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第2話

 とある、鄙びた盛り場の片隅にある雑居ビル。その4Fにある探偵事務所にて


「おやおや、大豪寺さん!ご無沙汰しています。私の記憶違いでなければ、そろそろ天国からお迎えが来るとかおっしゃっていませんでしたか?どう考えても若返っちゃってますね。もしかして、使っちゃいました?ま・ほ・う。」


 にこやかにほほえみながら、大豪寺に語りかけるスーツの男。見た目は20代後半ぐらい、一般的にはイケメンに分類されるだろう。


「うっせ!つい使っちまったんだよ。せっかく、いいおじいちゃんになってきたところだったのに、元の木阿弥だよ。」


 大豪寺は親しげな口調で男に話しかけている、どうやら二人は知り合いらしい。


「そうでしたか、まあ、私としては大豪寺さんにはまだまだ生きていてもらいたいところなんで、ありがたいですけどね、ところで、今日のご用件は」


「事情により、また若返っちまった。新しい戸籍と家を手配してくれ。」


 まあ、大豪寺さんには返しきれない恩がありますから、その程度のことであれば組織ではなく、個人的に手配できますが・・・

 大豪寺は心からいやそうな表情で、吐き捨てた。

「おまえに、いやあいつの兄貴に、恩を借りたくはねぇ!組織への依頼だ!」

 

「いいんですが、組織で手配すると高いですよ。それに妹も会いたがっていると思うんですけど。」


「問題ない。金は腐るほど余ってる。あいつも、もう俺のことなんぞ忘れているだろう。」


 そういうことなら、仕方がないと、男は電話でどこかに連絡を始めた。妹は、絶対会いたがっていると思うんですけどね…とボソッとつぶやいてはいたが。


 突然、スマートフォンの着信音が鳴り響いた。大豪寺のスマートフォンのようだ。

 めんどくさそうにスマートフォンを取り出して、画面を見た大豪寺は驚愕した。

 「ん、自宅への侵入者あり?誰だ?え、美姫?」




「ここね。」

 名簿にあった住所をもとに、ようやく私はたどり着いた。

 最近のスマホってべんりね・・・、住所を入力すればここまで案内してくれるんだから。

 ああ、そんなことより、私ってば、なにやってるんだろう・・・でも、さっきの出来事はいったいなんだったのか、大豪寺さんに会って確かめないと!

 自分でもよくわからない衝動に駆られてここまで来てしまった。


 目の前にある建物は、築ウン十年はたったボロアパートだった。えーっと、部屋番号は、203号室だから、階段上って2Fね。

 部屋の前に立って、改めて緊張してきた。大豪寺さんはいらっしゃるかしら?なぜここに来たのって言われたらなんて答えよう・・・、まあ、とりあえず呼び鈴を押してみるしかないわね。


 『ピンポーン』


 返事がないわね、念のためドアノブを回してみようかしら、あれ、ドアが開くわ!?

 ちょっとだけ覗いてみようかしら・・・


「あなた、だれ?」


 心臓が縮みあがった!米つきバッタのように頭を下げて謝る私。

「ひゃーーーーーー、すいませんすいません、ドアが開いていたもので、つい、ってあれ女性の声、ここって大豪寺さんの部屋じゃなかったかしら。」

 

「そうよ、ここは大豪寺仁の部屋。で、あなたは誰?」


 落ち着いて、目の前の女性をみる。これは絶世の美女いうやつではないだろうか、女の私から見てもすんごい美人、そしてすんごいプロポーション。髪はブロンドで、一流モデルのような感じ。


「え、え、えーっと、わたくし仁さんが入居しておられる。ホームの職員でして、城田と申します。」


いままで胡散臭げな眼でこちらを見ていた彼女の視線に剣呑な雰囲気が加わった。


「ふーん、じ・ん、ねぇ・・・、あなた、仁とずいぶん親しいみたいだけど、どういう関係かしら?」


 ひゃー、この人、仁さんのなんなの、美人だから余計に怖いんですけど!


「あ、あの、ああの、仁さんは、私が新人のときにホームに入居していただいた方で、その縁で仲良くさせているだけで…」


 救いの神は後ろのドアからやってきた。


「おい、美姫!こんなところで何やってるんだ。」


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