ぼくのかんがえたさいきょうのおくつ
「ぶっちゃけ毎日革靴とかキッツイ」
鴉野がぼやくと仮想人格君がツッコミを入れてきた。
「あれ? 無笑は最終回を活動報告でやりませんでしたか」
「最終回を最後に発表しなければいけないという道理はない」
無笑は鴉野の実体験を基にした噓八百インチキであり、作者の黒歴史や苦悩をギャグに昇華する試みである。よってハチャメチャを書こうが時系列を無視して昨日起きたこととして書いてもなんの問題があろうか。
「てか、そうしないと訴えられる。このエッセイの真の主役である仮想人格君がいるのも話をうさん臭くするためだぞ」
「フィクションの中にめちゃくちゃリアルな事情を混ぜないでください」
まぁ『無笑』の裏事情はどうでもいい。
「ぼくもリストラ回避できましたしね。このままトロトロ更新していけばあと一〇年は更新できます」
「ばっきゃろ! 嫌に決まってる! なんだかんだで5100件以上あったよそ様の活動報告コメントも半分以上消したったわ!」
「面倒だし四〇秒で飽きたって仰っていませんでしたか!?」
「面倒だが仕方ない。活動報告コメントを検索しなくて済むようになっただけありがたいのだ。願わくは個人的にアカウント消滅と共にコメント一括削除と保存機能を求めるが致し方ない」
「やっぱやめると言ったら辞めるんすか」
「当たり前だろ。正直一括削除あるなら記録すら残さん。そのままある日アカウント消して終わりにする」
だがどこぞの奴が黙ってパッと消えて戻ってきたことは一生忘れん。全力で殴る代わりにBL小説を友人の前で朗読してやるわ。これは友人に対する当てつけでもある。幸いにも俺はアカウントバンもされていなければストーカーに追われているわけでも商業作家でもない。ずっと前から好きでしたと言われても困る。やめる前に言ってくれ。そして辞めると決めたらやめ方くらい選ばせてくれ。
「いろいろ言いつつ、何年かぶりに戻ってきた友人にも大人げない対応を取る鴉野さんでした」
個人的にアカウントを抹消された人にも半年はバックアップデータを提供してあげたらいいとは思うが規約違反するほうが悪いというのも理解できる。でも女性作家だとストーカー被害があるからなあ。
それはさておき消える権利もあるが消えない権利も違反者とはいえ大事だろう。再出発のリソースは残していい。
「鴉野さんは地味に歎異抄の影響受けていませんか」
「邪教だろアレ。ウケているけどな」
悪を為すのが人ならば、善も悪も世界の一つと受け入れ流せる優しさがせめて欲しい。無理だがな。
「おかん=ゆっこさんに優しくない鴉野さん」
まったくだ。
さて本題だ。
なぜ革靴なのか。手入れ大変だし。
そもそも鴉野は革靴が楽しいとすら思っている。
即刻翻してアレだが革靴はカッコイイのだ。なんせガチガチで決まっている。
ア〇ックスの歩ける革靴は柔らかいので歩くには大変重宝だが一ケ月でぐちゃぐちゃに皺ができてしまう。これでも毎日手入れして磨いて型に入れているのにも関わらずだ。
それと比べると学生時代に母が奮発して買ってくれたリーガルは今だ輝きが保たれている。履きやすさとはトレードオフだが。
どちらも日や現場や天気に応じローテしている。この選択も楽しいものだ。このほかにも踵への負担が減るアサヒの靴も使う。高すぎてデパート勤務での使用が多いが立哨が辛すぎる現場では活躍する。
自分のおススメ合皮はSforzi110番だ。靴擦れで小指が痛くはなるが半年以上持つし何より靴底が頑丈で軽い。お金で苦労する警備員には大変宜しい。一ケ月でインソールが剥けるが逆を言えばインソールを変えれば靴擦れもかなり収まるし快適になる。
「小説家になろうさんで商品名出しちゃって大丈夫ですか」
「否定的なレビューや商業誘導でなければ良いらしいよ」
靴屋は言う。お洒落さんも言う。革靴は成長すると。仕事が終われば今日一日を振り返り、汚れを掃い磨きを入れ、明日の仕事に備えて明日の現場に向いた靴をチョイスする。古い革靴は今の靴と違い革が厚く磨けば独特の味わいが出てそれはそれでいいものになる。
傷を埋めてやれば自分の仕事との記憶の一助になってくれる。それでも思う。
めんどくね?
