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level16

ーーーーーーーー




「よし、完璧に治ったな。」



俺はそう言って、折れていた右手と右足を軽く動かしてみる。


相変わらず凄い回復力だな…。

この回復力は、上位構造世界帯アストラルサイドでの俺の構造を改変して付属された力らしい。


平たく言えば、現実世界アッシャーサイドで折れても、上位構造世界帯アストラルサイドでは折れた事に成っておらず、結果として現実世界アッシャーサイドでも元に戻るといった仕組みらしい。

まぁ、仕組みは単純なものだが、それを術として行使するのは相当な難易度に成るみたいだ。


俺がそんな事を考えていると、師匠が話し掛けて来た。



「ユーリ、ワシは少々買い出しに行ってくる。

お前さんはそのまま基礎修行をしておくんじゃ。」



「分かりました。お気を付けて。」



「うむ。」



そう言うと師匠は浮遊術レビテーションを唱え、そのまま飛んで行った。



「あの術便利だよな…俺も使いたい…。」



浮遊術レビテーションは、上位構造世界アストラルサイドから、現実世界アッシャーサイドの重力を遮断・操作する事で空を飛ぶ術だ。


汎用性の高い術だが、結構難易度の高い術らしい。

術の発動自体は簡単らしいのだが、操作し続けるのが難しいらしく、俺はやり方を教わっていないのだ。












…!




ヤバい!




浮いた師匠の頭に、日光が当たって、思ったより反射してやがる…!

しかも目が良く成ってるから後頭部も見えちまう!!

駄目だ!コッチ見ながら向こうに飛んでるハゲに見える!!




「ブフゥッ!!ぶひゃひゃひゃひゃっ!!ヒーッヒーッ!あははあはは!!あはは」

師匠が凄い勢いで帰って来て殴られた。








ーーーーーーーーーーーーー




「さてと…。」



ハゲが空を飛び、その頭が輝くという人為的初日の出を拝んだ俺は、そう言ってその場に座る。


此処は師匠の家から少し離れた場所にある原っぱだ。

ちょうど真ん中に大きなブナの木があり、その下が俺の指定席である。


師匠がこの周辺に結界を張ってくれたお陰で、上位構造世界帯アストラルサイドも安定している為、魔術はいつも此処で練習している。



「よし、基礎魔術からいくか!」



そう言って俺は呼吸を整え、静かに目を閉じる。

こうして精神を集中させ、上位構造世界帯アストラルサイドに干渉していくのだ。


上位構造世界帯アストラルサイド”。


存在の基本単位である“マナ”と、それに指向性を持たせる“魔力”で構成されたこの世界は、現実世界アッシャーサイドと重なり、お互いに対して相関関係にある。


現実世界アッシャーサイドが神々の干渉が集約し、完成された世界であるのに対して、上位構造世界帯アストラルサイドは完成される一歩手前の世界であり、現実世界アッシャーサイドと比べて不確定で、いくつもの可能性が混在した状態で存在する。


その可能性に対して、自身のマナと魔力で干渉し、その結果を現実世界アッシャーサイドに落とし込む技術を、俗に“魔術”と呼ぶのだ。


では、干渉の為に必要な、そのマナと魔力は何処にあるのかと言うと、“精神”と“魂”である。


全てがマナと魔力で構成される上位構造世界帯アストラルサイドでは、自身の精神と魂さえマナと魔力で構成されている。

そして、構造上極めて複雑な精神と魂を構成するマナと魔力は、肉体のそれを遥かに凌駕しており、それを用いる事で、魔術と言う超常の術を可能としているのだ。


まぁ、理屈はそんな所。


後は実践あるのみなのだが、正直、この感覚は説明し辛い。


上位構造世界帯アストラルサイド現実世界アッシャーサイドが重なるこの世界に居ない人間に説明するのは、腕が2本の人間に、3本目の動かし方を教える様なものなのである。




大地ダグズ()アナ!」




呪文スペルを唱え、上位構造世界帯アストラルサイドからの干渉を確定し、現実世界アッシャーサイドへと降ろす。


俺の術に反応し、目の前の地面が音を上げて隆起する。


大地の槍。地系統の基礎魔術で、その名の通り地面を槍の様に伸ばし、対象を突き刺す術だ。

目の前には、見上げる様な大地の槍がそびえ立つ………………


……………


………


……




…立たない。



こんもりと、小さな土の山が出来ただけだ。

…いいもん。イケメンだもん。



『ブッ!ヒャヒャヒャヒャ!相変わらず下手だねぇ?ユーリ。』



そう言って何者かが俺に話し掛けて来た。



「…うるせぇぞ。ビィ。

下手だから練習してんだよ。」



『ははは!確かにね!!』



そう言うと、俺の前の空間が薄く光り、小さな人影が現れる。

身長は40センチ程、見た目は中性的な美形で、背中には小さな羽がはえている。


コイツは地の妖精のビィ。


俺が此処で修行していたら話し掛けて来て、それ以来の腐れ縁だ。



“妖精族”



その存在の主体を、現実世界アッシャーサイドでは無く、上位構造世界帯アストラルサイドに置いている種族で、まんまイメージの妖精だと思って貰えれば良い。

ビィは向き直って続ける。



『でも、逆にそこまで才能が無いなんて、凄い才能なんじゃない?

僕、生まれてから君より才能の無い人見た事無いもん。』



「生まれたての妖精が何言ってんだ。

あと、俺は俺より魔術の才能がある奴を師匠以外で見たことないぞ。」



『この世界で師匠以外人間の知り合い居ない癖に何言ってんの?』



まぁ、始終この感じだ。

コイツの見た目が中性的な美形じゃなかったら捕まえてビッグイーターに突っ込む所だ。

因みに妖精には性別は無い為、男でも女でも無いが、コイツの人格は男だ。

ハーレムメンバーには成らない役立たずだ。



『なんか失礼な事考えてそうだけど、…出来たよ?』



「良くやった。お前にオプーナを買う権利をやろう。」



『持ってるからいらない。』




なんで持ってんの?

まぁ、良い。

準備が出来たなら、修行は一先ず置いといておこう。

今日はビィと二人で、狩りの日なのだ。







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