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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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時には昔の話をしようか

 たまには面白い話をしなければならないな。


 そう思う鴉野だが人が聞いて楽しくなったり笑えるような『面白い話』なんて鴉野の人生になかった気がする。あったとしても不幸自慢の類、あるいは肥大した自己満足の話ではないだろうか。


 仕方ないので相変わらずつまらない昔の話にする。


 ドラえもんを見て弟の名前はのび太だと言い出す鴉野はどんな面白い漫画でも必ず終わる時が来ると思い込んでいる実に皮肉なガキだった。鴉野のしょうもない提案を受け入れて『伸びる子になるように』弟の名前が『のび太』になっていたら鴉野が伸びている。マットに。なんせ弟はよそでは喧嘩を一度もしたことが無い、他人の批判は陰口一つ叩かないのが自慢の危険回避機能MAX男だがハードパンチャーだ。


 幼少の時から奴の強烈なボディアッパーを知っている身には流石に辛いものがある。


 アイアンマンのマスクをかぶって飛んでこられても困るし。


 当時の鴉野は幼稚園児の癖に漫画の絵だか漫画だかを書いて幼馴染の女の子の家に押し売りしていた。既にプロ気取りである。現金が欲しいがおもちゃのお金を貰っていた。この辺がヘタレというか嫌われないことを知る最低限のモラルがあったのか怪しいところだ。なお、Sとは当時面識がなかったがSが言うには小学生のころから大長編の漫画しかもつまらないを延々と書いて発表したりと奇行が凄かったらしい。

 幼稚園の頃の漫画は全然現存していないが、エスパーな巨大かたつむりな仲間が居たりするスペースオペラっぽいSFで、25メートルの巨大戦艦が登場する。


 何故25メートル。


 内部は亜空間になっているに違いない。そんなに入らないというかそれは戦艦じゃない。幼稚園児にとって25メートルはデカいのだということだろう。


 あと、キャラクター紹介がある。何故に。当たり前だが完結まで書けない気がするが、ある程度完成したら幼馴染のところに『売りに』行っていた。幼馴染も迷惑な話だ。


 さて。鴉野の無駄にアクティブで内向的な性格はこの時には発現していた。何をやらかしたかというと巨大平均台から飛び降りる暴挙をかまして足を折って半年入院していた。具体的に言うと鴉野が入っていた幼稚園は大人の肩より下くらいの巨大な平均台が存在し、これからマットに飛び降りるという授業がある。

 鴉野の現在は腹を凹めたら余裕でウエスト61台になることが稀によくあるチビだが、このころのちびすけっぷりも半端なく、洗面器に隠れる事が出来た。そんな子供を飛び降りさせるわけにはいかず、担任のN先生はしっかり手を持って飛び降りさせていたのだがそれを不満に思った鴉野、N先生の手を振り切って自分でダイブして足を壊したのである。

 完全にアホであるが、そうして鴉野は半年間本を読みまくる機会を得たのである。


 幼稚園児は本を読めない。


 一般認識はそうだが何故かあの幼稚園は漢字絵本なるモノを読み聞かせる授業があり、鴉野はある程度の漢字が読めた。むしろ漫画をさかさまにして読んでいる事実にしばらく気が付かないレベルである。覚えることが違う。

 貧乏一家にとって息子の為に支払う入院費用はハンパなかったのだが鴉野はそんなこと知るわけもない。看護婦さん越しにドラえもんの内部構造を書いたメモを当時長期入院していたお兄ちゃんから貰ったり、ティッシュを散らかして隣のベットまでの橋を作ったりとの奇行をやったり、洗面台をそのまま風呂にするようなアレなことをやっていたような気がする。

 長期入院していたお兄ちゃんについては鴉野は面識なかったかもしれない。頻繁に手紙のやり取りはあったが顔が思い出せないのだ。半年間鴉野は病院の中で本ばかり読んで暮らしたのだがお化けは怖かったかもしれない。


 ただ、ギブスが取れた日の事は何とか覚えている。デカいのこぎりを出されて怖かったとか。マジで怖い。


 幼稚園の先生については鴉野は超なついていたのでアレだったが、なんせ向うも若い娘(当時二十五歳ほど)だったし、昔の先生だったのでキツかったこともあった。あと、当時の娘さんにしてはバイクに乗っていてかっこよかったことを覚えている。


 鴉野は幼稚園児の頃には無駄に初恋を経験していたり、大阪府茨木市にある西河原公園の巨大滑り台で泣いたり(※本当に大きい)、そこまで親戚皆で遊びにいったりといった日々を送っていた。変な夢を一杯見たのもこのころだったと思う。夢をみちゃ話を考え付くのは昔からだったが昨今は夢など見なくても思いつく。


 どうやら今を生きていること自体が夢なんだろうというのが昨今の結論である。

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