若狭国
六角氏が治める近江の国・矢島に御所を構えるも。
僧侶時代の癖が抜け切らない金吾・秀秋(足利義昭)を尻目に、
金吾を将軍にすべく協力者を捜す正成(細川藤孝)でありましたが
その正成のところに
『六角が三好・松永と通じ、金吾を亡きものにしようとしている。』
との報が入るのでありました。
正成:「殿!!一大事にございます。六角が三好・松永と通じ、
南近江から侵入して来るとのこと。
至急。この矢島の地を離れる必要がございまする。」
金吾:「……と言われても、逃げるような場所なんぞあるのか?
比叡山に入ってしまえば安全と言えば安全なのではあるが。」
正成:「ただ比叡山は基本。専守防衛。
比叡の山と逢坂の道があってこその防衛機能であります故。
一度。入ってしまいますと、金吾様は二度と将軍になることは出来ませぬ。」
金吾:「(……ワシは元々僧侶である故。身の安全さえ確保されるのであれば
別に将軍になる必要は無いのであるが……。)
してどこがある?」
正成:「金吾様の妹婿であり、我が細川家(正成は細川藤孝)とも縁の深い
若狭の武田家に頼ってみるのは如何でしょうか?」
金吾:「若狭……あの石高の無いところへ……か?」
正成:「確かに農業。それもコメを基準に致しますと、
半農半漁の寒村のイメージしか湧いて来ないかと思われますが、
それは某戦国時代をモチーフしたシミュレーションゲームでの話でありまして
実際の若狭の国はどうなのか?
と申しますと
日本海交易の要。小浜を抱える日本屈指の物流拠点。ハブ港湾を抱える国でありますし、
その若狭を治める武田家は、足利将軍家(金吾)。並びに我が細川家(正成)の要請に応じ、
幾度となく京へ遠征されるなど忠勤厚い家であります故、
頼りになることこの上無しか。と存じ上げます。」
身の安全が確保されるのであれば?
と渋々矢島の御所を離れ、若狭へ下った金吾一行でありましたが
下った先。若狭で彼らが見たモノは、どのような光景であったのか?
と言いますと
周辺諸国からの圧迫に加え、有力国人の離反。
そこに武田一族の家督争いが発生。
金吾(足利義昭)が若狭に入った頃には
若狭の領国を維持することさえ覚束ない。
他国へ遠征するなどもってのほか。
この状況を目の当たりにした正成(細川藤孝)は
若狭から京を目指すことを早々に諦め、
次なるスポンサーを求め、越前に入るのでありました。