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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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りあるばいおはざーど その三

 突然だが鴉野はナメクジの見た目が嫌いである。

 何がってあのぬめぬめした感じと不潔そうな見た目がたまらなく嫌だ。それでも幼少時はかたつむりを捕まえて手の上を這わせていたり飼っていた時期があるので微妙なものである。

 当然、途中で飽きて由紀子さん(仮名)が出撃することになるが。


 生き物を途中であきらめるのは絶対やってはいけない。


 鴉野の小学校ではコンクリート作りの三メートルくらいの人口のため池を設け、そこに魚を放っていたのだが。……此奴が少々不潔な代物だった。

 一本角の怪奇な形のナメクジが大量発生し、『ナメクジ』と認識できない小学生男子共がコレで遊ぶ遊ぶ。あまりのキモさと動物図鑑にも乗っていない(※調べるあたりは偉いっちゃ偉い)謎生物に対して鴉野はこう述べた。


『生物はバクテリアから進化した! すなわちこいつらはばい菌から進化した異生物なのだ!! 触るな! 死ぬぞ!!』


 根拠不明の学説を飛ばして級友たちに無視される鴉野。当たり前である。


 勿論、こんな環境で魚がまともに生育可能なはずもないのだが、阿呆が次々と金魚などの類を放つのか、たまに池の水抜きを行えば激烈な汚物の塊と共にその姿を晒す羽目になる。すなわち死屍累々。

 謎の一本角ナメクジ共についての小学生たちの共通見解は『ボウフラ』であったがキミたちはボウフラを見たことがあるのかと問いたい。激しく問いたい。


『全然似てないけど多分ボウフラ』


 そんなわけあるか。


 斯様に小学生たちの思考は大人たちの憶測と自分たちの生み出した根拠無しの深淵なる信念に支えられ、訳のわからない状況になる。


 ボウフラと言えば昔は学校の溝にいっぱいいた。当時何故か鴉野にくっついていた一歳年下の可愛い子がそれで遊んでいたが女性関係に少なからず嫌悪感がある当時の鴉野はこの娘を強烈にもて余していたので、今思えばダッシュジャンプアッパーカットをかましてブレーンバスターを当時の鴉野にかましたい。可愛かったし。


 しかし今の鴉野のようにお客さんの女子高生や女子大生に軽口をたたく姿は、昔の鴉野からすれば想像もつかないナンパ野郎に見えるだろう。すなわち世代大戦になる。


 閑話休題。


 我々(※鴉野だけ除く)は『ナメクジみたいなボーフラ』で男も女も遊んでいた。

 キモすぎるのと一本角が無いだけでナメクジと認識されず、キモ可愛い扱いを受けていたのであるが、どう見たって異様な光景だ。

 この汚すぎる池は今はもうないが、今もあったら多分異臭騒ぎか何か起きているだろう。

 あるいは超生物が錬成されているかも知れない。来るべきハルマゲドンに向けて。


 読者様方が生まれる前そういうカルト宗教があったが今でも活動しているのでコメントは控えたい。


 まぁそんなことはどうでもいいのである。

 今までの前置きはなんだったの??!


 鴉野はその日、家のカーペットでゴロゴロしながらおやつ代わりに煮干しを食っていた。じとじとした嫌な天気で外は大雨、母は台所仕事か何かをしていたのではないだろうか。

 そうしてボケーとしていると食い残しを下に落としてしまうこともあるだろう。何気なく手に取ってそれを口にほおりこむ。


 妙に柔らかい舌触りとしょっぱさ。

 そしてぶにぶにとうご……動いている?!


 鴉野は猛ダッシュして母親を押しのけてキッチン台にそれを吐きだした。

 三つの筋の入ったご立派なナメクジさんであったと記憶している。

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