年末のゆっこさん(母)のお言葉【2022/01/01】
『としとるのはいやだね。しわ出てかみのけ白くなったし、なんかふけみたいなのでちゃうし』
『おかん。そんだけ長生きできてよかったやん』
その寸前には大雪で電車止まるのが確実なのにも関わらず、母と鴉野が反対しても『新幹線ルートと一緒でつまらないから』と日本海側を北上する狂気の青春18きっぷの旅に連行され生還した母である。
その旅程期間、鴉野は鳥取氷ノ山登山5人遭難事件を見て母の連れにブチ切れていたのに呑気なものである。
それでなくともベネズエラのテーブルマウンテンに登ってあわや空港閉鎖、ヒマラヤでヤクだかラマにうっかり乗っていたらニュージーランドで入国拒否の危険、そのニュージーランド行きで医者との約束をブッチしてあわや新型コロナ禍で帰国不可になりかけ、その後の検査にて日本史上稀な奇病判明。その後生還し『たからくじにあたった方がよかったねー』と言い放つひとである。
『久さん(※鴉野の父)の七回忌をしてやまにのぼってから手術する〜』と言い出して医者と鴉野以下家族に『死んだら七回忌はできません』とマジギレされる。
それら経験から反ワクチン情報を見ても『うーん。こうつうじこに当たるより副反応にあたる確率はひくいね。わくちんうってくる』とまともな判断をする人でもあるが、家族としたはたまったもんではない。手術していなかったら後の医療切迫で手術できず死んでいた。鴉野が蕎麦湯と間違えて漂白剤飲んだ時期である。
むしろなんで長生きしているのか分からん。
白髪を気にできるほど長生きできているのだからむしろ運命に感謝してほしい。
そんな彼女でも年越しには謙虚になる。
年越しに際して『来年も頑張りましょう』と言い出す。
『これ以上頑張ったところであなたは今の年齢の倍生きることはありませぬ。母上。もう今まで良く頑張った私と自分を褒めてあげる時期です。自分を褒めてあげないと誰が褒めるのですか』
鴉野はそのように母を諭したが、長生きできてよかったと長生きしたくないは普通に矛盾する。まあいいやと曖昧にして、こうして鴉野家は年明けを迎えるのであった。




