なあモフ太。」

『なに、リュウ?』

「物理二十万ってだいたいどんな感じなの?」




俺がそう聞くと、モフ太は少し考えてから言った。




『そうだなぁ…………だいたい、岩盤をちょっと触るだけで全部破壊できちゃうとか、頑張れば世界は一つ消せるかな?』

「あのさ、世界規模で話さないで。いやむしろその規模が簡単にできんの俺!?」

『うん。まあさすがに宇宙はリュウには消せないけど、ボクがやれば2秒で消せるよ。』

「いや、絶対にやらないで。むしろやるな!」




宇宙なんか消して何になるんだよ!普通に死ぬわ!

………ダメだこいつ。規格外すぎて話になんねぇ。




「…………とりあえず、通常の人のステータスは?」

『冒険者ランクSの冒険者で、武力500、魔力1000、知力200かな。』

「ほーお…………十分よくわかったよ。」




ダメだ。俺も規格外だった。

逆に数字聞いてもしょぼく聞こえてきそう。

これは、できるだけ目立たないためにはステータスの偽造が必要だな。


もともと目立つのがあんまり好きじゃない俺には、平穏が不可欠だ。

こんなステータス人に見せられるもんじゃない。




「モフ太って、ステータスの偽造とかできるの?」

『うん。できるよ。上辺を変えるなんて今でもやってるし。』

「………今でも?」

『あ、そこは気にしないで。とりあえず、ステータスの偽造だね。りょーかい。』




ちょっと気になる発言があったけど、まあいいか。

とりあえず隠蔽ができるならよしだ。


話しながらどんどん森の奥へ進んでいた俺達は、ふと草むらの陰に潜む水色の王道系スライムを発見した。




「あ、スライムだ。」

『ホントだ。…………ね、リュウ。あのスライムにちょっとだけ触ってみて。』

「はあ!?なんでだよ!」

『いいからいいから!』




わざわざ危険に突っ込むなんてバカのやることだろ…………

そう思いながら、俺は後ろを向いているスライムの背後にそっと近づき、スマホの画面に触るくらいの強さでスライムの体に触った。


うわっ、なんかむっちゃぶにってしてる。マジのスライムってこんな感じなんだ…………

って、なにぃ!?


ちょっと感想を述べている間に、スライムは小さな水色の丸い物を落として結晶体となり消えた。

嘘だろ………あのタップでか!?



驚き固まっている俺の体を伝って地面に降りたモフ太は、落ちている水色のやつを拾ってまた肩まで戻ってきた。




『さすが物理二十万。オーバーキルすぎだよー。』

「っはあ?あ、あれでか!?」

『うん。だってあの子のHP、20だもん。だいたい一万分の一くらいの子に二千ちょっと与えたんだからオーバーキルでしょ。』




はい、と水色のやつを俺の手のひらに落とし、モフ太は笑いながら言った。

いや軽々しく言うなよ!あれで二千!?ヤバいだけじゃ足りねぇよ!!!


俺は水色のやつを見つめながら、あのスライムにごめんと詫びた。

すると、鑑定眼が発動したのか水色のやつのステータスが視えた。



【スライムの核・水】

レア度:F

ドロップ率:90%

特殊能力:無

相場価格:3G



あ、アイテムにも使えるんだ鑑定眼。万能だな。

しかもなんか必要な情報ほとんど分かった。




「これ、スライムの核なの?」

『うん。よく分かったねー………って鑑定眼使ったのか。核っていうのは弱点だね、簡単に言えば。他にも高ランクの魔獣になると【魔石】っていうのも落とすよ。ほとんどの核には能力が付かないし、値段も安いけど、魔石になれば能力がつくやつもあるし値段も高いよ。』

「へぇー………大体どれくらい違うの?」

『たぶんその核だと3Gぐらいだけど、今んとこの最上級の魔石、ダークネスドラゴンのS魔石で500万Gかな。』




ご、ごひゃくまん!?

え、えっと、1G100円だろ、だから500万Gは………ご、五億ぅ!?別荘たてれるじゃねぇか!!

車が何台買えるかな……100台くらいになるのか……………いや、車より本のためだけの部屋増設しても余るじゃん…………




『…………ちょっとリュウ。なにに浸ってるのかはあえて聞かないでおいてあげるけど、目の前、崖だよ?』

「ぅおぇぇぁ!?あ、あっぶねぇ…………」




目の前に迫る巨大な崖に落ちる数歩手前で、俺はモフ太に現実へと引き戻された。

あ、あぶな………この世界じゃゲームオーバーがどうなるか分かんねぇし、気を付けないとな………


すっかり五億円に、いや500万Gに気を取られていた俺は雑念を頭を振って追い出す。

こんなことしてる場合じゃない。早くゴブリンのクエストをこなさないと。




「ありがと。モフ太。」

『…………べ、別に!リュウに死なれたらアスティリオス様に怒られるもん!ま、ボクがいる限りキミは死なないから大丈夫だよ!』




…………あ、まあな。

魔力二百万だもんな。もう十分チーターだもんな。


片方の口角だけ上げて、俺は苦笑いをこぼした。


そういえば、俺が武力二十万で、モフ太が魔力二百万だよな?

