黄瀬川の対面
水鳥の羽音により、富士川から忽然と消した平家の大軍。
そうとも知らず。遭遇戦寸前の事態に発展し掛かっているのが
平家に奇襲を仕掛けようとした甲斐源氏と
そのルート上に、たまたま野営していた金吾・秀秋と小早川軍。
旗印を見て、兄・頼朝の味方。甲斐源氏の兵であることに気付いた金吾・秀秋は
危うく同士討ちの事態を回避すべく
甲斐・小早川両軍に対し、
今、現れた見知らぬ部隊は敵では無く味方であること。
加えて甲斐源氏に対し、
私は頼朝が弟。金吾・秀秋。
兄・頼朝に合流すべく
この富士川の地に馳せ参じた旨を声高に叫び続けるのでありました。
対岸から姿を消した平家と
なにやら混乱している2つの旗印のコントラストに目を奪われた頼朝の側近たちが
甲斐源氏。金吾・秀秋の間に入り
とりあえず騒ぎを治め、
改めて金吾・秀秋の素性を聞いた側近たちであったが
(小早川隊ですので)水での動きに慣れていたことに加え、
(野営していた場所から)富士川で逃げ遅れた平家の部隊では無いのか?
と疑いの目を向けられ、
兄・頼朝への取り次ぎを拒絶される金吾・秀秋。
なおも食い下がる金吾・秀秋に
あくまで無視を決め込む頼朝側近。
そんな騒ぎを聞きつけ
やって来たのが兄・頼朝。
歳の頃を確認するや否や
弟であることを確信した兄・頼朝は
弟である金吾・秀秋との対面を許可。
後三年の役での出来事を例に出し、
兄・頼朝は弟・金吾秀秋の手を取り涙を流したのでありました。
即座に平家打倒を目指そうと意気込む頼朝・金吾兄弟でありましたが
関東から京へ向かう通り道であります
甲斐・駿河に遠江が同盟軍である甲斐源氏の勢力圏に入ったこと。
加えて頼朝側近であります関東の豪族は
平家が我が世の春を謳歌し始めて以降。圧迫を受けていたが故。
頼朝に味方したのでありまして
圧迫が取り除かれれば、変な話。
平家が残っていても問題無いのが本音。
そんな関東の豪族の力が無ければ
あっという間に瓦解してしまうのが頼朝の立場でありましたので
平家打倒の軍を挙げるのは
ひとまず置いておきまして
関東の豪族の内。
味方となりました勢力に対しては権益の保護。
敵対する勢力に対しては武力で持って打ち果たし、
敵対勢力の権益を活躍した味方の勢力に分け与えることにより、
頼朝自らの地盤強化に専念するのでありました。
その間。金吾・秀秋は頼朝の身内。
と言うこともありまして
危険地帯に送り込まれることも無く
ひとときの平穏な日々を満喫するのでありました。
その平穏な日々に覚えてしまったのが
のちのち彼の寿命を縮める要因ともなります
お酒でありました。