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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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東京だよゆっこさん2【2023/05/24】

 JR京都より六時ごろ発の新幹線に乗る鴉野と母ゆっこさん。

 行く途中のゴタゴタ揉め事は正直10年近く前なので覚えていない。


 とりあえず着物を着て東京は母にはありえないらしい。

だって洗えないし。この頃の鴉野は和服知識があまりなかった。


 令和どころかこの平成という時代ですら、既に東京だよおっかさんは遠い昔なのだ。



 九時ごろ東京に着くも、鴉野も母もこの地には不案内。


 東京駅構内のレンガ跡を見たりうっかり特急券を別のところに突っ込んだりしたかもしれないし、鴉野がトイレに並びまくったかもしれない。


 母言うところのやまのかっこう、鴉野いうところのコジキルックの母。



 しかし鴉野の服装センスもまた期待できない。


 オレンジの靴はジッパーで一つにできる携帯用だが、普段履きに本来使うものではなく。ちなみに中はモコモコしていてさらにぐにぐになので歩きにくい。


 さらに何を考えているのかヨレヨレな麻のジャケット。

 麻はシワになっても元々シワになっているので便利だが、鴉野が着るなら見窄みすぼらしい。


 おまけにモコモコ赤いシャツ。おまえは何がしたいのか。

 目立つというか微妙に格子柄も入っており二十年前のオタクファッションでもここまで酷くない。


 さらに民族ズボン。これは緑である。

 折り返した足元はド派手な柄。全く母のことは言えない。

 これで自分ではおしゃれしていると思っているのだ。救い難い。



 東京駅を出る前に入り口ホールを撮影するものは地方民である。鴉野たちも例外ではない。


 浅草でぶらぶらする前に皇居に行く。

 皇居広っ!? 


「あのーすいませーん」


 めっちゃ田舎者のバカっぽく皇居にいる警察の人に道を聞く。


「そーですかー。わかりましたー。大阪からきたんですが、やっぱり東京ってとかいですねー。そして皇居ってほんと大きいですねー。中核派が突撃していってもこれなら途中で疲れて動けなくなるでしょねー」


 こんなバカな話をしていたのは別件で東京に来た時だったかもしれない。なぜならそのあと官庁側に行ってしまい休日なので誰にも遭遇出来ず彷徨い、トマトラーメンを食したはずなので今回とは異なる。今回は平日だし。


 とにかく皇居をぶらぶらする鴉野親子。


 人間走る速さと持久力が大事だ。ぶらぶらするだけでも行動範囲が違う。

 ゆっこさんみたいに初海外がヒマラヤ街道なのは激レアだが。



 平日なのでのんびりできるはずだがほとんど記憶にない。

 とりあえず官庁側に行く危険を鴉野はゆっこさんに説明した。


 そこで浅草方面に行こうとなる。

 可能ならば『男はつらいよ』シリーズでお馴染みの柴又にも行きたいらしいが果たして本日中に巡れるかは甚だ不明確だ。


 浅草巡りとスカイツリーはどちらが先か覚えていないが、浅草寺の馬鹿でかい提灯とか、鴉野が浅草と柴又を混同していたことは言わなくてもいいだろう。


 とりあえず浅草巡りをしたことにする。

 平日水曜かつ午前中なら露店も少ないだろう。

 鴉野たちはこの界隈では有名らしい天ぷら屋さんでどでかい海老天を食べたのち、車夫を雇い浅草観光へ。


「人力車なんてあるんだ?!」


 はい。あります。


 調子の良い車夫は母を『姫』と呼ぶ。

 姫呼びは老女であるはずの母の態度を軟化せしめた。



 彼の軽快なトークを楽しみつつ、いざ観光へ。


 ビートたけしの写真待ちの通り、欽ちゃんの仮装大賞で有名な欽ちゃんの結婚エピソードなどなどを聞きつつ巡り、ついでに浅草寺も見る。浅草寺と人力車は前後していたかもしれないが些細なことだ。


