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level42


「それで作戦は?」



そうセシリアは俺に訊ねてきた。

今はアイゼンを弔って直ぐなのだが、時間もあまり無いため説明を急ぐ。



「内容としては単純な陽動作戦だ。俺が誘導し、奴を型にはめる。

ビィ、渓谷に有った地底湖は覚えているか?」



『勿論だよ。地下洞窟は探検してマッピングしたもんね』



そう、俺とビィはこの3年で、ゲルシュの森周辺の地形を全てマッピングしていたのだ。


元々は種族技能スキルとチートの訓練の為に始めた事だが、思いの外面白く、やり過ぎてしまった。


まぁ、こうして役立つ時が来たのだから、無駄ではなかったが。



「あの地底湖の下にも、幾つか空洞が有ったんだが、その内の一つを爆破して沈める。

擬龍蜂を巻き込んで、な。」



『…面白そうッッ!!』



そう言って喜ぶビィだが、セシリアは冷静に俺に確認する。



「…確かにそれなら龍でも蜂でも殺せるだろうけど、どうやってそこまで誘導するの?

それに、誘導出来たとして洞窟を崩す程の爆破なんてどうやって起こすの?

爆破出来たとして、脱出は?」



当然の疑問である。

俺は彼女の疑問に一つずつ答える。



「…誘導に関しては賭けに近い。

正直失敗する可能性が一番高いのはこれだからな。

誘導に失敗した場合は作戦中止にして、そのまま逃げる。

実際に奴を見てから決めるしかないが、上手く挑発して俺が誘導するしかない。」



「…初っぱなから不確定要素たっぷりね…」



「…だって、実際に会ってみないとどんな人か分からないんですもの…。」



「文通相手に初めて会う乙女みたいな反応は止めて」



クールに返すセシリア。

俺はしっかり者か、()()()で気が強い女が好みであり、セシリアは正にストライクである。

嫁にしよう。



「爆破に関しては粉塵爆発と、事前の仕込みでどうにか出来ると思う。

ビィ、地下空洞の天井の中を、崩落寸前まで削る事は出来るか?」



『うーん、実際に見てからじゃないと分からないけど、多分出来るよ。

ただ、崩落寸前で維持するのは結構骨が折れるかも』



「そこは何とか頑張ってくれ。

崩落寸前まで削るのは、空洞の中心から直径で5メートル程で良い。

その範囲で穴が開けば、水圧に負けて自然と崩落するだろうし、もし崩落しなくても奴を沈める事は出来る筈だ。

空洞の維持に関しては、削った空間を埋める様に、魔術で擬似的に岩を再現して置けば、それなりに持つと思う。

もし無理そうなら、それでも作戦中止して逃げる。」



『了解!それならいけそう!』



そう話した俺を見ながら、腕を組み直したセシリアが続ける。



「ねぇ、それなら爆破は必要無いんじゃないの?

普通に魔術で崩落させれば済むじゃない」



「いや、必要だ」



「?」



そう断じる俺に疑問符を浮かべるセシリア。



「単純に一ヶ所崩落させただけだと、逃げ切られる可能性がある。

奴は龍に擬態しているが、本来の蜂の機動性も持ち合わせているからな。

だから空洞から離れた地点も複数ヶ所段階的に崩落させて、挟み撃ちの形で奴を沈めたい。

その為には少し長めの脱出時間が必要だし、奴を足止めする為に、俺達の目的を誤認させる対象も必要だ。

“爆破が狙いだったのか。馬鹿な奴め”くらいに思ってくれたら儲けもんだ。

後、この作戦に奴の種族技能スキルで邪魔になるものがあるが、それも爆破で潰せる」



『邪魔になる種族技能スキル?』



小首を傾げるビィに俺は続ける。



「奴が“耳”と呼んでる種族技能スキルだ。

恐らく擬龍蜂の種族技能スキルである“感覚共有シンパシー”を簡略・低コスト化した、オリジナル種族技能スキルだと思う。斥候として飛ばした蜂達に周辺の情報探らせ、それを伝搬させて擬龍蜂に知らせるものだ。


これを使われたままだと、崩落を直ぐに察知されて逃げられる可能性が高まる。

だから爆破を行い、直近の中継地を潰す事で一時的にこの種族技能スキルを使えなくしたい。


え~っと、後は何だっけ?」



何故か暫く黙って俺の顔を見ていた二人だが、セシリアがゆっくりと言葉を出す。



「…残りは脱出方法だけだったけど、新たに疑問が沸いたわ。

なんで貴方はその“耳”の事を知っているの?」



そう言ったセシリアに、俺は自分の耳を指差しながらこう言った。



「知らないのか?

主人公ヒーローには選ばれし力(チート)が有るんだ。」




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