2015年 06月10日(水) の活動報告より『ヤクルトクロレララーメンと完結詐欺』
世の中には『ヤクルト クロレララーメン』なる珍奇な食い物があった。1965年よりヤクルト社が販売していた代物である。結構おいしい。
見た目は激しく。
激しくアレなのだが。
だ っ て 緑 だ ぜ ?
「『無笑』はフィクションなので鴉野家にまだあるって設定にできる」
「賞味期限切れじゃないですか!?」
スープは上品な味付けだがやっぱり緑の麺がやばい。
「てか鴉野さん! 何故クロレラ?!」
「今後起きる人類の食料危機を見越したヤクルト社はクロレラに着目、これを美味しく健康的に採取すべく開発した」
「ええええ?! ぼく何年前のインスタントラーメン食べたのですか!」
「ちゃんと保存しておけば美味しいぞ。三年は大丈夫だ。まぁ今回は設定上三〇年?」
大丈夫。ここは『小説家になろう』の世界だからアイテム袋内は時が止まるさ。
で、どこまで話したっけ。
「冷静に考えたらヤクルト社偉大ですね。確か味の素やキッコーマンと並ぶ発酵技術の世界的騎手らしいですし」
「今後起きる人類の食料危機を見越したヤクルト社はクロレラに着目、これを美味しく健康的に採取すべく開発した。が、今やミドリムシも食事になる時代! クロレララーメンも約40年の歴史に幕を閉じ……青汁入りラーメンに姿を変えている!」
「懲りろヤクルト社。自重」
「当時の活動報告に返信してくれた方のレスポンス見るに美味しいらしいぞ」
ゆっこさんは一時期ヤクルトレディというのをやっていた。
化粧品の通販の契約を取り付けるために直接脚を運び、四方八方に向かう結構過酷な仕事である。
「え? ヤクルトが化粧品?!」
「実は結構高級化粧品でものは悪くない。とりあえず自分には買えない」
父である故・久さんに、SEローションとかなんとかいうのを日焼けの薬代わりに使われたゆっこさんがキレる程度には高級品である。そんなヤクルトレディは多彩な商品を扱う。
ジョアとか取ってたなぁ。戦前から配達しているのかって高齢の男性が地域担当でさ。
「レディ? 鴉野さんみたいに女装っすか? で、見た目激しくアレなラーメンからなんから扱うと」
「女装言うなww というか普通に鴉野一家そろってクロレララーメンが好物だった。まぁあのおじいちゃんはヤクルトレディとは言わないのでは? あとクロレララーメン、いくら社員枠で安く手に入っても男三名女二名でガンガン食おうなら結構な値段になる」
などという鴉野家の過去話は全く関係ない。
「ないんかい!」
「このころくらいに完結作の仕様変更が来た。当時は完結を繰り返すだけでトップページに居残り閲覧させようと図る輩がたくさんいた」
「『ヒャッホー!!! ランキング作の癖に一時期毎日のように完結詐欺していたあの作品も毎日完結のあの作品も表示されなくなったぜーー?!』とか叫ぶ奴がいたりいなかったり」
「当時の鴉野さんじゃないですか」
このタイミングで運営さんのお手紙も固定で最初に来るようになり万一の見逃しも減り作品の検索もしやすくなったらしい。
こういった仕様変更はやらかし作品を書いて……もとい新着の完結作品と短編しか基本読まないスタイルの鴉野にはとってもありがたいものであった。
これでさらに面白かったり独自視点だったりすると推薦も書く人が増えてサイトも活性化するだろう。
鴉野が文学青年ならもう少し文学や詩にレビュー書いてサイトに貢献していたと思いたい。
「文学校でラノベを馬鹿にするほかの仲間に『昨今はゲームノベライズでも文学の手法を取り入れた作品あります』といったら『げーむwww』『らのべwww』って言われたから文学や詩は避けていたけど、今は逆にもっと早く島崎藤村詩集やロラン・ロマンを読まなかったことを後悔しているなぁ」
「ロランロマン? それ栗っすか?」
「それはマロンだろ。ノーベル賞作家だ。青空文庫を毎日分割してメールで送ってくれる『ブンゴウメール』ってサービスがあってそれで知った。子供のころの余計なことを知らないゆえの傲慢と自信と希望に満ちた世界が広がっていて、ファンタジーよりずっとファンタジーしている。
まぁロランロマンにはなれなかったが、なんとなく好きな話を毎日書いていたら合計300万字超えて300作をこの時点で書いていたっぽい。今は『五分間の奇跡』だけで50万字超えているし短編含めた作品数とか数えたくもないが。
書くついでに好きな話があるから推薦書いていたら300件行っていた。
普通に手紙のやりとりしていたら送信返信ともに500件超えていた。
というか感想だけで1000超えているしポイントつけた作品も700超えている。
内心泣きながら消した活動報告クソコメに至っては5000件以上あった。
「ねえよ」
こういうのができるのは習慣としかいいようがない。
知り合いに指摘されたが『コツコツやったら膨大な仕事になるタイプ』らしい。
「なろうにだってクロレララーメンみたいに見た目はアレで知名度はないが良作があるかもしれないすね」
他人の好みとまったく関係のない自分だけの話が見つかるかもしれない。
例えば鴉野は削除作品である『文芸バレーボール』が結構好きだったりする。
ロラン・ロマンが著作『ジャン・クリストフ』で述べたように自分だけの音楽を表現できないけど、心にとどめている者はきっとどこかにいる。そして世界はきっと語る必要がないほど輝きに満ちている。それに気づけばの話だが。




