掃除は給料に含まない 私はアナタの嵩(かさ)になる
季節の変わり目なので雨ばかり。
今回はいい機会だから傘を棄てた時の話をしよう。
アホホド傘がある。
捨てても誰かがゴミ箱から拾ってくる。
お客さんが忘れて取りに来ない。
たまに傘もっていない人が持って帰るので皆捨てない。状況としてはこうなる。
拾うなアウト!
ぺっしなさいぺっ。
雑巾咥えて持ってくる仔犬かよ!
仔犬なら可愛いが皆オッサンである。
まさか同レベルだろうか。否定できない。
前話で紹介したこの職場、大抵のゴミが溢れていた。そもそも通常業務がある。クソ忙しいのでとてもじゃないが片付けできない。片付けできていないから余計クソ忙しい。
「保護眼鏡どこだ!」
普通は手元にあるはずであるがこの始末である。誰だよ動かすな。
昔の職人は他人に技術を奪われると飯が食えないので会社支給の道具を自分だけで使ったり隠したらしいが今ではキッチリ所定の位置に戻して共用にしているはずだ。効率悪いし経費がかかる。
しかしここの場合は。
「何故ここまでゴミ傘があるんだ」
鴉野はごっそり傘をゴミ箱に放り込んだ。
ほかのゴミも片付けた。
片付いていない大型ごみが残っている。鴉野のことだ。それ片づけないの鴉野さん。退職届退職届。
しかし『もったいない』『あっても困らない』なのかこれらの傘は元に戻っている。お客さんが忘れて取りに来ないのだから仕方ない。一部は傘のない人が持って帰るがこんなにいらない。あっても困らないというが明らかに邪魔だし仕事の支障になっているのだが外部の目が無いと自分を顧みることはない。鴉野のことである。
彼らがお客さんの置き傘を適当に保管(?)場所は普通に移動の邪魔だし彼らは自分の傘を持っている。
移動の邪魔以前に仕事の邪魔だ。仕事道具入れの前に置くな。
捨てろそして拾うな戻すな。勿体ないというなら持って帰れ。会社はお前らのゴミ箱じゃない。
思案する鴉野。
そうだ。善意の傘が近所にあったぞ。
あそこに捨て……ブチコミ……もとい寄付しよう。
退社した鴉野は彼らの目を盗んで大量の傘を抱えてそれらを処分することに成功したのだが。
なんかある。
あ、うごいた。
雨の中傘持ったままぶっ倒れているおっちゃんはヨッパライなのか電気屋さんっぽい人に介抱されながらグースカ寝ていた。車道のど真ん中で。
酒に呑まれるヨッパライの所為で人生が終わるドライバーたちが哀れすぎるのでやめてほしい。
すいません。警察よんできます。近いので。
あ、お願いします。
この間に電気屋さんのツレが119番してくれたようだ。有難いことである。
傘を棄てたら死体。もといニンゲン拾った。
鴉野のことである。
それ、前より片付いていない。




