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無笑 ~正月から自称ヤクザが怒鳴り込んでくる程度にはどこにでもある日常編~  作者: 鴉野 兄貴


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武装小学生

 鴉野の住んでいた町は田舎町なので駅前の寂れたビルに怪しげなテナントが入ることは珍しいことではなかった。多くはねずみ講や催眠商法や占い師の類だが。


「テーザー入ったぜ! 今なら法規制されていないから買い時だ! 輸入大変だったがお買い得だよ!」


 こんなもんを鴉野や小学生に売りつけようとするダメなおっさんがいたりした。

 これあかんやつや。


「マジすか高いな」


 当時というか今でもだが鴉野は当然のごとく厨弐病に罹患しており。


「カッケー!」


 塾帰りの小中学生と話が合うのは当たり前である。

 当時そのテナントの隣では粉ジュースを水で溶いて出すというベンチャーな店があり。


「アニーさんと呼んでいいすか!」


 何故か鴉野は初対面で懐かれていた。

 子供たちと鴉野はそんな二大子供が喜ぶ店でキャッキャしていた。

 就職していたのに何をやっている貴様。



 いやね、あれだ。

 男の子ならほら、武器とかカッコいいなって思うわけだよ。言い訳だけど。


 そこにスタンガンだの、特殊警棒だの、銃も刃も通さないチョッキだのの現物あったら燃えて萌えておかしくはない。しかもホンモノ。玩具じゃない。


 勿論エアガン各種も揃っているし何故か手裏剣の類もあったはずだ。この店主わかっている!


 ガキの玩具じゃないものを餓鬼に見せて喜ぶ店主はかなり問題児であったが、それに乗る我々にも当然問題がある。一応当時出始めた監視カメラなどの真面目な機材も揃っている。


 主戦力というか売れ筋は催涙スプレーである。

 一本弐〇〇〇円。ちゃんとした使い方を教えてくれる。

 ここで鴉野は催涙スプレー等の護身具の恐ろしさを知ることになる。


 当たり前だ。奪われたら強い武器ほど強い脅威になる。


「世界を滅ぼす魔剣で負けん」


 なんぞいってたら世界がマッハで滅ぶ。



 監視カメラも悪用すれば当然盗撮機材になる。

 そういった機器の驚異に満ちた世界と現実の脅威を教えてくれる貴重な機会であった。

 隣がアダルトビデオ屋であるのはどうかと思うが。


 子供が入り浸れる粉ジュース屋(一五〇円ほど)実質ファンタジーの『武器屋』、アダルトショップの三店舗でそこは実質ガキの集まる冒険者ギルドの体を為していた。奥には占い屋やマッサージ屋まである。


 塾に通うくらいだからそこそこ真面目なのだが中身はやっぱり賢いだけに余計たちの悪い子供である。

 そこに子供より性質の悪い店主や鴉野がいるのだから更に不味い。


 我々はこの防犯グッズを如何に悪用して気に入らない餓鬼や上司を凹にするかなどの妄想に駆られて脳内プレイをし、口内を安っぽい粉ジュースで満たしていた。

 流石にこれら武装を喧嘩に用いた愚か者はいなかったと思うが、いたら凄い事になっていただろう。


 防弾防刃ベストを身にまとい、窓を目張りして催涙ガスを爆破させて教室でテロをかまし、スタンガンと警棒で武装していじめっ子の殲滅作戦を行う小学生。


 そんな高度な計画性と戦力差を覆す知性があるならそもそもいじめられていないかもしれない。



 我々が無力で良かった。

 しかし世の中はいつ変わるかわからない。


 ちょうしこいた奴らは気が付いたらインターネットの力で団結を手に入れた労組ならぬ武装小学生に狩られるかもしれない。


 武器は奪われるな。

 知性と信条は奪われぬ。

 牙を磨け。

 カネと知性で事態を打開せよ。

 貴様は一人ではない。仲間を得よ。


 その日は案外近いのかもしれぬ。


 いや、そんな事案があったら警備バイトなんて危なっかしくてやってられないが。

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