 江戸切子なるものの店に立ち寄り、江戸切子のネックレスを万札払って買う。単体ではおしゃれなのにつけるのは鴉野であり、江戸切子が泣く案件である。


 電車に乗り、スカイツリーへ。

 この頃はまだ出来立てであり、とんでもない行列になっていた。


 しかしである。鴉野は頻尿の気がある。

 すなわちトイレに行かねば耐えられない。


「トイレ行っていいですか」

「並び直しです」



 悲しくも親子はスカイツリーを諦めた。


 まあ、高いところにのぼる何とやらであるのでこの際かまわない。

 後年、親子共に全然待たずに登れるようになっている。

 こういうのは時期という貴重さ価値があるが鴉野親子にはさほどの価値、待ち時間で出来ることの方が大事であった。ちくしょう。



 2013年3月は日本政府いうところの『濃霧』によりマスクが真っ黄色になるような健康被害続出時期だった。

 花粉症持ちには辛くマスクを二重三重にせねばならない。


 この頃の鴉野は普段携帯電話を持ち歩いていないので、父の携帯電話を借りているし、当時のフューチャーフォンのカメラ機能の拙さや共有のめんどくささは今思えば馬鹿らしいレベルだ。


 もちろん世間一般ではWi-Fiなんて何それというくらいなレベルであるが、鴉野はWi-Fiがないとネットができない。Kindle fireのWi-Fiが割と東京には多かったので助かった。携帯を意地でも持たないつもりだったし。今のTwitter依存症の鴉野を考えるに、当時の危惧は割と当たっている。



 3月のうららかな夏日の中、鴉野親子はまだ存命であった松本零士先生デザインの川下り船に乗った。フォロワーさんおすすめの、川下りを楽しむとともに浜離宮を楽しむルートのためである。


 都会の花も桜も澄みたかな。

 隅田川を川下り。


 金のうんこにしか見えないビール会社のモニュメントや日本橋だったはずだが頭上ギリギリの橋の下くぐって船はザブザブ観光日和。


 短編版の『魔法少女になれそうにない』の舞台がここだったので鴉野にとっては取材旅行だが、後にGoogleマップでだいたい行った気分を味わうとは、技術の進歩は早いと言わざるを得ない。


 本日の予定はJR京都より6:01 9:00ごろ東京着 のぞみ100。

 皇居行ったら浅草でブラブラ。スカイツリーも見る。水上バスで浜離宮へ16時からゆりかもめに乗って銀座めぐり。泊まりは親戚の家というルーティンである。


 しかし男のデートプランは基本いい加減なのだ。

 まして実の親となら。



 浜離宮は都会のオアシス。

 ビルの谷間の緑は豊か風そよぐ。


 鴉野とゆっこさんは春の花々が色づきつつある浜離宮をのんびり散策。

 かつての歴史を偲びつつ、二人は浜離宮を知らなかったので『すごい良かった』と感じることとなる。

 季節柄花も綺麗だし。


 やっぱり休憩というか散歩はこれくらい時間をかけると楽しいものなのだ。


 銀座に寄って買い物をするとかなり時間がたっており、寅さんの葛飾柴又はあきらめざるを得ない。


 スカイツリーの下、東京切子で買ったネックレスは誰が買ったのやら。

 しばし親子で議論が分かれることとなる。


 そして。


 親戚の家で深夜の平日にも関わらず大歓迎を受ける親子。

 子供たちは小さい頃から一緒に遊んだ仲なので猶更だが、鴉野にとっては従姉の子供。


 つまり、鴉野の年齢はさて何歳という話である。

 そんな従姉の子供二人も今や結婚を考える歳で感慨深い。

 一人は異国のひとといい関係にあるとか風の噂に聞く。



 鴉野一族も割といろいろなところにいっており、いつか異世界から配偶者を連れてきても鴉野は驚かない。


 だって従姉とそのにいさんはたぶん吸血鬼だし。

 だって容貌が鴉野より変わっていない。



 そんなバカなことを書いて当時の思い出が擦り減らないうちに筆をおく。


 にいさんネタにしてごめん。いつかまた酒送ります。

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