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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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出遭えない刑サイト オフ会は色気もなしに進行する

 飲み会で鴉野はふと発言した。


「ちょっと出会い系サイトに登録して無笑のネタを探している」


 そのセリフをきいた知り合いたちは酒を噴いた。


 鴉野に対するネット界隈の友人評価は以下のようなものである。


「彼が全力で女子高生をナンパしている時は小説のネタを探している時」

「本当の恋を知らないタイプ」

「女性を愛したことがないタイプ」


 だいたいあっているので反論の余地はない。


 というか、女子高生に興味はないのか。相手によってはかわいいとは思うが。である。


「俺は目が覚めたら知らない若いねーちゃんが隣に寝ている」

「もげろ?」


 そんな人もいるが鴉野には無縁な話だ。


 しかし出会い系サイトに登録している男はどうにもこうにも魔窟状態。俺が女だったらお金をもらっても会いたくはない。身の危険を感じるし。


「というか、鴉野さんはアレだ。まぁその」

「だねぇ」


 なぜ皆含むセリフを吐くのだ。

 とりあえず俺が出会い系サイトに登録したらそんなにネタになるのか。そうなのか。


「一回も誰とも会っていないけどな」


 一同、納得の表情。

 当時のサイト内ブログの記事はある程度改稿して『無笑』や短編集に収録した。よってネタにできるものでもないし、とりあえずネタにできるかと今回改めてシュッと火をつける名前の出会い系サイトを登録してみたがやっぱり使っていない。


 最後に。


 忙しいのにかわいい嫁をもらったSは習い事を通じて結婚した。一目ぼれだったそうで誠に素敵な話である。

 出会いを求めるなら仕事が忙しいと言い訳せず。安易に金に頼るのみならず、足を使い自らを高めることが肝要なのだろう。

 もっともSの場合、部下が育つまで女を絶っていたりする。いらないものは捨て、必要なものは何かを常に考える。


 案外愛の前にはいらないものは結構多いのかもしれない。


(出遭えない刑サイト編 おしまい)

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