表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

266/285

HADOの呼吸

 深夜のこと。夢見る鴉野は夢の内容とまったく関係ない顔面のとげとげしい感触にて目覚めた。


 顔面にゴキブリが這っていたので更新である。マジでホラー。


『鴉野さんって息も乱れなければ汗もあんまかかないですね』


 6キロ走って300回スクワットしても外見上は堪えていない中年を知人はそう評した。

 彼はこのまま見事オーディションを勝ち抜いてHADOの選手となり、世界大会で活躍するチームに入ることになる。


 別件で「うちの家系は歳をとりにくいが寿命が短い」事実を述べたところ、ある作家先生から「人と呼吸が違うのでは」と言われた。今なら未見だが鬼滅の刃がそうらしい。昔ならジョジョの奇妙な冒険。漫画じゃあるまいにそんなわけがない。


 鴉野はつい最近までSNSをやっていた。構造的にデマだらけであり自分も加担しかねないのでトレンド追うだけならアカウントは要らないことに気づいて辞めたがかなり膨大な時間を捧げていたと認めなくばならない。おかげで数学好きの放送大学生や言語好きの中学生あるいは男子校に通う女子高生などなど多様な人間に触れて様々なことに興味を持てたが。



 鴉野が数学を再開したのはTwitterのおかげである。


 だがそのせいで色々興味のないこと関係のアカウントを小説のネタとしてフォローする関係で『このひとら、何言っているのだかマジわからない』状態になった。当然の帰結であろう。


 特に鴉野には武道等門外漢に過ぎる。


 型の名前を覚えていたのは十年も前のことである。


 わからないなら調べるしかない。


 武道関係のフォロワーさんの話を読み解くべく公開されている呼吸関係の論文とか読んでいたら、1500メートル後先考えず全力ダッシュして無理矢理息を整える遊びを幼少時父としていたことを思い出した。また足が遅いのに鉄棒その他を仕込まれていたので障害物競争は負けなしだったのも前回述べた通り。


 これと以前作家先生や知人に指摘された内容が鴉野の脳内でくっついた。ガッチャンコ。


『これは特殊な呼吸訓練と呼んで差し支えなくないか』


 前回のおさらいになるが父が空手を教える際にまず逃げろであり「忍者〜♪」と称して壁を駆け上って学校の用務員さんに叱られたりする親だったと述べた。



 そして空手の才能ゼロの息子に遊びの中で逃亡術を仕込んだのではないかと今では思い至ることとなったのも前回述べたままである。


 父の知人である空手のセンセが「空手使いは挙動と呼吸でわかる。カラスノくんは未熟だが空手使いとわかるぞ」と言っていたのを思い出すに鴉野本人に自覚がなくとも多分空手使い独特の挙動と呼吸をしている。


 すなわち鴉野は普通の呼吸と明らかに差異があると見做していいのではないかと結論せざるを得ない。


 しかし普通じゃない呼吸って何さ?!


 思えば鉄拳チンミという昔の漫画で「息を吸いつつ攻撃すると力が出ない」と有酸素運動と無酸素運動の記述があったとき、「息を吸いながら力を出す訓練したらすごくねww」と厨二病発病して息を吸いながら斬る練習を行い、ジョジョの奇妙な冒険の波紋法の呼吸の真似をしていた時期があったことは認めよう。


 しかし武術の達人でない鴉野が空手使いとわかる独特の挙動や呼吸を後天的に習得、無意識レベルで行える程度に習熟していると認める場合は『一体どんな普通じゃない呼吸をしているのだこいつ』と俄然興味が湧くものである。

 今はインターネット時代なので空手の呼吸法関係の論文やらブログやらは探せばある。



 鴉野は武術家でも格闘技マニアでもないので関係者が激怒しかねない意見を垂れ流しているかもしれないので先に謝罪しよう。


 これらブログ等の記事を読んだ結果の正直な感想を述べると「多くの武術家って体験談と思い込みを書いているので学問的じゃない」である。再現性とか検証は己の肉体と門下生くらいでとどまっているし医学的に間違った知識を中途半端にインターネットで習得できるのがその状況をさらに悪くしたのではないだろうか。


