Review(レヴュー)! 零(でろ) 第三話 文章の書き方?!
鴉野はその半ピラを参考に『原稿用紙の書き方なる』モノを書きあげ、次の週に持っていくことになる。ちなみに一人称三人称二人称などの基本も当時の鴉野は知らない。最初から問題外である。
対話文形式を基本に原稿用紙の書き方の禁則事項を書いていくというもので、今思えば『Review! ~ ぱーふぇくと? らぶれたー ~』編の新田のダメだしシーンの元のような文章モドキだった。
当たり前だが色々忌憚無い意見をぶつけられた。解ったことは参考文として書いてみたが、悪文の例になってしまっていたということだ。
他にいるメンバー。
元大工で愛人五人を養っているというおっちゃん。
民族問題を扱いたいらしい。
女の人もチラホラ。
新聞記者もいる。
哲学者もどきもいる。
ここに作業服を着たままの鴉野がいる。
なんやねん。このメンバー。
民族問題だの日本がやった悪行だのを熱く。というか暑く語る小説を書くおっさん。
不倫を芸術的に描いてフルボッコにされる女性。
よくわからない哲学問題を二人称で語る青年。
……この面子で、俺はやっていけるのだろうか。
今かの学校のWeb頁を見れば、現在の文校においてライトノベルの選科が出来ているらしい。
その講師のところではプロットだのそういったことを教えているらしいが。
「よっしっ! このあと空いてる人は呑みに行くぞッ」
戸惑いながらチューターこと先生についていく鴉野達。
え? プロット? なにそれ?
運ばれてくるお好み焼きの甘いソースの味と日本酒の香り。
お互いの小説をサカナにいつかは小説家になりたいと呟く幅広い年齢層の人々。
あのころのメンバーは小説家になったという話は聞かないが、鴉野は今、こうして毎日何かを書き、それを世界の誰かが見ている不思議な事態に巻き込まれている。
あのころ、素人小説をまとめて皆で交流するWeb頁など無かった(鴉野が知らなかっただけかもしれない)。
あの頃、素人小説と言うのは同じ志を持つものか、家族や友人しか見なかった。
『読捨小説ばかり読んで、そんなんで暮らしていけるか』
由紀子さん(仮名)はそう言っていたが。
鴉野はやがて『読捨小説』を書こうと決意するようになる。
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