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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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人として生きる権利『修学旅行は平和学習』

 長崎か広島。


 これは確定事項で動かない。

 何のことかといえばほかの学校でいう『修学旅行』の話だ。

 我々の世界では『平和学習』という。


 昨今の他県のアカ学校は韓国にいく余裕があるそうだ。金があふれていて実に結構なことである。

 アイゴーアイゴーと叫ぶ泣き女に土下座するのが趣味のMな変態大人に付き合って俺たちは変態の子孫ですごめんなさいと謝罪しなければいけない楽しいイベントらしい。

 あるいはホテル代をケチった教師どもの代わりに、一般家庭にレイプ上等で数日ステイな素敵体験ができるので女子をお持ちの親御さんは是非参加させてやってください。鴉野だったらそんなことが起きたら校長を襲撃するが。普通の年頃の娘は一般家庭に泊りにはいかない。信用のある家でもだ。


 我々の場合、まず原爆ドームで魂の熱唱を行う。


『広島のある国で』


 こういった歌を鴉野は今でもソラで歌える。当時は泣きながら大熱唱していたからな。お前は喜び組か。原爆記念館のグロ映像だが実態とはかけ離れている。本物はもっとひどかったらしい。マジで。

 当時の鴉野たちにとって皇族の皆さまは日本人を虐殺して責任を取らずに逃げた怨敵である。当時の鴉野たちは終戦の勅諭の全文を知らない。

『このまま戦争を続けていたら日本人ばかりか人類が滅ぶ』

 などと当時の誰も予想も考えにも及ばなかった核兵器の恐ろしさについて昭和天皇が述べているなど知るわけがない。


 さて、この平和学習。

 語り部さんたちの話を聞くのも仕事のうちだ。まぁこれは理解できる。


 しかし当時の我々は中学三年生で地元集中とはいえ一応試験があり、忙しい身の上である。


『広島に車いすを買うための空き缶1万個を持っていく』


 そういってクラス全員を招集して深夜10時までカンを集めさせ、近場のホームレスの皆さんから多大な抗議を受けたばかりか、学校の関係者たちからも苦言を受けた教師がいた。車いすは原爆と直接関係がない。平和とも関係ない。善意は人の目を曇らせるものでしかないと鴉野は今も思っている。


 だが、それがない人間は腐っている。


 取敢えず当時の鴉野は深夜までカンを集めて叱られた教師の擁護をしていた。

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