 仕方ないから呼吸器系の論文とかをgo.jpやao.jpで探すしかない。


 なんせ流派の違いもあるかもだが息吹のやり方からして違う。腹式呼吸を反腹式呼吸として教えていたりその逆だったりと甚しき間違いを犯している。


 本稿では信頼できる呼吸器系の論文に従い腹式呼吸は息を吸えばお腹を膨らませ息を吐けばお腹が凹むものとまとめる。反腹式呼吸はその逆だ。


 余談だが流派によって違うものの反腹式呼吸は息吹として三戦(サンチン)などで採用されている。またこの反腹式呼吸とはいわゆる過呼吸を意識的に行う行動の模様である。邪気を払う息吹が過呼吸とはなかなか寓意的ではないか。息ができないヒャッハー。



 そうやって色々な情報を得た結果、自分が普段している呼吸は反腹式呼吸と腹式呼吸を混合し使い分けていると判明した。なんてこった!


 先に述べておくがカラスノ一族に空手使いは父を除くと鴉野と弟の二人のみなので反腹式呼吸と腹式呼吸の混合使い分けしているのと歳を取りにくいのは別問題である。弟の方が自分より年上に見えるし。


 とりあえず結論を述べるとこうなる。


「ホントに人と違う呼吸をしていた」


 鴉野は意識して腹式呼吸や深呼吸をすると「あれー。息を吸うとき腹へこめるのだっけ?」となる(←逆)


 子供のころにやった習い事は意外と本人知らないところで機能しているから気をつけよう。自分が変わっているということにも気づけない。気づかない。


 考えてみれば足に力を入れず体重を前におとしつつ移動し斬撃時に吸いながら腹を引き締めると一連の動きが適度に抜けてやりやすい(個人的意見です)し、息切れせずに呼吸を制御できると無酸素運動を継続せざるを得ない時に多少の有利があるようだが通常の腹式呼吸や呼吸と利点も弱点もあるので使い分けをしているらしい。まじ気づかんかった。え、他の人どう息吸っているの。あ、胸で吸うのか。



 目的は異なるが女装体型にするために眠る時意識がなくなる寸前まで足を伸ばしたまま1センチ脚を浮かして腹圧を鍛えると共に呼吸を整えたりすることをしていた時期もある。これは鉄拳チンミを見て息を吸いながら攻撃の訓練含めて全部趣味で年単位でやっていた。趣味ってすごいな!


 まあ過呼吸状態って普通にしんどい。

 腹圧がまだ高まっていて腹が引きつっているのに次々と酸素取り込もうとするし酸素中毒は普通に死ぬから健康にいいと思えないから適査使い分ける方がいいのだろう。


 武術的に述べれば腹式呼吸は肩が上下しにくいから挙動が読みにくい。


 脱力突撃する場合、身体の力を抜けたようにして体重を生かして筋骨で支えつつ移動するけど、この時反腹式で息を吸いつつ進むと次の挙動で肺腑に酸素がフル充電された状態になるから無酸素運動に移行しやすく挙動が分かりにくいとかその程度の利点があるようだ。これも調べないと知らなかった。


 しかし格闘技をやっている知人曰く『足運びなんて意識している格闘家などいない』しこれはHADOをやっている友人もまた『ムーンウォークなどを試合中に使ったりすりゃ観客にはウケるかもですが試合中に足運びなんて気にしませんよ』という。



 つまり誤差にもならないことを鴉野は延々と無意識でできるようになるまでなっていたらしい。


 HADOの呼吸を身に付けたからといって不老長寿にはなれないが、オカマの真似事はできるらしい。


 そして子供の頃にやった厨弐病的謎訓練は大人になっても無意識レベルで影響をあなたの心身に与えているかもしれない。


 ゆめゆめ注意されたし。

 いや、そんな奴他にいねえよ。



「え、息を吐くときにおなかの力を抜いて吸うときおなかに力入れるよね」


 と思ったら同類がすごく身近にいた。


「普通の人と同じ呼吸しろ。攻撃するとき面倒だって武術やっている知り合いに叱られる~」


 かのようにのんびりと答える知人曰く、武術を極めると電柱を生身で破壊できるらしい。


 電柱でござる。殿中でござる。浅野殿自重なされい。


 出来てもやるかやらぬかは本人次第。



 しかしやっていても気づかないという稀なことも無きにしも非ずらしい。


 ひょっとしたら読者さまにも吸血鬼や鬼を呼吸で破壊するような日常がやってくるかもしれない。


 それより鴉野はコロナショックに伴うマスク熱中症に対応する呼吸法を知りたいところである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