level46
馬鹿な!!
馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なッッ!!
有り得んッッ!!
彼は恐怖していた。
目の前に居る、小さな劣化吸血鬼に。
“擬龍蜂オーデンヴァルト”は、数居る魔獣の中でも最上位。
“討伐適性ランクSS”となる最強の魔獣の一角である。
かつて、その力で魔王降誕を成功させ、“軍勢王ノヴゴロド”へと到った者さえ存在した程だ。
彼自身、自らの力を理解しており、そして魔王への道に手を掛けていた。
“魔王降誕”
魔王の器を持つ存在が、膨大なマナと魔力を使い、上位世界への扉を開く事で、“滅び”と“再生”の種を受け取る、“魔王化”の儀式である。
彼は1年の歳月を使い、この儀式の準備を進めていた。
巨大な巣を作り、大量の餌を集め、数えるのが馬鹿らしくなる程の眷族を産み出した。
擬龍蜂オーデンヴァルトのマナと魔力の許容量は、従えた眷族の数に比例する。
彼はその膨大な“数の力”でもって扉を開き、魔王へと登り詰めるつもりだったのだ。
既に儀式に必要となるだけの眷族は産み出しており、巣の中で眠りにつかせていた。
儀式の最中は無防備となる為、周辺の脅威と成る外敵も全て殺した。
後は、今宵の満月に魔王降誕を行い、魔王となるだけだったのだ。
だが―
「セシリア!!右の手首を狙え!!奴が基点にしている雄蜂が居る!!」
「分かった!!」
指示を聞いた人間の雌が、炸裂する火球を彼に向けて放つ。
咄嗟に防御しようとするが、それよりも早く火球は彼の右手へと到達する。
『馬鹿なぁぁぁぁッッ!?』
声を上げる擬龍蜂。
炸裂した火球は、彼が創った高位の眷族を殺し、文字通り右手を奪った。
大桷足長蜂の中で、複雑な指揮が可能なのは、王と成った雄蜂と女王蜂だけである。
彼はその王と成った雄蜂達に力を授け、龍化魔術の一部を任せる事で高効率で魔術を維持していたのだ。
通常なら、強固な外皮で護られる彼等だが、先程の罠で大半が死滅。
森に散開していた雄蜂を代用品としたが、それでも重要な箇所は生き残った者達に任せていた。
先程殺されたのは、その残り少ない生き残りの一匹だった。
『…ブブブ…馬鹿な…ブブブ…バカナ…!!』
彼は恐怖に声を上げる。
右手を失ったのが偶然ならばこうは成らなかった。
しかし、彼の敵は意図的にこれを成し遂げている。
敵達が告げた巣の壊滅が事実なら、彼に残された力は、この体を形成している蜂達しか居ない。
彼は恐怖する。
しかし、それは敵の強さに対してでは無い。
“知られている”
その事実が、何よりも恐ろしい事なのだと、初めて理解していたのだった。
ーーーーーーーーーーーー
右手を失った擬龍蜂が、悲鳴を上げる。
必死に代用の蜂で右手を再生しようとするが、上手くいかない様だ。
「セシリア!!次は翼の付け根だ!!」
「了解!!」
セシリアは火球を放つが、奴はそれを何とか回避する。
その後も続く攻防。
しかし、擬龍蜂は先程右手を失った事に警戒を覚え、巧みに基点と成る雄蜂を護っている。
要所に置くよりも効率は下がるが、奴を中心とした周辺に集め、遠隔で体を動かしているのだ。
奴は体での攻撃を主とし、術での攻撃は避けている。
まぁ、術の使用は許容量の消耗が激しい。
何をするのか直ぐに看破される以上、可能な限り使用は避けるべきだろう。
「ビィ!!」
『はいよっ!!』
呼び声だけで俺の意図を理解し、ビィが種族技能を発動させる。
『セシリア、聞こえるか?』
『ええ、聞こえるわ!』
咄嗟に使われたビィの精神感応だが、一度使われた事のあるセシリアは冷静に返して来た。
俺は続ける。
『このままじゃ埒が開かない。次に奴が龍の息吹きを放とうとした時、全力で炎を撃ち込んでくれ』
逡巡するセシリアだが、ゆっくりと頷き俺にこう訊ねる。
『…分かったわ。でも、息吹きに潰されてしまうんじゃない?』
不安気な顔をするセシリアに、俺は無言で笑顔を向けた。
新作初めました!
タイトルは、
“学校から帰ったら部屋に女死神が居て、『3年以内になろうのファンタジーカテゴリーで一位を獲らないと死にます』って言われたんだけど、どうやったら一位獲れますか?”
です。
ネタ小説ですが、其れなりに面白く成ると思うので、良かったら読んで下さい。




