第0話1-1 過去から今へ
いつも通りの朝がやってきた。
「いってきまーす。」
そう言い、玄関から出る。
「いってらっしゃい、詩音。」
いつも通り父さんと母さん、そしてお姉ちゃんが見送ってくれた。
今日は、いつもより目覚めがよかった。
何か良いことがありそうな気がする・・・。
そんな僕の思いとは裏腹に、神様は大事な人だけを奪っていった。
詩音は10歳だった。まだ小学生で幼かった。
それでも何が起きてるかくらいは理解できた。
帰りの会前に先生から教えられたこと・・・
「詩音君!お父さんとお母さんが事故に遭って、病院に運ばれたみたいなの!」
あぁ、嫌な予感だけが胸に残った。
早退してすぐに病院に向かった。
無我夢中で走った。途中、つまずいて転んでしまった。
それでも走り続けた。
[大丈夫]そう思い込んで。
病院に着いたら、お姉ちゃんが受付で待っててくれたようだ。
「「琴夜お姉ちゃん!お父さんは!?お母さんは!?」」
お姉ちゃんは何も話してくれなかった。
ただ手を引っ張られて連れてかれただけ。
それだけで察してしまった。
もう手遅れだったことを。
記憶に刻まれ忘れることが出来ないまま、月日を経て・・・
「いってきまーす!・・・って誰も居ないか。」
今年の春から俺は高校3年生になった。
試行錯誤中です。ちょいちょい編集していきたいと思います。
ですので大分話が変わるかもしれません。