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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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蕎麦湯と思ってキッ〇ンハ〇ター飲んだ話

「おそばたべる?」


 そばか。鴉野はそばが好きだ。とりあえず茹で終わるのをまってから部屋を出、シンクを見ると気の利いたことに蕎麦湯も用意してあるようだ。


 こくっと飲んだら泡立っていた。


「ゆっこさん。これ、漂白剤入ってない?」

「のんじゃったの?!」


 母はあきれていた。


 事情があってしばらく家から離れていた母だが速攻でタウンページ持ってくるあたりはかなり冷静である。


 一方息子も速攻で吐き気などがない、薄まっているので摂取量およそ10グラムの五倍液。体重が55キログラムであるから多分死なないと結論。子供なら知らないが実姉が民宿中の酒を飲み干すのを考えれば多分。

「大丈夫。問題ない」


 メーカーや厚生労働省のサイトなどから『口ゆすいで水大量に飲め。牛乳で体内にコートを作れ』と対処法を調べて自分でタウンページを見る。


 やはり危機の時こそクレバーでありたい。



「あのね。シンクに置いているコップの中身を飲むひとはかしこいといえないの」

「母よ。冷静なツッコミありがとう。しかし状況的にこれは蕎麦湯と間違えておかしくはない」


 いうほど刺激臭とか味とかないのだな。五倍に薄めているのと台所で使いまわしている原液なのもあるが。


「病院! 胃洗浄しないと死んじゃう」

「死なないと思う」


 だって乳糖で胃が痛いほうが上だもん。

 それよりコロナと平日昼間で病院がマジでないぞ。


「不要不急だから119は不要だな。#7119で」


「急を要するよ!?」


 大丈夫。鴉野程度の人材は死んでも畑から生えてくる。ソビエト的発想だが。


 とりあえずネットで対処法を調べる。

 漂白剤を飲むと苦しみぬいて死ぬらしいが現在の所そのような症状はない。資料によると今は良くても粘膜を傷つけ塩素系のガスが体内で発生してとやばいらしいので鴉野が飲んで平気だったからって賢明なる読者諸兄の皆様はけっして筆者のマネしてはいけない。

 そんなバカはいないと思いたい。



「いや、ほんとにばか!」

「母よ心配かけて済まぬ。とりあえず医者に行く」


 ちなみにこの時期、新型コロナウィルス騒動でどこの内科も開いていない。


 おりしも鴉野は本日会社休日であり、チャリに乗って病院に……。


「あ、鍵忘れた」


 ついでだから紙パックとかリサイクル品もスーパー持っていく。


 鴉野は給料日なのもあって金融機関巡りをし、イオンの株主優待での現金還元を行い、職場の先輩からいただいた時計の修理が済んだので内部の錆をとりきったそれを回収しと充実した休日を送った。


「で、この記事を書いている」


「鴉野さん、病院は」

「休みだったからいってない」


 いやぁ。大変だねえ。何が大変かって症状の出ない毒とか病気とかはどうなるかわかったものじゃない。新型コロナの恐ろしさは肺機能が半減しても意識があることらしいよ。



「例えばアレルギーの人だといつ発症するかわからんし、それと比べればはっきり毒物とわかっている。まぁ今回は病院勤めだったゆっこさんもいるし」

「今回はたまたまいい条件が重なりましたが普通に死にますからね。まぁ最近は誤嚥性肺炎になりかねないので無理に吐かずに速やかに病院に行けと言いますが」


 子供だとってか大人でもまあ死ぬ。

 マジでシャレにならないのだが。


「#7119って意外とつながるの遅いんだよ。対応しているからといってぶちっとやられるのでなんどもかけなおす」

「へえ」


「そして中毒110番ってのがあるらしい。公益財団法人日本中毒情報センターがやっている。これに電話すると毒物の中毒症状の対処法を教えてくれる」


 しかしアレだな。小説家になろうをやめると言っているのに死にかけたらギャグにして無笑を更新するというルールは守っているところは。


「これは約束された勝利である!」

「じゃねえよ! バカ野郎! 読者さんが真似して台所用漂白剤飲んだらどうするのさ!」


 鴉野が大丈夫だったのは複数要因があるので例外。



「いや、思ったね。『これで今日の『無笑』ネタができた。小説家になろうなんてやめる気なのにまた勝ってしまった』と」

「何に勝ったのさ! ほんとアホっすか!」


「とりあえず五倍に薄めた台所用漂白剤は飲んでもすぐ強烈な毒って感じしないのね」


 症状がないことを中毒110番さんで何度も確認されたうえでとりあえず様子見と言われた。


「普通飲みませんが原液だとマジでやばいらしいですね。鴉野さんは何度も台所内で使いまわして水分が多くなって薄まった原液をさらに五倍にしているので本人の体格もあって症状も出ていませんが体内で塩素系のガスが発生して普通に死ぬようですし」


 今回の知見。


「誰が飲みましたか。お子さんですか」

「私です。43歳男性です。本人です」


「……なぜ飲みました」

「蕎麦湯と間違えまして……」


 薄めた台所用漂白剤は意外と美味しく感じる。

 上司にチャットで連絡すると真面目に心配をかけたもよう。済まぬ。



「大丈夫! もう#7119したから!」


 その#7119や中毒110番さんがこんなにつながらないのだからさぞ119は修羅場であろう。


「チャットどころじゃないから!」


 すまん上司よ。行ってない。てか行けなかった。



 人間の死は結構間近にあるようだ。

 空海曰く、

 三界の狂人は狂せることを知らず

 四生の盲者は盲なることを識らず

 生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、

 死に死に死に死んで死の終わりに冥し


 何度も産まれ輪廻することがたとえあっても自分は基本的なことすら知らないままなのだろう。うむ。


【繰り返します。けして作者の真似をして台所用漂白剤を飲んだり、自己判断で受診をあきらめたりしないでください】


公益財団法人日本中毒情報センターによる『中毒110番』は化学物質(たばこ、家庭用品など)、医薬品、動植物の毒などによって起こる急性中毒について、実際に事故が発生している場合に限定し情報提供しています。


■一般専用電話(情報提供料:無料)

大阪 中毒110番072-727-2499365日24時間

つくば 中毒110番029-852-9999365日9時~21時

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― 新着の感想 ―
[一言] 無事でよかったです なんで飲んじゃったの?と聞かれちゃうんですね、やっぱり…台所に置いてあるものには要注意ですね
[一言] あのですね、本当に、本当に、気をつけて下さいね。
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