職場的に革靴のみというのは理解しているが。
ていうか職場で真面目に革靴履く先輩は結構いるが、脚絆まで着用している強者は三名くらいしか見たことがない。
「そのうえで、自分がつけるかどうかはわからないが理想的な『革靴に見える靴』を作ろうと思う」
「作ってほしいのでしょう」
「自分も固くて履きにくい靴はカッコよさからトレードオフなのもわかっている。かつて阿久悠はいった。痩せ我慢するのがダンディズムだと。だからどうした。
俺は我慢する。だが俺以外は我慢させないのが俺の見出したダンディズムだ」
ダンディは進化するのだ!
「そんな自傷ダンディな鴉野さん考案のぼくがかんがえた最強のくつですね」
「自傷云うな! せめて自称と言え! 事情でもいいぞこらあ!」
マリンシューズとかアクアシューズとかいう靴がある。値段はドンキで1000円くらいなのにぺったんこにできて水中で扱えるくらい軽くまた足の裏を最低限保護してくれる。
結論を述べると、コレである。要は革靴っぽいマリンシューズならばいいのである。
「今回更新する意味あったのですか無笑」
「しかたねえだろう。お前手動で5000コメント以上も消したことあるのか。俺は生涯なかったと断言できる。更新なりレビューでもやらないと間が持たない」
今後もなしでありたい。
「素材はゴム引きっぽいのだと少し重くなるが、試作品としてはクソ汚れる工事現場で普段使っている1500円の合皮靴にそっくりなデザインでいい。衣服類のデザインって確か著作権ないしってか革靴のデザインは奇をてらうものではない。奇をてらったデザインだと警備員や革靴をつけねばならない仕事ではつかえないし目立ってもよろしくないし」
「てかなぜマリンシューズですか。ドンキで買ってください」
まず濡れることが前提であり、洗える。またすぐ乾く。
さらにこいつはぺったんこにできるので予備のスリッパや革靴のサブとして重宝である。実際現場に行くとき履くことはできないが、現場から走って帰るときは使う。めっちゃ軽いし。
「革靴で走るとかなり足が痛くなるじゃん」
「そんなもんヒールのほうが辛いわフザケンナとどこぞのポリコレ棒持ったフェミストが殴りに来ますよ鴉野さん」
人の気持ちは自分には不明だしなぁ。
「それでもヒールを考えた奴は死んで良い」
ミセスダウトは名優ロビンウィリアムズが好演した名作映画です。
「俺には女性の気持ちなどわからないが転ずれば男しか女装はできない以上女性フェミストも俺の気持ちはわからんのも自明」
「謎の哲学的反論を持ち出さないでください」
「というわけで、ちょっと靴メーカーさん、見積もりだしてほしいね」
「あ! 逃げた! 議論から逃げましたよ読者さん!」
だってお前いると本題と関係ないマクラが長くなるもん!
いや、個人で一つなら小遣いの予算内でできるのであるが、可能なら初期投資はクラウドファンディングで集める形で良いので楽に履けて限り無く革靴っぽく、携帯性に優れたマリンシューズをみんなのためにだしてほしいのだ。そうすれば一人、俺のためではなく、皆のためになる事業となる。
何もマッキントッシュフィロソフィーのブーツのようにわざわざ革靴から皺の型を取ってまでして作れとまでは求めないが。
「これさえあれば自分も外出先で職場から呼び出しを受け『ちょっと今から現場行って』と言われた時に一本歯下駄で駆けつけずに済む」
「ねえよ」
「ヒールの有無に関わらず女装しているときなら職業柄致命的致命傷になる」
「ねえよ」
「そういう時にヒールでダッシュする時間を浪費せず自宅で着替えができる。俺が早く帰宅できれば現場の人たちも助かる」
「そんな奴ほかにいねえよ」
この記事を見た靴メーカーさんご検討ください。
「女装バレで失職より小説家になろうのアカウントがバンされるより女装が姪っ子さんにバレるほうが怖い鴉野さんの発言でした」
「おい。マジでやめてくれませんかね。最近コロナウィルス騒動で閑だからコスプレしたいとか言っているみたいなので姉にうちにあるメイク関係本貸しちゃったんだからフラグ立てるなコラ」
鴉野の人生アカウントバンはさておき、革靴に見えるマリンシューズである。これを商品として靴工場さんが最初から出してくれるならそれで本望である。




