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ヤモリの金曜日

作者: のぼりざかすすむ

「君は段取りって言葉を知ってるか」

「はい。知っています。」


あーあ。また怒られちゃったよ。

ここでの言葉は、国語辞典に乗っている言葉通りの意味ではどうやら、ないらしい。

スキップは歩くよりも早い。女は急いで家路につく。


会社のパソコンの周りには、念のためたくさんのポストイットを貼っている。

そうしないと、お仕事、増えちゃうから。たまに本当にやらなきゃいけないことも忘れるけど、お仕事が増えるよりずっといい。


今日は、私が夜ご飯当番だ。

家族会議の末生まれたブラックボードに、今日の料理名を書く。


今日はカレーをスパイスから作るのだ。キッチンワタシ。

そうだ、タンドリーチキンもつけよう。


ただいま、おかえり。三回繰り返したら、私の世界は幸せに満ち溢れる。

妹がぷっと噴き出す。

「お姉ちゃん、黒板…『だ』んどりーチキンになってるよ」

相変わらず、おっちょこちょい。全員がぶはーっと、噴き出した。


係長、段取りうまく、できました。


おわり

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