…………それってほぼ最強じゃん。




「んで、なんで俺が死ぬとアスティリオス様?に怒られんの?」

『………………キミがこっちに転移させられた本当の理由のせい…かな。』

「………本当の、理由?」




俺が聞いたのは、「神様の気まぐれ」という理由だけだ。

確かにそれだけじゃおかしい気がする。


俺はモフ太の次の言葉を待った。




『…………アスティリオス様は創造の神でもあるんだけど、本職は教育の神様なんだ。近頃のクレイドールの教育制度に目を見張るものがあるの。だから、キミを呼び寄せた。』

「…………はあ?」




だが、紡がれたのは予想外の言葉だった。

てっきり勇者的な立場になって、なんか悪い奴を倒せとか言われるかと思っていた。もちろん断るだろうけど。


確かに、俺は学校の先生になるのが夢だった。

元から子供になつかれやすいというか……俺は小さい頃から児童館とかで先生の手伝いをしていた。子供はいつも新しいことを考え出して教えてくれるから、触れ合うのが好きだった。



でも、"あの事件"が……………それを全部変えた。

もう、思い出したくもない。



だから、俺にはそんなこと




「………できないよ。」

『へ?』

「俺には、子供達を教える資格なんてない。誰一人守れない俺が………教育なんて無理だ。」




ぎり、と歯ぎしりをする。

思い出したくもないのに、あの時の光景が嫌でも思い浮かんでくる。


それを消し去ったのは、モフ太だった。




『……………はいバドエン。』

「は?」




ちっ、というこの場に似合わない舌打ちが響く。

突然の展開に、俺は目を疑う。


……今……モフ太が舌打ちした?

それに、『バドエン』って………



腕をたどり左手の手のひらにやってきたモフ太が、毛の色を薄く紫に染めて吐き捨てた。





『すぐにそうやって諦める。そんなのバッドエンド直行だよ?そんなこと、やってみてから決めてよ。すぐにネガティブ思考になる涼太は私大っ嫌い。』


「ちょっと、モフ太?」


『守る資格がない?今の涼太は昔みたいに無能なままなの?少しでもやろうと思わないの?マティアさんとレイラちゃんの依頼を受けた時、生まれ変わったのかなとか思ったけど、間違いだったのかな。』


「…………おい。ちょっとまて。一回落ち着け。」


『アスティリオス様のおめがねにかなった人がようやく見つかったと思ったのに。ようやく、この国の子供たちを救ってくれる人が来てくれたと思ったのに!』


「……………()()?」


『?!』





俺が放ったその言葉に、モフ太はようやく口をつぐんだ。

それと同時に、モフ太がダブって見えていた少女の幻影が消える。




「まずは一旦落ち着け。ちゃんと話そう。」

『あ、うん…………そうだね。ごめん。…………それと、ボクは"優香"って名前じゃないよ?』

「ああ。それはごめん。ちょっと知り合いのやつにモフ太がよく似てたから………」




苦笑いで済ませたけど、俺の中で何かが煮え切らない。

途中で、モフ太のしゃべり方が変わった。それに、あの『バドエン』って言葉………よく()()()が言っていた言葉………だよな。


モフ太の毛の色も白に戻り、俺らは少し崖から離れる。

鑑定眼を使うと、もう少し行ったところにゴブリンの群れがいた。


そこまで行く道中を、俺達はおしゃべりに費やした。




『………とりあえず、最初からあきらめちゃだめだよ。何事も挑戦から始まるんだから。リュウに何があったのかは知らないけど、ちょっとやってみてもいいじゃん。』

「まあ、そうなんだけど………」

『このままマティアさんの家にいるわけにはいけないって言ってたのはどこのだれだっけぇ?』

「アハハーオレデスネー。」




すっかりさっきまでの気まずい空気はどこかに行ってしまった。

とりまさっきの謎は置いておいて、あとから聞いてみようと考えた。




『クエストに行くばっかじゃあきちゃうし、小さな塾なんて開いてみたら?』

「いやいや気が早いよ。まだ全然決めてねぇし。」

『はいはい。』

「まずは家を買えるくらいのお金を貯めような。話はそれから。」




さすがにまだ所持金は0に近いどころか0だ。

武器とかも買いたいし、まずは今必要なものを揃えてからの話だ。




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